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2 魔法(POWER)

結論から言うと、あの慌ただしいオッサンは父親だった。

まあ、薄々勘づいてたけどね。

現在は、父親が連れて来た医者に診てもらっているところだ。


「……特に異常はありませんね。魔法的な干渉を受けた様子もありません」


異常が無いなら……ん?魔法?

ここ、魔法が使える世界だったりする?

凄く気になります。


「やはり、頭をぶつけた際の衝撃で記憶を失ったようです」


「そうですか……記憶を取り戻す事は可能なんですか?」


「衝撃による記憶喪失は時間経過で治すしかないですね……回復魔法は傷を治すのみで、精神、記憶に干渉するものでは無いと聞いております」


やっぱり魔法はあるっぽい。


「そうですか…」


「入学まで1ヶ月なので、その期間に記憶を取り戻すのは諦めた方がよろしいかと…」


ん?

入学って事は…学園系か!


「そうですね…入学までに何とか詰め込む事にします」


詰め込むって聞こえた気がするんだけど…気のせいだよね!


「1週間は安静にして下さいね。傷薬だけ処方させて頂きます」


「分かりました」


そして医者が薬の調合を始めた。

薬草すり潰すタイプなのね。

漢方以外で見ることは無かったからちょっと新鮮だわ。


ーーーーーー


1週間後。


(ぴぇぇ~!もうお勉強ヤダ~!)


あの後、玄関で医者を見送った後の父親の言葉は一生忘れない。


「さて、ユーリ。入学までの1ヶ月で知識と魔法を詰め込むぞ」


医者から1週間は安静にと言われたのを良いことに、自室でずっと勉強を詰め込まれた。

家庭教師がようやく帰ったと思ったらまた新しい家庭教師が来るんだもの。

1日に4人は交代で来てた気がする。

幸いなのは、元の世界の知識やら公式やらがこっちでも通用した事だけど…だからといって勉強の辛さは変わらない。

安静って何だっけ?


(まあ、勉強も出来ないで学園に行くのはただの恥さらしだからな…これも私を思っての事だし、文句は言えないな)


…と思っていた時期もありました。

今朝の父親の発言を聞いてほしい。


「ユーリ。学園において勉強は一切必要無い」


うん。彼は何を言っているのだろうか。

ちょっと私には理解出来ない。

……いや、きっと空耳だよ!

昨日までの努力を水泡に帰すような事は流石に言わんやろ。


「大切なのは魔法…POWERだ。POWERがあれば大抵の事は何とかなる。勉強なんてクソ喰らえだ」


空耳じゃ無かったわ。

昨日まで猛勉強させてきた人がいきなり脳筋じみたこと言ってるんですが。

昨日までの努力水泡に帰したんですが。


「という訳で、今日からは魔法の訓練を行う。トレーニングウェアに着替えたら体育館に来なさい」


「分かりました」


何が「という訳で」なのかは分からないが、教えてくれる以上は断る理由もない。

勉強は前世の知識である程度何とかなるけど、魔法はそうもいかない。

理由はどうあれ、魔法の訓練は大切なんだ。

うん。きっとそうだ。

そうであってくれ。


ーーーーーー


それから3週間。

食事と睡眠以外はほぼ魔法の訓練に費やした。

父親も仕事を部下に任せ、付きっ切りで指導してくれた。

部下の皆さん、お疲れ様です。

まあ、それはまだ良いとして……


(どう考えても魔法じゃない気がするんだよなぁ…)


魔法って魔法陣から火とか水とか出すものだと思うじゃん?

でも、父親は「魔法は筋肉!筋肉はPOWERだ!」とか訳わからん事言ってるんだ。

どう考えてもこれは筋トレなんだ。


(一応魔法らしき物も教わったけど……思ってたのと違う……)


体内で効率よく力を循環させる身体強化魔法らしい。

「これこそ魔法の真髄だ」って言ってた父親のドヤ顔は一生忘れないだろう。

まあ、これも魔法なんだろうな。

何故か衝撃波出せるようになったし。


(でも、やっぱり火とか水とか出したい!夢ぐらい見させてくれても良いじゃない!)


こうなった以上は自分で学ぶしか無いのだが、魔法陣の作り方も知らない素人に出来るわけがない。

独学は最低限の知識があって初めて成立するのよ。


(学校で皆色々出してる中、1人だけ身体強化してたらどうよ?浮くわ!)


周りより優れていようが劣っていようが、異端は浮くのだ。

平民だからただでさえ浮いてるってのに。


「ユーリ、荷物は全部持ったか?」


「はい、お父様」


だが、もう後戻りは出来ない。

恨むなら3週間前に止められなかった自分を恨むのだ。


「よし、では出発だ!」


乗り合い馬車で王都に向かうらしい。

父いわく、「個人所有の馬車は高い。乗り合い馬車を使って浮いた金でプロティーンバーを買ったほうが良い」とのこと。

プロティーンってプロテインだよね?

乗り合い馬車に文句ある訳じゃないけど、理由がなぁ……


「ん?どうした、ユーリ」


「何でもありません」


時間が来たので馬車に乗る。

馬車はガタゴトと音を立て、王都に向かった。

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