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3.
目覚めたのは、ご立派な椅子。
目の前には部屋に入らないほどのヒトガタ、と、化け物。
しかし俺にはわかっていた。彼らは人間ではないということが。
そして俺もすでに人間ではないということも。
情報は、既に頭に流れ込んでいて、俺はソレを受け止めていた。
俺は魔王であること。
ここは魔国であること。
今目の前にいる彼らは魔人と魔物であること。
人間とは相反する存在であること。
とにかく、たくさん。
海を挟んだ大陸の人間側で、勇者が現れた。ならばと魔族(魔人、魔物をまとめた呼び方)側は魔王を呼んだ。それが俺だ。
別に魔族が人間を脅かしているわけではない。が、昔から、この関係は変わらないし、そういうものらしいのだ。
俺はなんとなくわかっていた。
勇者は、大輔だということ。
なぜならば、勇者が現れたのは1月前なのだ。合わないはずがない。それに情報として、頭に入ってきていた。
俺はあることに感動した。
そして、自分の役割を即座に理解したのであった。