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7.
その時、突然横から短剣が飛んできた。大輔の仲間の女かららしい。
くそっ、あのノーコンめ。体がまともに動かないくせして投げるもんだから、大輔に刺さりそうになった。
急いで大輔と位置を変えた。結果的に、短剣は俺の肩に刺さり、体勢が崩れたところに大輔の剣が、俺の腹に突き刺さったのだった。
今度は俺が地面に膝をつく。ゆらりと揺れて、地面に倒れた。
大輔は信じられない目をして、俺を凝視した。
「なんだ、もう少し嬉しそうな顔をしないか。魔王を倒したんだぞ?」
大輔の仲間がいう。
「そ、そうよっ。帰れるのよ、勇者様!」
そうだ、もっと嬉しそうな顔をしてくれよ。
何故か真っ青な顔の大輔がわなわなと震えながら口を開いた。
「か、かな…め?要、なのか?」
倒れた拍子に面が取れたようだ。