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魔界の王子様 ― 異端児の目指す世界 ―  作者: ゴリさん
第1章 魔界編

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14話 西の地

今日の俺は、いつもなら侍女に任せているはずなのに、セバス爺自らが寝室に突入してきて起こされた。


「まさかセバス爺に叩き起こされるとは思っていなかったよ」


「アギエル坊ちゃま。西の地で重要な会談が行われると伺っております。早々に準備をして下さい」


「わかったよ」


昨日は酒を浴びる程飲んだのが久しぶりだったので、今朝の状態は最悪であった。

しかし、セバス爺に監視されている状況では、早めに支度を済ませて部屋を出るしかなかった。


城の中庭ではヴァンスがすでに待機していた。


「殿下。おはようございます。昨日はかなりの量を飲まれたようですね」


「ああ。今は最悪だが、直に回復するだろう」


「それなら結構です」


「親父はまだか?」


「陛下も直にいらっしゃるでしょう」



「すまんな。待たせたか?」


「おはようございます。陛下。問題ございません。さて、それでは西の地に行きましょう。私が先導致します」


「「分かった」」


飛行魔法で西の地へ向けて飛び立ってから、半日程で目的地の森林地帯に着いた。


ヴァンスの配下が既に目的地で待機しており、迷う事なく無事に辿り着けた事に一安心した。



「こちらが異世界の方々が住む地域の入り口となります」


「はぁーなるほどな。これが疑似結界か。見た目では普通に木が生えているだけだな。これでは気付く事は難しい。驚いた」


「ワシはこの魔術をユグドラシルの世界でみたな。世界樹などの地域では同じような結界が張られていたな。そうか、これではこちらから気付くのは難しい」


案内役の者の後をしばらく歩くと、多くの樹木の幹に入り口らしき扉がついてた。

案内役の話ではエルフ族は、樹木の幹に扉を作りその中に魔術で生活空間を作っているという。

この場所から少し離れた所には獣人族・鬼人族・小人族が住んでおり、さらに森林を抜けた先の山脈にはドワーフ族が住んでいる事を聞かされた。


「こちらに各種族の(おさ)が集まっていらっしゃいます」


この森林地帯では1番大きいと思われる樹木で、木の幹の太さは外周で50m程ありそうな立派なものだった。樹木の正面には大きな扉とその上には大きなバルコニーがあり、外観部分に城のような存在を示す造りが施されていた。


俺達は、大きな扉から中へ入り広く長い通路を歩くと目的の部屋に着いた。


「アドラメルク陛下御一行が到着致しました」


門番が扉を開け、中へ入ると大きな長いテーブルがあり、そこには5人の長が座っていた。長の後ろには10人程が立って待機している。


「ようこそお越し下さいました。私が代表を務めておりますエルフ族の長のガンドアールと申します」


「どうぞお座り下さい」


席に案内され、とりあえず座る事にした。



「ワシはアドラメルク。魔界を統べる者として来た。ワシの息子アギエルと配下のヴァンスが同席する。貴殿達に会えたこと光栄に思う。ワシらへの連絡感謝する」


「いえいえ、こちらこそお会い出来た事に感謝申し上げます」


「まずは我々の仲間を紹介させて頂きたい」


「ああ」


「私の右側にいる者がドワーフ族の長であるグリゴン。さらに右隣の者が獣人族の長であるベルガ。私の左側にいる者が小人族の長であるビッケ。さらに左隣の者が鬼人族の長であるガイ。現在この地域一帯にいるのは我々5種族となります。それから私たち以外に異界から来た他の種族が存続している話は聞いたことがありません」


「そうか。この地域には長老なる者はいるのか?ワシにあった事のあるものは存命か?」


「各種族の長老にあたる者が我々になります。残念ながら我々の仲間を含めて過去に陛下に会った事のある者は今では誰もおりません。我らにとってはあまりに長すぎる時間が経過しております」


「そうか。それはとても残念な事だが、彼らには感謝している」


「ありがとうございます。そのお言葉を頂き彼らにとってとても名誉な事です。私たちにとっても、アドラメルク陛下方々には世界を救って頂いた恩があります。感謝してもしきれません」


「まあ、それは過去の話だ。気にするな。ところで、次元の裂け目の話をまず聞かせてくれ」


「承知いたしました。アドラメルク陛下」


「次元の裂け目が現れたのは、今から半年ほど前になります。最初に現れた場所は、この場所よりも奥地になります。獣人族の者が見つけて、我々の伝承の記録に次元の裂け目についての記述が残されていたので、次元の裂け目について知ることが出来ました。その後、我々は種族間全ての者達へ説明と今後の行動への理解をしてもらう為の説得をしました。我々が存続する為には、この魔界を統べる王に状況を伝える必要があるという事。そして、我々の存在が知られてしまう事。反対の意思を持つ者が大勢いましたが、今では状況を理解してくれ、我々の生存の為に協力の意思を持ってくれています」


「おい。今、最初のって言ったか?」


「はい。そうです。アギエル殿下。今では次元の裂け目が複数発見されています」


「アドラメルク陛下。まずは次元の裂け目をご覧になられますか?」


「そうだな。まずは案内をしてもらうか」


「承知致しました。では、我々の後に続いてお越しください」


「わかった」



俺達は、エルフ族の長ガンドアール達に案内され、次元の裂け目がある場所へ向かう事となった。


森林の中をしばらく歩いていくと目的の場所へと到着した。


「ここが最初に発見された次元の裂け目です」


そこには、高さ3メートル程の縦目に切り裂かれたような状態で、真ん中に膨らみがあり中の空間が見えている。見えている空間部分は、暗い色調で水に液体物を入れた時のような状態が流動的に動いている。


「これは昔ワシが見たのと同じだな」


「伝承の記録によると、次元の裂け目に入ると何処へ行くのか不明という事でしたので、誰もここに入った者はおりません」


「そうだな。無暗に飛び込むことは自殺行為だ」


「今までにこの裂け目から数十体の魔獣が出ましたがすべて討伐できております。死骸を保管出来ればよかったのですが、討伐直後に塵となり消えてしまいました」


「そうか」


「ここ以外の次元の裂け目も遠くはありませんのでご案内致します」


「うむ。頼む」


この場所からしばらく歩き幾つかの次元の裂け目を確認した。形としては何処も変わらなかったが、大きさは様々であった。小さいサイズは最初の大きさの半分位であり、大きいサイズは最初の大きさの2倍位の大きさであった。


次元の裂け目を確認した俺達は、会談が行われた場所へ戻り話し合いの続きを行う事にした。


「次元の裂け目を確認して頂きましたが、現状、我々が出来ることは限られております。今後も監視を続けて行く予定ですが、次元の裂け目から現れる魔獣などの対処については、現状レベルなら対応が可能としか言えない状況です。異変があれば直ぐに報告する事は可能です」


「そうだな。ワシの配下達を派遣する事が出来るがどうかな?信頼出来る者を選抜しよう」


「ヴァンス。問題ないな」


「はい。アドラメルク陛下。問題なく選抜した者を派遣出来ます」


「アドラメルク陛下。御配慮感謝致します。今後の事を考え派遣の件、是非、お願い致します」


「分かった。何か問題があれば言ってくれ。直ぐに対応する」


「承知致しました」


「アドラメルク陛下。次元の裂け目の対応策についてお考えをお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「うむ。現状ではワシの独断の考えで決定事項ではないが、アギエルをユグドラシルの世界へ行かせるつもりだ。準備する事もあるから直ぐにとは行かないが、ユグドラシルの世界で大きな問題が起きている事は過去の出来事から明白だ」


「魔界で出来る事は限られている。ユグドラシルの世界へ行き、世界樹を守る事が何よりも重要だろう。冥界の王ルシファーやその配下達の脅威を排除しなければならない」


「大丈夫。安心してくれ。俺はユグドラシルに行くつもりだ。オリエンスとの約束も果たさないといけないしな」


アギエルは自身の右腕にあるブレスレットから魔剣レヴァーテインを取り出した。


「この剣に誓おう。俺が世界を救ってみせると」


「ありがとうございます。アギエル殿下。我々は貴方の助けになるであろう秘術を伝授致しましょう。それから転移の術式も必要であればお伝え致します」


「秘術と転移魔術か。有難い。是非、ご教授願う」


「承知致しました。秘術については私が直接伝授致しましょう。転移の術式については我々から数人派遣を致します。いかがでしょうか?」


「俺は問題ない」


「ワシも問題はない。よろしく頼む」


「それではアギエル殿下には、しばらくこの地に残って頂き秘術習得に励んで頂きます。時間的猶予があれば転移の術式も習得して頂きます。希望される転移箇所については、後日派遣する者が決まり次第随時対応致します」


「分かった。ワシの配下達の派遣については城へ戻り次第対応する。何か問題があればここに居るヴァンスが対応する」


「ありがとうございます。アドラメルク陛下。ヴァンス殿もよろしくお願い致します」


「話し合いに一区切りつけられそうなので、食事をご用意しておりますので是非お召し上がり頂きたい」


「分かった。心遣い感謝する」


「食事を用意している部屋までご案内致します」


ひとまず会談は中断となったが、別種族が作る食事を楽しむのも悪くないだろうと思うのであった。




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