後編(最終回)
すると、
隣のヤワそうな男が
「あんた、その話し違うよ」
と急に偉そうに話し始めた。
「どこかのオヤジが、
オマル、オマル、オマル
って大男を呼ぶところまではたしかに合ってるよ。
だがな!
その後が違うんだな」
「どう違うのですか?」
俺は思わず口を出してしまった。
「さっき、
あんたの隣が、
椅子クソ兄弟に指さされた
と言っただろう。
あんたのお隣さんが本物なら当然知ってるはずさ」
「すいません。あれは嘘です」
先輩はあっさりとホラを認め、
軽く頭を下げる。
「やはりな。
本当はな!
オマル、オマル、オマル
と大声で叫んでいたオヤジが少しづつ、
その親子に近づいてきたとき、
その兄弟に指差されたそのガキは、
竹刀を持った教師を指差したんだよ。
そしたら、
そのハゲ親父は、
そのオヤジにむかって、
「もうその呼び方は勘弁して下さい」
と大声で言ってから、
「こういう教師がいるからいじめはなくならねえんだ。
すべてをガキのせいにするんじゃねえ」
と怒鳴ると、
その教師の竹刀を取り上げて
教師の身体中を竹刀で叩きまくった」
というのが実話だ。
もちろん、
最後に例の兄弟に指差されたガキも、
オマルって叫んでいたオヤジに
こっぴどくやられたらしいがな。
まあ、
今なら警察沙汰になるところだろうけどな。
時代が違うからよ
ああ、
それからアレがとぐろを巻いていたなんていうのも大ボラさ。
いくら器用なガキでも絶対無理だ。
器用な俺が何度も試したんだから間違いはねえ」
と偉そうに話しを終えた。
後で聞いたところによると、
例のホラ吹きの先輩は
思わず本当にそんな話しがあったんだ
と言いそうになったらしいんだが、
「話しに尾ひれがつくとはこのことだな」
とわけのわからないことを言って適当にごまかしてから
「でも、
奥さん、少しは笑えただろう」
と笑ってごまかすと、
そのデブ女は
「あんた、ホラ吹きだろう。
実は最初からわかっていたわよ。
この人と同じ目をしているからね」
と言って隣の男を見てにやりと笑うと、
また、
大きな屁をこいた。
チャンチャン。
(終)




