プロローグ
この世には三種類の人間がいる。
まず一人は普通の人、一般人だ。しかしながら、一般人についてはよくわからないというか、俺達のような『特殊傭兵』は基本的には一般人とは依頼の受注者と依頼者の関係でしかないため、上手く説明することができないというかなんか。
まぁ、一般人については俺なんかよりわかっているとおもうし今回は『特殊傭兵』のほうの二種類を紹介したい。
紹介したい二種類の人間とはなにか?
それは、強者と弱者である。
その二種類の人間の違いはいろいろあるが、大きな違いといったら
信じるもの
なのかもしれない。
弱者は仲間を信じるのに対し強者は自分の力を信じる。
信頼を置くものが違うというのだろうか。
弱者は、仲間と信頼し合っていて、集団で行動する。
強者は基本的には自分だけを信じていて、個人行動、もしくは少数行動である。
何が弱者と強者とに分けるかといえば、それは自分自身であろう。それなのに、なぜ集団行動ができる弱者にならないでいるかといえば、強者は少数行動の評価が高く、受注可能な依頼が多いのだ。
なぜなら強者は自分を信じて少数で行動するだけの自信がある。
だから、人は弱者より強者を選ぶ。
強者は、リスクが大きい。強者と名乗るからには依頼で失態でも犯せば、評価はガタ落ちする。確かに、弱者も失態を犯せば評価落ちるが強者と並べて見ると比ではないくらいのものである。
信頼度が高い分落ち度も大きいのだ。
見栄を張って強者になってだめになったやつも何人か知っている。
それに対しての逆は少ない。
それだけ、リスクを負ってでも、強者でいるメリットは大きいのだ。
だから強者から、弱者になるやつは少ない。
しかし、弱者で居続けるものは結構いる。
弱者の仲間を信ずるというものを守り続け、強者になれるだけの力を持ちながら、弱者という立場で居続けるのだ。
と、このように、二種類の人間がいるわけだが、この二者はあまり仲がよくない。
中にはそうでもないものもいるが基本的には仲が悪い。
弱者からすれば強者は薄情者で、強者からすれば弱者は群れる雑魚である。
強者は弱者をうっとうしいと思っていたり、邪魔者だと思ってしてるものも多い。
両者が両者にそんなことを思い合ってるから、仲が悪い。
弱者は強者を嫌う。
俺もその一人だ。
強者なんて、どうせ……ろくでなしばかりなんだろう。
だけど、そう思うのも今回までなのかもしれない。
そりゃ、強者のなかにもまともな奴はいる。
今回はそういったまともな奴を認識してちゃんと認める話なのかもしれない。
人に心がある限り、『弱者は弱者らしく、強者は強者らしく』なんて無くなっていつか認めあえる世界なんて来ないだろうが、せめて、俺の知ってる小さな世界の中でくらいなら認め合える日が来るのかもしれない。
本当にそういった日が来るかどうかなんてわからないが、それまで、少しの間なのか長い間なのかはわからないが、しばらくそんな俺の知ってる範囲の小さな世界の話に付き合ってくれるならとてもうれしいと俺は思う。