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8.
最後の最後に失敗するとは、俺も馬鹿だな。
「なんで、お前が、ここに」
「はは、ばれちまった、な。大輔が消えてから、俺も、飛ばされたんだ」
「僕、要を殺した」
「まだ死んでねーよ。役目を終えるまで、魔王は死なない、死ねない。いくら死にそうだってな」
でも実はちょっとしんどい。
俺はゆっくりと腕を腹まで持っていくと、まだ刺さっていた剣を抜く。とたんにゴボリと噴き出す血。
「要!大丈夫?ねぇ、要!」
大輔が必死な顔で俺の腹に手をあてる。そんなことしても血は止まらないってわかっているだろうに。
「…大輔」
「うん」
「あとは、頼んだぞ?……我、魔王、佐々木要。魔王を撃ちし勇者、千葉大輔の願いは古の誓約より果たされし」
あぁ、酷くだるい。
でもあとはあいつが願いをいうだけ。
俺の役は終わった。
「さぁ、あと、は、お前のしごと、だ。おれは、もう、ねるな。いつか、いつかまた―――」
会えるといいな。
あぁ、眠い。




