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1.
なんなんだ、これは。
俺、佐々木 要は17歳の高校生である。
その日は、小学生の頃からの仲である千葉 大輔とともに学校から帰宅している途中であった。
あいにく、クラスは違うのだが登下校は一緒で、大学の志望校も近かったから、この関係は変わらず続くのだろうと思っていた。
他愛ない話をしているといきなり大輔が胸を押さえて地面に倒れた。明らかに尋常じゃない量の汗をかいていた。
「おい、大輔!どうしたんだ!?」
「か、かなめ……苦しい、胸が苦しいんだ。……あ゛ぁっ!!助けて!いきたくない、行きたくないっ!」
大輔は喚くと、俺のズボンにすがり付き、しきりに行きたくないと叫ぶ。そういいながらも大輔の体はなぜか徐々に透けていくのだ。
「おい!おまえ体が消えてるぞ!どういうことなんだよこれはっ」
「呼ばれてるんだ、だれかにっ!!僕は行きたくないのに!要ぇ、助け………」
大輔は消えた。文字通り、消えたのだ。
残ったのは、大輔の鞄だけだった。
こんなにも大声を出していたのに、近隣の家から、誰1人として出てこなかったことが印象的だった。