表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼空の竜騎士  作者: 黒影たかし
32/46

32話 避難

 ――――――― ジラール王国 王宮の会議室



「なんだと? フロストが落ちたと言うのか??!!」


 王宮の会議室では、国王を始めとした重鎮の会議が開かれていた。



 「はい、伝令によりますとフロストの街は陥落、西方騎士団は壊滅、騎士団長は勇戦虚しく戦死なされました」

「なんという事だ……」


「現在、落ち延びた兵たちが、王都へ向かっております」

「生き残ったのはどれぐらい居るのだ?」


「正確ではありませんが、二千ほどと報告が届いております」

「……1/10以下だと言うのか……」


「現在、フロストの街にエラン王国軍が駐留、軍の再編を行っている模様です」


 報告を受けて、驚く大臣達。しかし、国王、軍務大臣、国務大臣の三名だけは落ち着いていた。


「うむ……報告ご苦労」


 国王は報告に来た者にそう言うと、報告をした騎士は敬礼をして会議室を後にする。


「ハッ! 失礼致します」


 

 報告した騎士が部屋から出て行くと、国王は部屋に居る全員を見渡した。


「皆の物、聞いてくれ。こうなっては致し方ない、敵を王都に入れる訳には行かない。こちらも打って出て決戦を行う」


 国王の言葉を黙って聞く重鎮達。


「軍務大臣、敵を迎え撃つ準備をせよ」

「ハッ!」


「国務大臣、市民を出来るだけ東へ避難させるのだ、可能な限り、速やかにな」

「御意」


「では各自、準備に取り掛かれ!」


 会議は終わり、解散となってそれぞれが忙しそうに会議室を出て行く。最後に、軍務大臣と国務大臣の二人が残った。


「陛下、姫様達を後方へ避難させて下さい」

 軍務大臣は、陛下を真っすぐ見る。


「陛下、マティス殿下が行方不明となった今、姫様達がこのジラール王国の希望であります」

国務大臣も、軍務大臣に賛同した。


「お主達には感謝している。済まぬな、娘達の事で気を使わせてしまって……」

「何をおっしゃいますか? 我等三人でこの国を支えてきたのです、この先は、若い姫様達に託しましょう」


「うむ……軍務大臣、娘達の護衛の人選を頼む」

「ハッ!」


「国務大臣、そなたは娘に同行する侍女達の人選並びに、万が一に備えて、東の国へ渡る手筈を」

「御意」


「我等おいぼれ三人の底力を、帝国に見せつけてやりましょうぞ!」


 国王、軍務大臣、国務大臣の三人は、幼い頃から一緒にこの国を支えて来た戦友。三人は、自分達が若かった時の様に笑いあい、固く握手を交わした。





 エリス、ローラ、ビアンカ、シルフィードは呼び出しを受けて、一つの部屋に集められていた。


 そこへエリス近衛騎士隊のラルが部屋に入って来る。ラルの顔は険しい。


「ラル? いったい何があったのですか?」

 エリスが険しい顔のラルを見て、何事かと問いただした。


 ラルは全員が揃っているのを確認すると、いつもの口調では無く、騎士団長の口調で話し出す。


「エリスティーナ王女殿下、ローラ王女殿下、ビアンカ王太子妃は、早急に荷物を纏め、東方騎士団本部のある砦へ避難して頂きます」

「避難ですって??」


「はい、フロストの街が帝国軍によって陥落しました。まもなくここ、王都が戦場になります。従って姫様達は、後方へ避難して頂きます」

「そ、そんな……王都が戦場に?」


「ウィステリア伯爵代行は、その際、姫様達の護衛を願いたい。あなたの武勇は有名ですから」

「ちょっと待って、私はサンスマリーヌを守る義務があるのよ?」


 シルフィードはラルの言葉に声に驚いて抗議する。


「残念ながら、サンスマリーヌは帝国軍によって壊滅しました」

「……壊滅ですって??? ちょっと! 聞いてないわよ!!!」


「私も先ほど聞きました、帝国に占領こそされていませんが、サンスマリーヌはもう……」

「冗談じゃないわ! そんな状況で領地を放っておいて、私が避難できるとでも思って居るの?!!!」


 シルフィードは怒りを露わにしてラルへ食って掛かるが、しかし、ラルも珍しく感情を露わにした。


「今更焼け落ちた街に戻って何が出来るのですか?!! あなたもこの国の貴族なら、王家を守る方が先でしょ?!マティス殿下は行方不明! シン殿も居ない! 頼りにしていたドラゴンの力も借りれない!!この状況で! この状況でどうやって帝国と戦うのですか?!今は最後の希望として、姫様達を安全な場所にお連れするのが先でしょ? この王国が滅びて、領地だけ残ってもそれが何になると言うのですか?それが分からないあなたじゃないでしょ?!!!」


 ラルは、最後の方はほとんど泣きながら叫んでいた。


 王都に居る人間は、まだシンとマティスが無事な事を知らない。エラン王国に捕われたのか、殺されたと思って居る。そして、帝国との戦争はまだ先だと思い込んでいた所に、エラン王国の裏切りと侵攻。戦争の準備が整って居ない状況で、エラン・帝国連合を食い止めるのは、絶望的に思えた。


 この絶望的な状況で、国王はジラールの血を残す事を選択した。どちらかの姫が生き延びれば「ジラール」の血は残される。いつか帝国が倒れ、その時に王国が再建される事を夢見て……


「ラル……」

 滅多に感情を露わにして取り乱す事の無いラル。今のラルを見て、シルフィードは言葉が出なかった。



「とにかくこれは、陛下の命令です。異論は認められません。早急に支度をお願いします」

「わかったわ、ラル」


 エリスは涙を流すラルを抱きしめた。


「それと……」

「まだ何かあるの?」


「エリス様、私はこれより国王陛下直属の近衛に転属となります。エリス様は、ローラ様の近衛と、マティス殿下の近衛に引き継ぐ事になりました」

「嘘?……でしょ?」


 この言葉にはエリスも驚きを隠せない。今までずっと一緒に居て、エリスを守ってきたラル。そのラルが王都に残り、エラン・帝国連合と戦う。


「いいえ、今は一人でも兵が欲しい時です。我々はこれより、王都で帝国との最後の決戦に挑みます。私は一日でも、一秒でも長くエリス様の為に戦います。 今迄ありがとうございました。 今迄受けた御恩は一生忘れません。どうか、どうかお元気で……エリス様が幸せになるのを、心より願っています」


「ラル……」

「エリス様ぁ」


 エリスとラルは、抱き合いながら、最後の別れを済ませた。


 翌日早朝、王女二人と、王太子妃一行は、近衛騎士と多くの侍女達と共に、東方騎士団本部のある砦へと出発した。





 王女達が騎士団本部へ出発した後。夕刻、シン達ドラゴン娘一行は、王都へ帰還した。


「殿下!! マティス殿下!! よくご無事で!」

 近衛騎士達が、笑顔で駆け寄って来る。


「シン殿!! 無事の帰還、本当に良かった」

 ラルもシンを笑顔で出迎えた。二人の無事を喜び合う兵達に囲まれ、二人の無事を誰もが喜んだ。



 その後、直ぐにシンとマティス、アンナは会議室に通される。


「父上! ご心配をおかけしました」

「マティスよ、無事の帰還、なによりじゃ」


 国王と王子のの再会が一段落した所で、軍務大臣が口を開いた。


「殿下、エラン王国の報告をお願いします」

「わかった……」


 マティスはエラン王国での出来事を簡単に説明する。王都へ戻る途中でロンデリーヌ、サンスマリーヌへ立ち寄った事も。


「話はわかった、アンナ嬢は、エリスやローラと共に避難させよう」

「ありがとうございます陛下」


 アンナは深々と頭を下げた。


「なに、お主はローラと仲が良かったな?」

「はい、ローラ様とは同い年ですので、幼少の頃から仲良くさせて頂いております」


「ではアンナよ、今よりコロンナ侯爵家当主を命ずる、今後はローラを良き友人として支えてやってくれ」

「謹んで、お受けいたします」


 こうしてアンナは避難の為に、退出をして行った。


「さてシン殿? 此度の戦いに力を貸してはくれぬか?」


「陛下、私もこの国を守りたい気持ちは一緒です。竜騎士によって焼かれた街を見て来ました。微力ながらお手伝いさせて頂きます」

「頼むぞ」


「ハッ!」

 シンは帝国との戦争参加を表明した。


「陛下、一つ宜しいでしょうか?」

 マティスの意見に、国王は頷いて返す。


「西の砦に残っている守備兵ですが、あそこには騎士団でも精鋭が配置されています。これを遊兵としては勿体無い、ロンデリーヌ騎士団はまだ機能しております。ここは夜間の隙をついて、砦の守備兵と交代するのが良いと思います」


「確かに、西の砦は精鋭揃いだな」

「しかし、西の砦が突破されると、益々苦しくなるのでは?」


 マティスの意見に、反対する大臣達。


「いいえ、恐らく帝国は西の砦を落とす気は無いと思います。恐らく帝国もそこまで手が回らないのでしょう。我が軍の配置を見て、遊兵を作り出す事が狙いだと思います。流石に砦を空にする訳には行きませんので、こっそりと、ロンデリーヌ騎士団と入れ替えるのです」


「なるほど、確かに落とす気なら、とっくにやっているな」

「はい、従って、西の砦の騎士団を、王都での決戦に加えるべきだと思います」


「しかし、それではロンデリーヌの守備はどうするのだ?」

「西の砦が突破されれば、ロンデリーヌの騎士団だけでは防衛は不可能です、居ても居なくても一緒ですよ」


「うむ、マティスの案を是とする」


「それともう一つ。サンスマリーヌの騎士団の生き残りを、万が一に備えて東方騎士団砦に配置をお願いします」

「それは何故だ?」


「ウィステリア伯爵代行が、妹達と一緒に避難していると聞きました。ここはウィステリアの騎士を配下に置くのがベストでしょう。少数の近衛達ではいささか心細い。それであれば、ウィステリアの騎士を遊ばせておくのはもったいないのでは?」


「それもそうだな。あのお転婆娘の騎士達なら、万が一の時には役に立ってくれるだろう、許可しよう」

「ありがとうございます」


 こうして、決戦を迎える準備が着々と進んで行く。「ロンデリーヌ」「サンスマリーヌ」へ作戦を伝える為、早馬が駆けて行った。





 夜になり、シンとマティスは一緒に食事をしている。


「ありがとうシン、君の力を借りる事が出来て助かるよ」

 マティスは唐突にそう話始めた。


「いえ、流石にあのサンスマリーヌを見て、僕も黙っては居られませんから。僕に剣の稽古をつけてくれた騎士も、アビスと仲の良かった魔術師達も、皆やられましたから」

「そうか……」


「ところで殿下、ソフィーの鱗がまだ余っています。それと、僕の鎧を作った時のグリフォンの皮も防具職人が引き取りました。殿下の鎧を新調しては?」

「レッドドラゴンの鱗か? 良いのか?」


「ええ、殿下に死なれると、僕が後味悪いですから」

 シンは笑いながら答える。


「ありがとうシン、早速明日手配するよ……もっとも、間に合うかは微妙だけどね」

「そうですね」


 エラン王国が何時進撃を開始するかわからない状況では、今から大急ぎで鎧を作っても間に合うかは微妙だった。


「それよりも籠城せずに、迎え撃つ作戦ですが……」

「それがどうかしたのかい? エラン王国軍2万5千に対して、こちらは集めるだけ集めて2万、数的に不利だけど、籠城してもフロストの二の舞になるしね」


 籠城戦の方が、守る側にとっては有利なのは間違いが無い。しかし、籠城戦となれば、城壁の上に兵を配置して、上がってくる敵兵を迎撃する事になる。城壁に居る兵達は、ワイバーンの良い的だ。更にワイバーンの集中攻撃で、攻城兵器が無くても簡単に城門は破られてしまう事が分かっている。城門が容易く破壊されるのなら、籠城戦に拘る意味はあまり無い。


「その数って、竜騎士を除いての話ですよね?」

「ああ、わかっているさ」


「勝てると思いますか?」

「正直、難しいね……」


 マティスもこの状況で、勝てるとは思っていない。しかし後が無いのも事実で、ここで帝国を止める以外方法が無い。


「ちょっと僕に色々考えがあるのですが……」

「なんだい? 勝てる算段なら喜んで聞くよ」


 シンは、対空弓の扱いを、人間に限定するべきだと進言した。


「どうせ竜騎士に撃っても当たらないんですから」

「酷い言い方だな、苦労して開発したのに。しかし、それなら騎馬には有効的だね」


 シンは現代兵器の機関砲の様な使い方を出来る対空弓を、騎兵隊の突撃阻止に使う様に提案する。その場合の配置のしかた、十字砲火を撃てるように配置させる。リロード時間も考慮して、二台一組で運用させる様にするのだ。


 その他にも、色々な話をマティスと繰り広げた。あちらの世界では常識だと思って居た事が、こちらでは常識では無かったりと、驚くことが多かった。魔法文化の発達のせいで、魔術師による火力勝負みたいな所があり、小手先の罠などは考えもしないみたいだった。




「落とし穴? 穴なんか掘ってどうするんだ?」

「馬が落ちます」


「いや、確かに一時凌ぎにはなるだろうけど……」

「え? 最初から油を流しておくんですよ? 馬が落ちたらファイアボールで火を点ける、落ちた馬や人は火だるまです、更に火が上がればそこは迂回しないといけない」


「……シン、君は顔に似合わず、酷い事を考えるね?」

「えぇぇぇ? 僕の世界では常識ですよ?」


「そうなのか?」

「火の上がった穴は迂回するしかないですよね? 相手は罠とも知らずに迂回する。そこを対空弓でバッサバッサと倒すんですよ、効率良く敵を倒せる」


「なるほど……それなら簡単に敵を誘導できるわけだ……」

「ってか、小学生も知ってますよ? それぐらい」


「なるほど、ところでシン? 君は本当に何者なんだい?」

「へ?」


「軍人でも無いのに、兵器の有効利用法など、見ただけで述べるし、他にも色々と詳しい、いや、詳しすぎるんだけど?」


(マズイ、調子に乗りすぎた?)

「うぅ……ただの竜族の使者です……」


「シン? 君は自分では気が付いて無いかもしれないけどね、時々「あちらの世界」だとか、「むこうでは」だとか、そう言いながら、僕の知らない単語ををいくつも使っているんだよ、自覚が無いかもしれないけどね。そしてその知識はとても平民の物では無い」


「嘘? 本当に?」


「さっきも、ショウガくさい? とか言ってたしね」

「あははは、そうでしたっけ?」


 マティスは真剣な表情になる。


「そろそろ、本当の事を教えてくれないか?君が記憶を失っているのは、嘘だろ?」

「……」


「なあシン、僕は君を信頼したいと思って居る。しかし、今の君は何処かの国の工作員ではないかと疑ってしまう」


 マティスのシンを見る目に、殺気が籠っているのをシンは感じた。


「ふぅ……わかりました、そんなに怖い顔をしないでください」

「じゃあ本当の事を言ってくれ」


「今迄嘘を言った事はありませんよ、記憶を失っているって部分以外はね」

「じゃあ君は何処の国の人間なんだ? 何が目的で我々に近づいた?」


「日本国、僕はそこから来ました」

「それは何処の大陸にある国なんだ?」


「どこにもありませんね」


 マティスは無言で立ち上がると、置いていた剣を取る。その顔は怒りに満ち溢れていた。


「いやいやいや、殿下! 落ち着いてくださいよ、冗談とか嘘を言っている訳じゃないですよ」


 シンは素直に、異世界から来たと話したが、異世界の意味が理解できないマティスに一苦労した。


「だからですね、童話の中の世界みたいな物ですよ」

「本当にそんな事があるのだろうか? 信じられないな」


「僕自身、今でも信じられませんよ」

「魔法の無い世界か」


「そのおかげで、道具の技術が発達したんですよ」


 その後も、シンの世界の話で盛り上がり、今の魔法の技術を上手く利用して、色々な物が出来ないか論議した。素直に話したおかげで、シンのアイデアをマティスが実現できるか検証して行く。


 二人の議論は白熱して、気が付いた時には深夜をとっくに過ぎていた。







 翌日、朝からマティスは、昨夜シンと話した内容で、実現できる策を幾つか練り、将軍達と軍議に入っていた。もちろん、シンが異世界人だと言う事は、マティスは口外しないと約束してくれた。言っても誰も信じないだろうし、異教徒だとか魔人だとか言いだして、万が一シンと敵対されても困るからだ。


 更に、防具職人と道具職人を呼び寄せ、ドラゴンに乗る鞍を二つ追加してもらう事にした。


 マティスの鎧も追加発注する。


 シンも途中から軍議に加わり、作戦の詳しい詰めを行う。マティスだけでは上手く説明できなかったり、問題点が出てきたので、シンの助言が欲しいとの事だった。




 軍議が進む中、密偵からの報告が届いた。


「報告します、フロストに居る密偵からの連絡によりますと、エラン王国が王都へ侵攻するには、最低でも一週間以上かかる様です」


 シン達にとっては、嬉しい報告だった。時間は多い方がシン達に味方してくれる。理由は簡単だった。敵の戦力の要、竜騎士部隊のワイバーンの餌不足だった。50匹ものワイバーンを集中運用した為、餌になる家畜が足りないのだ。


 四匹のドラゴン娘達でも、シルフィードは根を上げたぐらいだ。それが50匹となると、相当な数の家畜を消費する。とてもじゃないが、フロストの街近郊の家畜を全て集めても足りない。


 当然、エラン王国や、帝国からも家畜は呼び寄せているが、まったく足りていない。牛や馬を大量に生きたまま輸送するのだ。馬車に乗せる訳にも行かず、牛や豚をロープで繋いで歩かせる訳だが、馬と違ってなかなかいう事を聞かない。ワイバーン達の食料補給は遅れていた。今回の遠征が急だった為に、家畜の移動が間に合わなかったのだ。これが帝国内部であれば、ワイバーンの餌用に多くの家畜が居る。エラン王国や、ジラール王国はワイバーンを運用する訳では無いので、家畜の数が帝国国内に比べると、極端に少なかったのだ。


 腹の空かせた餌の無いワイバーンは凶暴になり言う事を聞いてくれない。自分達で狩りをしたことの無いワイバーンは餌が貰えて当然なのだ。竜騎士部隊は、家畜が届くまで待ちきれずに、一時的に帝国領やエラン王国へ分散させるしか無くなった。


「帝国の問題か、エランの問題か知りませんが、随分と補給担当者は間抜けの様ですね」


 シンはそう言って笑った。家畜の消費率など、恐らくエラン王国は考えても居なかっただろう。


「あ! うちの娘達は自分達で勝手に狩りしてきますから、問題ないですよ」

 ドラゴン娘達は、王都近郊の森で狩りをしている。午前と午後、一日二回、二手に分かれて狩りをしているので、彼女達は不満が無かった。


 翌日、シンとマティスはドラゴン娘達に乗って「東方騎士団本部の砦」へと出発した。


 シンとマティスの考える、反撃作戦の第一歩実現の為に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ