えぴろーぐ。
要の体はどんどん冷たくなっていく。
消えていく命に愕然としながらも、僕は勇者としての役目を果たさなければならない。
でも、その前に、
「おやすみ、要。待ってて、すぐ、会えるから」
「お前、なにするつもりだよ」
「ここまで付き合ってきてくれたこと、感謝してるよ。でも、ごめん。僕、帰れないみたい」
「なぜですかっ!?魔王は死んだのにっ」
ルーアが喚く。
そう、魔王は死んだ。
「そいつ、知り合いだったのか?」
これはリヤンの声、でも僕の視線は要に注がれたまま逸れない。
「僕の、全てだった」
いじめから助けてくれた。友達になってくれた。寂しいといったら、同じ高校に通うといって、ランクも下げてくれた。いつも、いっしょだったのに。
要に会いたくて、だから帰りたかった。
なのに……
「要のバカ。僕を置いていくなよ」
後ろを振り反って二人を見る。まだ動けないみたい。好都合だ。
「じゃぁね、二人とも。僕は行くよ」
「……気を付けろよ」
リヤンはなんとなく察してくれたみたい。苦笑いをうかべながらも、止めずにいてくれた。なんだかんだで色々助けてもらったな。
「勇者様、なにするおつもりですか!」
ルーアはまだ喚いてた。うん、最後まで扱いに困る人だな。
ルーアは無視して、僕は右手に要の血がついた剣を、左手に要の体を抱えた。
「魔王を撃ちし勇者、千葉大輔。我が願いは――」
どうか、来世も共に。
そうして
幕は、閉じた。
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