表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ほんっと、最低!

作者: ココ

清潔感のあるシンプルな部屋で男は女に話しかけていた。

「ハルー?なに怒ってんのー?」

机に頬杖をつきながらテレビを無言で見る彼女の背中に声を掛ける。


「・・・。」

ハルと呼ばれた女は、男の声が聞こえているが返事をしなかった。


「無視すんなよー。ハールー。」

ハルの背後にのそのそと近づく男。


「・・・。」

男が近づいてくるのを感じとり、ハルは横にあったクッションを男に投げつけた。


「イテッ!なにすんだよハル。」

思い切り顔面でクッションをキャッチした男は、ハルに文句を言った。


「・・・くっさ。」

鼻をつまんで顔をしかめハルはつぶやいた。


「・・・え?」

男はキョトンとした表情をうかべた。


「くっさい!!」

鼻をつまんでいるため鼻声でハルは不機嫌そうに言った。


「え、うそ。まじ?」

男は慌てて自分の服や腕の匂いを嗅いだ。


「まじ。気持ち悪い。」

右手で鼻をおさえ、左手で口に手をあてるハル。


「ちょ、そこまで言うことないだろー。気持ち悪いって、結構ショックなんだけど。」

あまりにもハルが拒絶するので男は少しすねながら言った。


「怜央。」

ハルが男の名を呼んだ。


「・・・ん?」

すねていた怜央は顔を上げハルの顔を見た。


「・・・お風呂。さっさと行ってきて。」

少し迷ったような顔をした後、しかめっ面をしながらお風呂を指さした。


「・・・はーい。」

怜央はそんなハルを見てにやっと笑い、小さい子のように大きく手を挙げ返事した。


「・・・。」

怜央の笑い顏を見てハルはさらに顔をしかめた。


怜央はこれ以上ハルの機嫌を悪くさせないように余分なことを言わず風呂場に向かった。




「・・・可愛いねぇ。」

脱衣所で服を脱ぎながら、先ほどのハルの反応を思い返しながら怜央はそう呟いた。





「・・・はぁ。」

怜央のシャワーの音を聞きながら、ハルはため息をついた。


さっき、ハルが怜央を臭い、と言ったのは決して怜央の体臭がキツイわけでも汗臭かったわけでもない。では、なぜ臭いと言ったのか。それは怜央が女物の香水をぷんぷん香らせていたからだ。おおかた、ハルの家に来る前他の女といちゃいちゃしていたのだろう。浮気を隠す気が全くない怜央に本当は帰れ、と言おうと思っていたのだ。だが、実際怜央の顔を見ると出ていけとは言えなくなってしまった。それを怜央は見抜いたのだろう。出ていけ、ではなく風呂で香りを消してこい、と言ったハルの本音に。


風呂場からシャワー音と共に怜央の鼻歌が聞こえてきてハルはもう一度大きなため息をついた。







読んでくださりありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すっかり怜央の手綱を握っているハルちゃんにほっこりしました。 いいなぁー! 体臭を指摘したらすんなりお風呂に入ってくれる彼氏がいたり、離れていかないって判ってるから浮気もどきを許せる関係って…
2015/04/01 03:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ