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魔界の王子様 ― 異端児の目指す世界 ―  作者: ゴリさん
第1章 魔界編

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18話 企てる者

(時を遡る)


此処は魔界の北の地にあったベルゼブの城よりも東。魔界の中心地より北東の位置にある山岳地帯である。山岳地帯一帯で特に大きな山の中に高さが10メートル程ある空洞が通路として網の目の様にあり、そして通路に沿って多数の研究室が作られていた。この研究施設はベルゼブの配下達により魔族や魔獣の肉体強化の試験や改造、合成が行われている。


「クッソ!アギエル達め、我の邪魔をしおって許せん。思ったよりも体の損傷が激しい。まずは体の修復を早々に終わらせなければならない。しかし、アギエル達のせいで用意していた魔獣の大半を失ってしまった。これでは次の計画に支障をきたす。少々まずい状況だ。魔獣の大幅な強化も必要だがどうするか培養槽に入る前に決めなければならないだろう」


魔道具の転移で研究施設に戻ってきたベルゼブは、体の修復の前に今後の計画について考えを巡らせていたが妙案が中々浮かばなかった。


「ベルゼブ閣下」


転移で研究室の一室に戻ってきたベルゼブの元へ、部下であるギールが訪れた。


「どうした?」


「閣下!お怪我をされていらっしゃるのであれば先に治療用の培養槽を準備いたします」


「そうしてくれと言いたいところだが、培養槽に入る前に決めておかなければならないことがある」


「魔獣の強化計画でしょうか?」


「そうだ」


「それならば魔族改造計画と合成魔獣の大型化についてのご報告があります。ご心配の件につきましては一応の目途は立っております。ですからお体の治療を優先して頂き、回復後にお時間を頂ければ実験体をお見せ致します」


「そうか。ならば治療用の培養槽で体の修復を優先させる。準備にどのくらい時間が必要だ」


「すぐに用意が可能です。治療用の培養槽がある部屋までお越しください」


「わかった」


部下のギールからの報告でひとまずは体の修復を優先させることにしたベルゼブは、治療用の培養槽がある部屋に向かうことにした。


「準備をしていた計画に目途が立っているのならば、体の修復の為に少し時間がかかっても問題はないだろう」


ベルゼブが部屋に到着するとギールと数人が治療の準備をしていた。


「閣下。こちらの装置にお入りください。そのお体の損傷ですと回復までに最低三日ほどはかかります」


「仕方がない。では、三日後に目覚めるよう設定をしてくれ。あとは頼んだぞ」


「はい、閣下。承知いたしました」


ベルゼブは治療用の培養槽に入り目を閉じた。






ベルゼブが治療用の培養槽に入ってから三日が経過した。

部下のギールはベルゼブの指示通り、三日が経過した時点でベルゼブを目覚めさせる。


「閣下。お約束の三日が経過しました。お体の調子はいかがでしょうか?」


「体の損傷はほぼ問題なさそうだな。完全回復とはいかないが時間が経てば元に戻るだろう」


「この後はいかがなさいますか?」


「先にお食事などをご用意することも可能ですが、計画の進行具合を先にご覧になられますか?」


「そうだな。先に計画がどの程度進んでいるのか確認しよう」


「承知いたしました。では、ご案内します」


ベルゼブはギールのあとに続き歩いていく。


「この部屋ともう一つの部屋にお見せしたい実験体がおります。この部屋の実験体は奥にある5台の培養槽に入っております」


部下のギールがベルゼブに説明をする。


「閣下からお預かりしていた巨人族の遺伝子細胞を細胞培養装置で増殖させる事に成功しましたので、現在は様々な実験が可能となっております。この部屋にいる実験体は、巨人族の巨大化作用を抑制しその力を圧縮させた強化細胞を体に注入しました。実験時には拒絶反応を起こす個体も多くありましたが、この5体については実験が成功したと思われます。」


「魔族の改造が2体と魔獣の改造が3体です。この実験体にはすでに閣下の遺伝子細胞も注入済みですので念話による命令が可能です。実験体の肉体データから判断すれば今までに作ってきた合成キメラの強さを遥かに凌駕していると思われます。今後は実験が成功した個体からデータ抽出を行い、それを応用出来ればさらに多くの個体を生み出すことが可能です」


「そうか。では、近日中に最低50体は用意が出来るように引き続き作業を急がせろ」


「承知致しました。次は、別の部屋にいる個体をお見せいたします。この部屋の隣となります」


ベルゼブはギールの案内で隣の部屋へと移動する。


「この部屋にいるのは合成魔獣を大型化させた実験体です。この部屋は特別に天井の高さが300メートルにしてあります。現在は大型装置が1台の為に実験体は1体のみですが、合成魔獣の大型化には成功しております。この実験体から得られたデータを元に薬を作成・投薬すれば、現在他の部屋にいる合成魔獣を1週間程度で大型化させることが可能となります。現状ここにいる実験体は大きさの関係からこの部屋の外に出ることは出来ません。外に出す場合には部屋に転移の術式を描く必要がございます」


「施設内で大型化した合成魔獣を更に多く作り出すには、部屋の拡張や装置の大型化が必要になりますので人材や資材がとても足りません。ですから、施設にいる合成魔獣に薬を投薬後、外へ放出するのが最良です。合成魔獣は肉体の細胞分裂により徐々に大型化し1~2週間程で20メートル程の大きさになります。閣下の遺伝子細胞も事前に注入させておけば、合成魔獣が何処にいても必要な時に呼び戻すことが出来ます。ご指示を頂ければ、こちらの大型化の計画も早急に進めてまいります」


「確かに現状ではお前の考えが正しいだろう。人も物も不足している。お前の考えで大型化の計画も進めろ。こちらの大型合成魔獣も出来る限り早く数を増やせ。目途が立ち次第、魔界各地に攻め入り多くの魔族を捕獲する。その後、魔族の者を改造してルシファー様のための軍団を作り上げる」


「閣下のご期待に応えられるよう最善を尽くします。別の研究結果につきましては成果が出次第、改めてご報告いたします。それから食事の用意をさせておきますので気が向いたときにお召し上がりください」


「わかった。頼んだぞ」


「はい、閣下。では私はこれで失礼いたします」


ギールはベルゼブへの報告が終わると研究室へ戻っていった。


ベルゼブも自室に戻る。そこで今後の計画を考え始めた。


「アギエル達の邪魔が入った為に計画に遅れが生じているが、今回の計画に目途が立ったのなら十分に挽回が可能となった。しかし、そろそろルシファー様の計画も大きく動き出す時期だ。軍団を更に強化するには、非常に癪に障るがアドラメルクやアギエル達の力も欲しい。奴らを捕まえることが出来れば人体改造して配下にするのだが、まあ無理ならば排除するのも致し方ない。なんとかしてルシファー様に良い報告が出来るようにもっと強い軍団を作り上げなければ、先に奴が手柄をあげてしまうかもしれない。それは許せん事だが、奴もそのうちここへ訪れて来るだろう。とりあえずは例の術式の完成を急ぐことにしよう」


ベルゼブは順調に事が運べていないことに焦りを感じつつ、計画完遂のために行動するのであった。


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