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2.
大輔が消えてから1ヶ月が過ぎた。
大輔の存在は全ての人の記憶から消去されたらしく、誰に聞いてもわからないと言われる。
辛かった。
大輔がいないことが。
あいつは俺の恩人で、友で、家族だった。
虐待されていた俺の唯一の心の支えだったのだ。
まだ恩を返していないし、ずっと一緒だと思っていたのに。
大輔を探そうにも、探しようがなかった。
ところが、ある日。
休日だったので、部屋にいた俺は、突然胸に、いや全身に広がる激痛で床に倒れた。
苦しくて、もがく。
頭の中で、誰かが俺を呼ぶのだ。
あぁ、痛い。
痛い。
どこか、頭の片隅で、これは大輔の時と同じなんじゃないかと、わずかながら希望を持ちつつ……
俺はこの世界から消えた。