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魔界の王子様 ― 異端児の目指す世界 ―  作者: ゴリさん


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5話 武技

コロシアムでは武闘大会が開催されていたが、アスタロト王の命により一時中断となった。

観客たちはそのまま残り、アギエル達とヴィネの戦いを観戦することが許された。

アスタロトはコロシアムにある王の席へ座り、戦いが始まるのを待っていた。


コロシアム内に案内放送が流れる。


「これより模擬戦闘が行われます。今回この戦闘においては魔法攻撃は出来ません。また、魔力開放も認められておりません。この戦闘の勝敗は、相手が負けを認める意思表示をするか、気絶などで意識をなくした場合に決まります。尚、死者を出さない対策としてアスタロト王が勝敗を判断する場合もございます」




アギエル達が場内に入るとヴィネが中心地で腕を組み待っていた。

ヴィネは戦闘用の鎧などは着用しておらず、武器も所持していなかった。

アギエル達は順番に戦うことを決め、先鋒としてアギエルがヴィネと対峙した。



「アギエル殿下、これから私の武技をお見せいたします。戦いの中で学び、身に着けて下さい。貴方様には類稀なる戦闘センスがあるとアスタロト陛下より聞いております」


「武技かー。いつも力押しで問題を解決できていたから疎かにしていたんだよなー。少年の頃に叔父上に教わってから全然鍛えてなかったんだよね」


「アギエル殿下、多分近い将来にこの武技の力が役立つ時が来ると思われます。特にユグドラシルの世界では重要です。詳しい事はアスタロト陛下より聞いて頂ければご納得できるはずです。今はその身に多くを刻んで下さい」


「自業自得かな。仕方がないね。では、始めよう!」


アギエルとヴィネの戦いが始まった。互いに装備はつけず、武器も所持せず、己の拳だけで戦うことを選択していた。この戦いにおいてヴィネは、魔力開放や魔法攻撃の制約がなければ自身に勝機がない事は理解していた。しかし、今の状況下では技量・武技の熟練度でヴィネの方が圧倒的に有利であった。


ヴィネは様々な武技を使い、アギエルを翻弄しダメージを蓄積させていく。アギエルもまた、過去の記憶から武技を使い応戦するが、大人と子供の戦いのようにヴィネには一向にダメージを与えることが出来ない。アギエルは歯痒い思いをしながら、ヴィネの武技を受け続けながらも耐えている。



「さすが、アギエル殿下はタフですね。これから私の最大攻撃である奥義を繰り出します。貴方様なら意識がなくなる程度で済むでしょう。その身に焼き付け、貴方様の新しい力の糧として下さい」


「本当に厳しい状況だ。もう少し戦えると思っていたがここまで圧倒されるとは予想外だよ。せめて、その最大攻撃の奥義を耐えて見せようじゃないか」


互いに意識を集中する。ヴィネは魔力ではなく闘気を体全身に纏わせ全力でアギエルに襲い掛かる。


「奥義!剛拳闇裂破(ゴウケンアンレッパ)!」


闇の力を纏う気がアギエルの体に向かって放たれる。その身に受けてしまったことで体の内で爆発的に力が解放され大きなダメージを受けることになる。


「ぐぅー・・・そー・・・・・」


爆音とともにアギエルは空へと吹き飛ぶ。そして、観客席の前に張られた結界にぶち当たり地面に落下する。それでも、アギエルは立ち上がり、足がふらつきながらもヴィネに近寄る。


「アギエル殿下・・・」


アギエルは無意識の中でヴィネのそばまで戻っていたのである。しかし彼にはもう戦いを続けることは出来なかった。


「お見事でした」


ヴィネはアギエルに賞賛の声を送り、救護兵へ指示を出しアギエルを救護室へ運ばせるのであった。


場内の観客から盛大な拍手や大きな歓声が響いていた。




「参りましたね。この状況での戦闘はかなりの重圧です。ヴィネ殿はとても強いですしね。仕方がない、当たって砕けてきますね」


「えー。僕は戦う前から降参だよ。僕はアギ兄とマル兄の戦いを見て十分に成長できるはず。僕は戦いを見て成長する男だからね。マル兄の戦い、僕の全身全霊をかけて見てるから」


「あっそう。そうはうまく事が運ぶとは思わないよ」


「とりあえず、ヴィネ殿を待たせるわけにはいかないから、行ってくるよ」


マルファスは勝ち目のない戦いに覚悟を決め、ボルタはいかにこの場から逃げるかを必死に考えるのであった。




「ヴィネ殿、お待たせしました。どこまで出来るかは分かりませんが全力を持って応えようと思います」


「マルファス殿下。その心意気はとても重要な事です。しかし、意識を刈り取られる前に状況判断することもこの場においては大切です。負けを認めても恥ではありません。この戦いをあなたの力の糧として下さい」


「行きます!」


マルファスはヴィネに先制攻撃を仕掛けた。しかし、予想していた通り難なく対応されてしまう。

ヴィネはマルファスに対しても手加減をせずに攻撃を与えていく。

マルファスはアギエルと違って武技を学んだ事が一度もなかった。その為、ヴィネの武技には驚かされる事の連続であった。力の差は歴然であり、マルファスは何もできずに唯々、ダメージを蓄積していくだけであった。


「武技を見ている事と受ける事では、感じ方がここまで違うとは驚きです」


「マルファス殿下、失礼ながらこれから力を加減した奥義を貴方様に放ちます。この技はきっとあなた様のお役に立つと思います。意識を集中して耐えて下さい。そして、この戦いはこれで終わりにしましょう」


ヴィネはアギエルに放った時のように魔力とは別の闘気を体に纏い始めた。


「マルファス殿下、行きます」


「奥義!剛拳雷裂破(ゴウケンライレッパ)!」


アギエルの時には闇の力が大きく作用していたが、この技は雷撃を軸とされていた。

マルファスは体が破裂しそうになる程の激痛に耐え、何とかその場に立っていることが出来た。

しかし、ヴィネの奥義が全力であったなら自身の体が耐えられなかったであろうことを認識する。


「私の負けです。ヴィネ殿。最後の技は私向きということですね。感謝いたします」


「マルファス殿下の今後の成長に期待しております」


マルファスはヴィネに頷き、ボルタがいる場所へ向かった。




「ボルタ。次は君の番だよ。行っておいで」


「えー。絶対ムリ!僕には自殺願望はありません」


「ボルタの今後の成長に重要な事なんだけど・・・」


「ではこうしよう。先日、母上から頂いたお菓子がまだ沢山残っているからボルタにあげても良いよ」


「母上のお菓子を交渉ネタにするとは、なんと卑怯な。う・・・・。ヨシ、一撃受けたら降参してくる。それでもいいよね?」


「しょうがないな。いいよそれでも」


「交渉成立。行ってきまーす」「サクッと負けちゃおー」


ボルタはやる気が全く出せないでいた。それでも、愛する母のお菓子の為に逃げる事だけはやめたのであった。



「ヴィネさん、お待たせ。軽い攻撃からお願いしまーす」


「ボルタ殿下、貴方様には特別に奥義の一撃だけにしておきましょう」


ヴィネにはボルタの計画がお見通しであった。


「えー。遠慮しておきます。まずはウォーミングアップから始めましょう」


「ボルタ殿下、貴方様の体力などを考慮しての考えです。お付き合いください。では、行きます」


有無も言わさずの状況を作り出されたボルタは非常に焦っていた。


「やばーい」


ヴィネは奥義を放つために魔力とは別の闘気を体に纏い始めた。この時、当然のように全力ではなく手加減をした力で準備していた。


「ボルタ殿下、意識を集中して下さい。行きます」


「まじでー。やばいじゃん」


「奥義!剛拳炎裂破(ゴウケンエンレッパ)!」


ボルタに技が直撃する。


「うぉー。なんじゃこりゃー。体が破裂するー。痛ーい・・・・・」


ボルタは痛みから転げまわっている。そして、あまりの激痛から気絶した。


「ボルタ殿下・・・・」


ヴィネは少しがっかりした表情を浮かべた。

その後、救護兵を呼び、ボルタを救護室へ運ばせた。

ヴィネはひとまず役目を終えたと思い、コロシアムを後にした。



マルファスはボルタとアギエルの様子を見るために、救護室へ向かうのであった。




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