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砂の城
砂をつかむように
もろく崩れる幸せを握りしめた
確かにあった温かな感触
命を謳う鼓動だった
砂が崩れていくように
握りしめた指先から流れ落ちた
心のあった場所
私の正義が在った
砂に涙はとどまらず
黒いしみだけ残して消えた
叫んでも泣いても
砂は動かず冷たく凍る
砂にかいた幸せを
自分で壊して涙した
幸せを怖がる心が逃げ出した
誰のせいでもない
砂が流れ去る
ひとりきり
助けを呼ぶ方法を知らない
助けを呼ぶ資格もない
風が吹きすさぶ
夜の波が来る
打ち寄せて壊れる
暗闇の中の
ちいさな砂の城




