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非常識高校生の非勇者生活  作者: kiara
第一章 始まりの物語
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楽しいスキル講座からのテンプレ


 突然のファンシーなコールで始まったケイティの授業は、順調に進んでいた。


「じゃあ最初に、スキルとは何か説明するよー。

 スキルとは、ずばり、あなたの技能を段階評価したものなんですよー。

 あなたの腕が上がると、スキルレベルも上がりまーす。

 大まかにスキルは、武術系、魔法系、補助系の三つに分けられてたり。

 そして、スキルレベルごとにできることが変わってくるのでーす。

 スキルレベルが上がると、スキルによる技を覚えられちゃうんですよー。

 剣術ならスラッシュ、火魔法ならファイアとかだよー。

 補助系は詳しくはわかってないのですよー。

 でもねー、スキルがなくても同じことは頑張ればできるんだよ。

 スキルレベルを上げてすごい技を使えるようになって、それを使ってさらに上を目指してくださいねー。

 最大は10って言われてるよー。10になったら英雄さんにだってなれちゃう。

 以上です」


 最後に急に声のトーンが落ち、受付時と同じになる。眼鏡を掛けるとキャラが変わるらしい。


 講座はこれで終わりで、あとは体を張って使い方を覚えるらしい。それと、質問にも答えてくれるようだ。


「じゃあ、お楽しみターイム。スキル公開といこっか。準備はいい?せーの!」


マサキ・トオサカ 剣士

武芸百般7

火魔法1 風魔法1 光魔法1 無魔法1 時空間魔法1

身体強化6 空間把握4 気配操作5 魔力操作4 直感5

魔術の心得


シズカ・サクライ 槍使い

武芸百般6

水魔法1 風魔法1 光魔法1 闇魔法1 時空間魔法1

身体強化4 空間把握3 気配操作4 魔力操作5 料理6

魔術の心得 


コウタ・シハラ 侍

武芸百般7

火魔法1 土魔法1 光魔法1

身体強化7 空間把握3 気配操作5 魔力操作3 頑丈3 忍耐3

魔術の心得


アカリ・ミヤシロ 弓使い

武芸百般8

水魔法1 風魔法1 土魔法1 闇魔法1 時空間魔法1

身体強化3 空間把握6 気配操作6 魔力操作4 神眼3

魔術の心得


 顔を突き合わせて、身内だけで見せあう。


「「「「あれ?何か違う」」」」


 ひしひしとやっちまった感が近づいてくる中、魔術の心得を隠して見せてみる。


「皆さん、適性がたくさんでうらやましいです。普通一つ二つですよ」


「武芸百般ってなに?」


「複数の武術系スキルの統合スキルだと言われていますね。レベルの方は是非とも見なかったことにしたいです」


「魔法ってどう使うの?」


「まず魔力を手のひらに集めて、精霊にお願いしながら呪文を唱えます。例えばですね、火よ、わが手に集まれ、ファイア。と、こんなようにですね」


 初めて見る魔法に驚く。これを見ると、今まで自分たちの使っていた環境破壊魔法は何なのか、と考えなければならなくなる。


「ケイティさん、魔法の上にあるものは何ですか?」


「魔法を超えるものですか?うーん。お伽噺の中ですが、昔は何も唱えずとも魔法が撃てたとか、なんでも思い浮かべればできたとかがありますね。魔術士とか魔導士とか呼ばれていましたね」


 ビンゴ!と顔を見合わせる四人。


「ところで、ケイティさんが魔法を使っていた時に手に集まっていたのが精霊ですか?」


「えっ?朱莉さん、精霊が見えるのですか?!」


「いえ、何となく魔力の集まりが群がっているように見えたので」


「それが精霊ですよ!精霊は魔力の塊だとか言われていますから」


「では次に、静、今までのように魔法使ってみてくださいな」


「はーい」


 わかりやすいように、同じく手のひらに火を生み出す。しかし、それは火なんて言う茶地のものではなく炎であって、色は青白、使っている魔力は魔法よりも少ない。そしてなにより・・・


「精霊がいませんね。手に集まっていません」


 聞かれないようにして、四人だけで情報を共有する。自分たちの使っていたのが、この世界にとっては魔法ではなく、魔術だの魔導だの呼ばれている類のものと分かってしまった。

 この瞬間、この世界に数世紀ぶりに魔術師が誕生した。


 想像上だけの存在である魔術師。そんな存在と露見した日には、ロクな未来が待っていないだろう。故に速攻で秘匿することを決める。そして、明らかにするならば、十分に実力的、社会的に力を得てからと決める。


 ついでに、この世界における平均を聞いておく。


 聞いたところ、スキルレベルで分けらあれ、1と2が初心者、3と4が平均、5と6が一流、7と8は世界に数えるほどの猛者、9と10は伝説になるらしい。


 魔道具とかないの?と聞いたら、高いけどありますとのこと。アイテムボックス的なのは?とあたかも「私、気になります」という雰囲気を出して聞くと、マジックバッグと呼ばれるものが、大きさにもよるが手に入らないわけではないらしい。しかし大きさは1立方メートルくらいのようで、大商人なんかは複数買って使っているようだ。


 さらに朗報として、時空間魔法にはアイテムボックスがあるらしい。これは、もう隠す必要なく、スマホによるアイテムボックスを使えそうと判断する。早速、使わせてもらうことにする。


「ケイティさん、買取お願いします」


「え?何も持っていないと思うんですが・・・」


「秘密守れます?」


「ははは。怖いので今はやめときます。守秘義務が発生しそうなので」


「賢明ですね。では、オオカミを100匹程お願いします」


「そんなにですか?!とりあえず、解体倉庫までお願いします」


 訓練場とカウンターを結ぶ通路に5人はぞろぞろと向かう。立ち去った後の訓練場は、静と朱莉の美しさに飲まれた男と、ルーキーの活躍を祈る大人がいた。美しさに飲まれた若人は、血の涙を流していた。


「羨ましいです。なんで俺には春が来ないのですか」

「そういうこと言ってるからだよ。街の人を助けるような男にならないと」

「ちっきしょうでよ!この勝ち組既婚者!」


「ちっ、餓鬼に先輩として教えてやらないとな」

「マティよ、やっちまうか。で、どうする?」

「アーロンか。俺に案がある、任せとけ」


 一方で、訓練場を使うのは真面目でできる大人が多く、四人の実力が並大抵のものではないと肌で感じていた。


「あの馬鹿ども手を出すつもりらしいぞ」

「相手の実力を見抜けないから、上に行けないんだがなあ」

「俺としては、逆に稽古をつけてほしいと思えるほどだったぜ」

「ま、餓鬼が手を出すなら、それで測らせもらおうじゃないか。測れるほど持てばいいが」


 大人はしたたかに、雅紀たちの本当の実力を確かめようとしていた。



 予想以上に時間を取られるも、解体倉庫で大量の不良在庫(食えない肉に用はない)を押し付け、十分に金を得られたようで、ほくほく顔で出てくる雅紀たち。


 倉庫の中で宙からオオカミを出して山を作り、ただのオオカミだと思っていたのが、「フォ、フォレストウルフをこんなに?!」と驚かれるようなオオカミだったらしく、「ちょっと、全部出してください。さあ、早く!」と、ひと悶着。


 出したら出したでその量に恐怖を超えて、呆れを含んだ顔で「こんな方々をFランク扱いできないですね。ランク上げますから来てください」と強制連行決定。金はしっかりとカードに振り込まれるらしい。なぜかここだけは現代的なシステム。


 値崩れを起こさないように少しずつ放出するように言い含めて、500匹ほどをまとめてポイッと渡す。


 解体していないただのオオカミで1匹銀貨1枚、皮は銀貨0.6枚、牙が0.4枚らしい。牙は、基本的にEランク討伐依頼の報酬で、牙に使い道がそこまであるわけではない模様。


 それに対して、今回雅紀たちが捨てるように渡したのは、Ⅾランクのフォレストウルフなるものらしい。森に棲むオオカミで危険度も皮の価値も上らしい。1匹銀貨1.5枚、きれいな皮が0.9枚、牙が0.6枚で取引されている。中には魔法の連発でダメになったのもあったようだが、キリのいい銀貨700枚に上げてくれたおっちゃんに感謝しながら出てきた。


 ほくほく顔で扉をくぐった途端、自分に向けられる悪意のある視線がはっきりと感じられる。雅紀と康太は自分の体で、向けられている視線から静と朱莉を隠し、ギロリと、視線のもとを睨みつけ、逆にそちらに向けて殺気を飛ばす。ケイティはそこまで敏感には感じられないようで、居心地が悪いくらいのようだ。


 突如降りかかってきた殺気に、訓練場にいた何人もの男が震えが止まらなくなり、剣を持てず、逃げることもできなくなった。雅紀レベルの魔力の持ち主が威圧すれば、並大抵の男はそれだけで潰せる。できる大人は、余波しか浴びていないため、平常心を何とか保てたようだが、マティとアーロンとその取り巻きは耐えられず、恥ずかしくなるも、それも怒りに反転する。


「それで、何の用だ?不躾に視線を向けるだけでなく、殺気を飛ばしてくるとは。なあ、死ぬか?」


 ドンッ!!

 背後に庇ったまま、訓練場へ足を進め、さらに殺気を強める。訓練場前の通路にたどり着いた時には、立っていたのは5、6人のようだ。それ以外は気絶か戦意を喪失してしまっている。観察に徹していた男たちも不穏な空気を感じたのか、観察よりも気配を消すのに一生懸命である。それでもバカどもは止まらない。


「おい、お前たちの持ってる魔道具寄越せ。お前らが持つよりCランク冒険者の俺が持つ方がいいに決まっているだろう」


「そうだぞ餓鬼、魔道具なんてな駆け出しが持つもんじゃねえんだよ」


「女たちもうちのパーティーに入れてやるよ。そっちの方がいい思いができるぞ」


 その後も何かまくし立てているマティとアーロン以下数名を無視して、ケイティに視線を向ける。ギルド内でも自己責任なので、やってしまってもよかろう、なんて考えている雅紀だが、一応ここは経験者のアドバイスをと、見つめる。うっ、と視線を逸らそうとするも、雅紀がそれを許さない。じとぉと見つめられて観念したのか、いつも通りの解決法を採用する。


 すなわち、周りに被害がないなら、好きなようにして結構です、である。


 許可が出たところで、雅紀はいまだに五月蝿い訓練場に降り、悪意の根源を潰しにかかる。


 腰にいつの間にかつけられていた鞘から、先日のトレント戦で作った剣を抜く。それに触発されたようにマティもアーロンも構える。だらりと腕を下ろした状態のまま雅紀が声を、いや、死の通告を投げつける。


「なあ、勝った方が相手のもの総どりってことでやろうか」


「あん?調子に乗ってると殺すぞ餓鬼が」


「ほざいてないでさっさとかかって来いよ。ほら全員で来いよ」


「じゃあ、全部俺のもんにしてやるよ!」


 その一言につられたのか、五人が動き出す。一人は魔法使いのようで、他の男どもの後方で詠唱を始めた。マティは大剣、アーロンは片手剣、他は斧と槍を持って走ってくる。


 それを見た雅紀の口は、三日月のように細く横に長く裂けていた。



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