君のいない世界で。
そのあと、僕は、セグを背負って隊に合流した。
やっぱり、セグの死を悲しんでくれる人は、いなかった。彼らにとって、僕たちのような子ども兵は捨て駒で、代わりはいくらでもいる。
――――でも、セグがいなくなって、僕は気づいたんだ。
セグの代わりは誰もいない。命は、とても大切なものなんだって。この世界に“命”はたくさんあるけど、その人の代わりにはなれない。
僕はあれから、“NGO”っていう人たちに助けられて、他の子たちと一緒に軍隊から抜けることができた。でも、僕たちには身寄りのない子たちも多く、村へ帰っても人殺しとして扱われる。僕にも家族はいないし、‥‥‥セグだっていない。
大人の人に言われて、ずっと抱えてたセグを埋めて、小さいお墓もたててもらって――――僕は、最初は泣いてばかりだった。どこにも、居場所がないような気がして‥‥‥。
戦う以外の生き方は知らなかったけど、他の国から来たっていう大人たちが教えてくれた。少しずつだけど、村での生き方を僕たちは学んでいけた。
セグがいなくなって、僕はずっと考えた。これからのことや、セグがなんで僕を守ってくれたのか――――セグは、優しさはこの世界に必要だって言ってた。僕なら、戦いのない国でも生きていけるって。
それで、思ったんだ。セグはきっと、僕を信じてくれたんだって。
だから僕は、セグの分も生きるって決めた。セグは、僕の心の中で生きてる。これからも、ずっと一緒に歩いていく。
『――――セグ。僕の大切な友だち。
ここまで守ってきてくれてありがとう。君のおかげで、僕は生き延びることができた。
本当は、一緒に生きて、“戦いのない国”を見てほしかった。僕が信じた世界を、君と歩きたかった。
ずっと一緒にいられると思ったのに、突然いなくなって。ぽっかりと、心に穴が空いて。
ねえ、セグ。僕、大人になったら誰かを助けられる仕事をしたい。君が僕を守ってくれたように。僕たちを軍から助けてくれた人たちのように。
‥‥‥君が、その命と引き換えに教えてくれたんだよ。命の大切さを。生きる喜びを。
これからきっと、辛いことも苦しいこともたくさんある。でも、僕は諦めないよ、生きることを。
君に、お礼を言えなかったね。――――しあわせ、だった?
最後に、もう一度――――ありがとう、セグ。
僕は、幸せだったよ。君と出会えて、君と過ごせて。
また、来世で会おうね。
リーフ=アルヴァン』
『地球に生きる生命の物語』 ~おわり~
о『地球に生きる生命の物語』を読んでいただき、ありがとうございました。正直、この小説は終わりが見えず、どうなるかと思いましたが‥‥‥無事、完結できて良かったです。
оこの作品を書き始めたきっかけは、やはりひとりでも多くの方々に主人公たちのような存在を知ってほしかったからです。本当は、参考文献のような本を読んでいただいた方が、現実味も説得力もあるのですが、本屋にもあまり置いていませんし、小説の方が手軽かと‥‥‥。
оあとは、これは私のわがままですが‥‥‥彼らのような子どもたちを、忘れないでほしかったという理由もあります。どんなに長い戦争や内戦もいつかは終結し、平和が訪れるのでしょう。もちろん、それが私や彼らの望む世界です。
ですが、それと同時に、犠牲者たちが歴史の闇に埋もれ、消えていってしまうのが怖かったのです。
犠牲の上に平和があることを、尊いたくさんの命があることを、どうか忘れないでください。そして、同じ過ちが起きないよう。
―――「過去をどう生きたか、じゃない。今をどう生きるか、だよ」―――
ひとりひとりの手を、つなげていきましょう。
命はみんな、同じです。
梅村 夕菜




