第4話 八雲
始まるよ
※ 誤字や脱字は脳内補完でお願いしますm(__)m
「どうぞ」
「あ、どうも…」
金髪の女性にお茶を出される。こちらの世界に来る頃には考えられなかったことだなー、等と現実逃避じみたことを考える。
なぜって、そんなの目の前に九本のもふもふしてそうな尻尾を生やした美女がいたらそんなことになるに決まってるじゃないか。
現実逃避は、なんで自分がこんなところにいるのかへの逃走、もとい回想へと変わっていく。
時間は戻りあの庭先に放り出されたところ。
「あ、え?」
いま、あの人は何て言った?大切な人の孫?それに俺の名前も?
そんな風に呆けていると美女は、縁側から降りこっちに歩いてきた。
「やはり、覚えていないの。まあ、無理もないわね、あなたとあったのは10年程前だもの」
(俺はこの人と会ってるのか?でも、そんな記憶)
「知りたい?」
「え?」
「あなたと、あなたの祖父、龍矢のことを」
そう、彼女は祖父の名前を一語一句間違えず言った。
「……知りたいです」
ならば、きっと知ってるだろう。祖父のこと。そして、分かるのではないだろうか、祖父の望み。
「いい返事よ、では、付いてらっしゃい」
彼女はそう言うと縁側の方へと歩いていく。
「あ、あの…!」
それを、引き留める。
「何かしら?」
振り向いた彼女へと、聞きたいことを訪ねる。
「名前、教えて下さい」
「名前?……八雲紫よ」
「やくも、ゆかり」
「さあ、行きましょ」
彼女はひとつ微笑むとまた歩き出した。
(そして、今に至る)
俺は、縁側のすぐ近くにあった部屋へと通され今はそこにある長机の前に座っている。
先ほどの美女……八雲紫さんは、取りに行くものがあるといって何処かに行ってしまった。
で、今はあの九本の尻尾を持つ美女____こちらは八雲藍さんと言うらしい___と共に紫さんが来るのを待っていた。
(しかし、まぁなんというか。…………きまずい)
そう、きまずいのだ、藍さんは、目を閉じて部屋の隅で正座をしている。
(これは、話しかけるなと言うことなのだろうか、それとも紫さんが来るのを待ってる?きっと、後者だよな?)
「なあー」
と、そんな風に考えをぐるぐると巡らせていると不意に隣から鈴の音をならしたような声が聞こえた。
顔を上げ隣を見るとそこには、綺麗な毛並みの猫がいた。
「猫?どうしてこんなところに?」
「なー」
猫は、一鳴きするとこちらの方へとてとて歩いてくると正座をしていた足へと足を乗せるとまたこちらを見て一鳴きする。
(これは、寝やすい体制になれということだろうか。ていうか、この猫尻尾が二本ある……この猫も妖怪なんだろうか)
そんな風に猫のことを考えながら、正座から、胡座へと体制を変える。すると、猫は胡座をかいた足に乗るとそのまま丸くなってしまった。
「ほう、珍しいな。橙が初対面の人間になつくなんて」
丸くなってしまった猫を撫でていると、今まで黙っていた藍さんが此方へと話しかけてきた。
「橙?この子の名前ですか?」
「ああ、その子も普通の猫ではなく私の式神なんだ」
「式神……」
呟き、眠っている橙を見る。その寝顔は俺のよく知る猫そのものだった。
橙が、眠ってから数分紫さんが一冊の本のようなものをもって戻ってきた。
「じゃあ、始めましょうか」
今回は八雲さん家でのお話でしたね。次回では真矢と、祖父である、龍矢の事に迫りますん。
では、次回もよろしくお願いしますm(__)m