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6.
「それで終わりか、勇者よ」
大輔が方膝をつく。
「勇者様、諦めないで!」
「そうだぜ大輔、まだまだだろっ!?」
大輔の仲間であろう2人が叫ぶ。2人とも、既に俺によって壁に打ち付けられて体が動かないようだ。
いい、仲間に巡り会えたのだな。
しかし、ここで大輔が立ち上がってくれなければ、俺も困るのだ。
「さっさと立て。千葉大輔よ。いや、弱虫だいちゃん、か?」
ビクッと大輔が反応し俺を見る。
「どこで、それを?」
「俺は魔王。そなたのことはわかるのだ。それで、諦めるのか?ならば、さっさと終わりにしたいのだが」
「うるさいうるさいうるさいっっ!!僕は弱虫なんかじゃないっ」
「ならば、証拠を見せろ。かかってこい」
「あ゛ああぁぁ!!!!」
これは、昔からあいつのトラウマだ。つついてやれば、逆上してくるだろうとは思ったが、予想以上だ。
怒濤の勢いで剣先が向かってくる。
受けて、流して、たまに攻撃して……わざとらしく倒れては絶対に気づかれるだろう。




