第0話 過去のエピローグ
残酷な描写をどこまで表現できるかわからないので、残酷描写警告は予防です。
同性愛要素も軽いものなのそちらを期待する人は読まないでください。また、戦闘もありますが、あまり戦闘描写には期待しないでください。
はるか昔、この世界、メンティスティアは大気中に含まれる生命子を体に取り込み、精神と共鳴させることで発動できる生命術の恩恵により、類に見ないほど発展していった。
誰でも、どんな種族でも生命術を使いこなし、多くの魔具を生み出していった。
しかし、その繁栄も長くはなかった。突如として現れた未曽有の生命体心魔とその存在によって豹変した原生生物である魔物の前に滅びを迎えんとしていた。
それらには生命術は効かず、心の力である、心力をによって現象を具現化する心術でしか傷をつけることさえ出来なかった。
しかし、心術は生命術とは違い、一部の種族しか使うことができなかったため、多くの者が犠牲となってしまった。
そんな中、アトム・マクスウェルという名の賢者が自らの心力を武器として具現化することの出来る心装術を創り出した。そして、その心装術によって具現化された武器は心装具と呼ばれた。
これにより、心術の使うことの出来ない人たちも、心魔に抗うことが出来るようになったが、依然として心魔の勢力は衰えることはなかった。
それを見かねた賢者マクスウェルは心魔を討つ為、世界の根源の属性である四大属性である地、水、火、風、そして月、太陽、幻、雷、氷、闇、根源の属性を持つ者の中で、生まれつき心力が大きかった11人の人物を選んだ。
それぞれ、「地」のノーム・マイン(ドワーフ)、「水」のウンディーネ・アクアリムス(マーマン)、「火」のイフリート・インケンディウム(エルフ)、「風」のシルフ・ウンデキム(ヒューマン)、「月」のルナ・ルーメン(ヒューマン)、「太陽」のアスカ・ルクス(ヒューマン)、「幻」のレム・ファント(エルフ)、「雷」のヴォルト・トール(ヒューマン)、「氷」のセルシウス・クリアス(ビスティア)、「闇」のシャドウ・エレベアス(ヴェネス)、「根源」のオリジア・ゼクス(ヒューマン)といった。
賢者マクスウェルはその11人と共に戦い、長い攻防の末、心魔の力の根源であった心魔神の居場所を突き止めた。
そして、その地において、心魔神の憑代となっていた者の肉体を滅ぼし、心魔神本体を封印することに成功した。
心魔神が封印された地には、彼らの力を集結した「封魔の神殿」が作られ、メイヴと名づけられた。
こうして彼らは英雄となり、彼らが立て直した地域にはそれぞれ、彼らの名が刻まれた。
今の平和は彼らの功績であることはいうまでもなく、永久に語り継がれていくことだろう。
「メンティスティア英雄伝記より一部抜粋」
現在のメンティスティアでは、心魔によって生み出されるはずの魔物が再びこの地に現れ始めた。
そのため、心装具と心術がとても重要視されていた。
先代王クラン・マクスウェルは心装具にランクをつけ、そのランクにより、人の価値を決めるようになっていた。ランク5が最高で宝具級、ランク1が最低で役立たずとされた。
その上、ランク3以下では帝都があるマクスウェル地方で暮らすことさえ許されなかった。
それだけでなく、先代王であるクラン・マクスウェルは全地方から、四大属性の心装具のランク5を持つものを集め、心装騎士団を結成すると、四大属性以外を弾圧し始めた。
そのため、先代王が崩落した後も、帝都では今なお、ランクや属性にこだわるものが多く、たびたび諍いが起きていた。
そのほかにも、ビスティアなのに「火」、ドワーフなのに「風」などのように種族に仇なす属性を持ってしまうものも現れ、それらは処刑されたり、集落を追放されたりしていた。
そんな世の中、多くのランク3以下及び四大属性以外の心装具を持つもの達は、あるものはそれぞれの地方に都市や集落を造り、またあるものは安住の地を探す旅をし、またあるものはギルドと呼ばれる連合組織を立ち上げ、魔物を狩る生活をしていた。
それでもまだ平和だった。いや、平和であろうとした。
だが、それゆえにまだ誰も気が付かない。いや、気付けなかった。最悪の事態に。
ほとんど見切り発車での連載です。今回はプロローグだけですが、次はキャラ紹介を投稿したいと思います。
本はよく読みますが、書いたのはほぼ初めてです。改善点や応援の感想をいただけるとうれしいです。