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非常識高校生の非勇者生活  作者: kiara
第一章 始まりの物語
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文明体感


 いつの間にかに近づいていた男に街へと案内させる。街への道すがら、魔法のことをしつこく聞いてくるが、のらりくらりととぼけながら躱す。鬱陶しくなったのか、付いてくる男のことをガン無視して、全力で走り抜ける。だんだん離れていくも、そのうち来るだろと気にかけない。街の中で魔法を使ったらどうなるのかわからないから、前もって荷物を出しておくのも忘れず、金になるだろうとそこらへんで狩ったオオカミを引きずっていく。


 街をぐるっと囲んでいる防壁に到着し、その見上げるほどの高さに驚く。ほへーと漏らしながら、壁にある通行口に向かう。その通行口である門では、統一された軽鎧を着込んでいる兵士と思われる人物が十人以上で、警戒態勢に入っていた。そんなところに、ぽわぽわしながら雅紀たちは話しかける。


「兵士さん兵士さん、街の中に入りたいんだけどいい?」


「ん?ああ、ならカード見してくれ」


「カード?」


「なんだ、持ってないのか?どのギルドのでもいいぞ」


「???」


「持ってないなら、一人銀貨半枚だな」


「ああ、金でもいいのか。だけど現金持ってないんだよなあ」


「とりあえずのオオカミと森のもの買い取ってもらえば?」


「そうだな。というわけで現物支払いでもいいですか?」


「おう、構わねえが、ギルドより下がるぞ」


「あはは、今回だけですからいいですよ」


「じゃあ、なにがあるんだ?」


 引きずってきた、数があるオオカミの死体を前に出して、「これいくらになります?」と尋ねる。兵士とおぼしき人は傷の少ないオオカミを見て、これならそこそこだなと呟いて、詰め所に置いてある羊皮紙を確認する。


「よし、それなら4匹で銀貨三枚だな。解体されてたらもう少しいったな」


「へえ、肉は売れそうになかったから皮だけのもあるけどいい?」


「いいぞ」


 皮を追加で5枚売って、計銀貨6枚を手に入れ、うち2枚をを支払う。

 そうしてやっと街に入ろうとしたところに、置いていった男が追いつく。


「はあ、はあ、まほ、魔法使い、様方、速すぎ・・・、なんで私よりも速いんですか」


「おう、ジョッシュ。どうしたそんなに息切らして」


「ああ、ただ、いま。ふー、よし、復活。森の調査の途中、ワイバーンが来てよ、そし」


「なに、ワイバーンだと?!こうしちゃいられん、使いを送れ!!」


「待った待った。ワイバーンはそちらの魔法使い様が倒してくれたから大丈夫だ。話そうとしたら先に行かれて、追いかけてきたら息切れしちまったのよ」


「でもワイバーン倒しす位なら有名なはずだよな。でもそこの兄ちゃんたちカード持ってなかったぞ」


「え、そんな・・」


 男と兵士さんが話し込んでいるのを、横目に立ち去ろうとすると、兵士さんから声がかかる。


「なあ、兄ちゃん、ワイバーン倒したってホントか?それと凄腕の魔法使いなのか?」


 聞かれた雅紀はというと・・・


「ワイバーン?倒したっけ?」


「けどあの男の人が言うんだからそうじゃないの?」


「となるとあの鳥もどきか。あんな弱いのがワイバーンか。もっと竜っぽいのを期待してたのに」


 ぼそっと吐き捨てるように言う。


「「いや、弱くないから」」


「魔法使いって珍しいの?なんか敬称付けられてたけど」


「いや、魔法を使える奴自体は珍しくはないが、ワイバーンを倒すとなると凄腕だからじゃないか」


「なるほど。とりあえずだ、パンとか米が食べたいから食堂教えてくれ」


「いや、聞きたいことがまだあるんだがなあ。そうだ、冒険者ギルドの方で引き続き話を聞かせてくれないか?」


「ギルドまでの案内もしてくれるのか。今後も使いそうだからそれはありがたいな」


「行くぞジョッシュ」


 こうして、雅紀、静、康太、朱莉の四人はついに文明へと足を踏み入れるのだった。




 冒険者。それは、魔物と呼ばれる動物を倒したり、ダンジョンと呼ばれるものを攻略したり、未知の遺跡を探索してお宝を持ち帰ったりするものの総称である。一発引き当ててたときは、得られるものは莫大だが、いつもそうであるとは限らない。いや、むしろ一発当てることを夢見て、多くの若者が冒険者になるのである。しかし、リターンだけでなく、もちろんリスクもあり、それは常に命がけになるということだろう。何をするにしても命を懸ける必要があり、それは夢をかなえるためのチップである。そんな風に散っていく命を減らすことを目的に創られたのが、冒険者ギルドである。駆け出しに対してレクチャーするとともに、夢をかなえるのに必要なお金を貯めるための仕事を斡旋してくれる場でもある。しかし、現在は仕事がないが故に冒険者にならざるを得ない人が増え、ギルドの質が落ちつつあることに悩んでいる。


「・・・ということなんだけど、わかったでしょうか?ギルドの規約を了承してくれたら、この紙を埋めて出してちょうだい」


「えっと、一つ、ギルドの仕事中のことは基本的に自己責任。二つ、ギルドの仕事以外はギルド内でもギルド管轄外。三つ、ギルドに不利益をもたらす場合は除籍する。この三つを守ればいいんだな」


「特に問題ないね。あとはこの紙だけど、名前、職業、それとスキル?」


「スキルって何?」


「ああ、それは、登録後でも大丈夫ですよ」


「じゃあ、後で」


 知らないものに迂闊に手を出すとロクなことにならないので、サクッと後回しにする。職業は、雅紀が剣士、康太は侍、静は槍使い、朱莉が弓使いと書いて提出する。


 出して数分もしないうちに四人分のカードが出来上がり、安っぽいカードが渡される。


「ランクはFEDCBASとなっていて、カードはそれぞれ木鉄銅銀金白金黒となっています。では、改めまして。ようこそ冒険者ギルドへ。あなたの夢が叶うことをお祈りしています」


 そんな聞く人によっては恥ずかしい言葉で締めくくられ、後ろに人が並びつつあるので、カウンターから離れる。


 そのまま臭いにつられてギルド内にある酒場に行く。夕方になる少し前だからか、そこまで人はいない。探すとジョッシュと兵士さんが何かを飲みながら待っていた。注文方法を聞き、すぐに店員を呼んで注文する雅紀たち。皿に盛り付けるだけなのか、すぐに野菜炒めとパンが出てくる。流石に酒場といえども酒を飲む気はないようで、コップを取り出し、見えないように魔法で水を注ぐ。


 久しぶりの炭水化物に夢中になりながら、きれいに平らげていく。パンが日本のより硬く、野菜炒めが火の通りが悪くても、肉以外が食べられることに満足していた。食べ終わったころに、カウンターの奥からギルド役員がやってきて、同じテーブルに座った。


「初めまして、エリンエルのギルドのサブマスターのスーシーです」


 いきなりの制服を着こなす女性の重役の登場にも驚かず、雅紀はぽつりと、「この街ってエリンエルっていうんだ」と漏らす。それが聞こえていたのか、サブマスのスーシーが兵士さんをキッと睨みつける。門番が自分の町の名前を伝え忘れていたことは、問題だったようだ。


 責めるような視線から顔をそらすのを見て、ため息をこぼし、気を取り直して雅紀たちに向き直る。


「四人が凄腕と聞きまして、ぜひともお願いしたいことがありましてこうさせてもらっています」


 何やら言いたげなジョッシュと兵士さんを視線で牽制して何も言わせない。


「失礼ですが、年齢をお聞きしても?」


「えっと、全員17です」


「!17でワイバーンを一撃ですか。逸材ですね」


「いえ、あれは使い捨ての道具です」


 ギルドへの道中で話し合って決めた嘘をでっちあげる。真顔で面と向かって告げる。


「え、でも」


「いえ、道具の力です。実力じゃないです」


「でも弱いとかなんとか言ってたよな?」


「いえ、記憶にないです」


「「・・・」」


「で、では、現状について説明させてもらいます」


 微妙に固まった空気をほぐすように、慌てて会話を繋げる。


「ええ、お願いします」


「現在、エリンエルの街は南の魔の森での暴走を警戒してします」


「暴走?」


「魔物の大量発生のことです」


 魔物の大量発生。この世界の多くの街が悩まされてきた問題である。特に近くに魔力の濃い森や谷、ダンジョンがあるところで起きやすい。暴走、大量発生、スタンピードなどと呼ばれている。


「魔物?」


「ほ、本当に何も知らないのですね。魔物は魔石を持つ動物のことです」


「魔石はあの石かな」


「それは知ってるのですね。では改めまして。兆候が見られたのは四日前です。」


 検証を始めた次の日か、と思う雅紀。


「その日から二日間は、普段よりも少し多い程度でしたが、昨日から普段は森から出てこない魔物が、草原にて確認されました」


 俺たちが移動を始めた日か、と思う雅紀。


「そして今日森の浅いところにて、膨大な魔力が感じられた上、魔物が森から大量に流れてきています」


 あ、これ俺らのことじゃね、と思う雅紀。


「森の中に強力な魔物が生まれた際、魔物が逃げ出すように草原に出てくることが過去の資料からわかっています。これより私たちは、森に脅威となる魔物が発生したのでは、と結論を出しました」


 街の中が妙に慌ただしい理由を聞いて、やばい、俺らのことだ、と確信して、神妙な顔を保ちつつも心の中では空を仰ぐ。


 静たちはどうだろうと見ると、静と朱莉は澄ました顔をしているも、時折ぴくぴく顔が引きつっている。康太は、へー、それは大変だなあと気を紛らすようにしている


「そのようなわけで、この街では現在戦えるものを募集しているのです。何やらワイバーンまでもが出てきてしまったようですし。」


「でも、私たちは道具がないと・・・」


「ふふ、冗談はおやめくださいな。私は数多くの冒険者を見てきましたから、実力はある程度読めますよ。」


 自分の眼に自信があるのか、雅紀の眼をしっかりと見て強気で出てくる。


「改めましてお願いします。この街を救うのに力を貸していただけませんか?」


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