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魔界の王子様 ― 異端児の目指す世界 ―  作者: ゴリさん
第1章 魔界編

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12話 魔界の王 アドラメルク 前編

ワシは、亡き友オリエンスの弔いとして、息子のアギエルと酒を酌み交わしながら若き日の頃の話をした。


これから話すことは、以前ユグドラシルについて話した事と重複する内容だが、今一度、お前には話をしておこう。


今でこそワシは、魔界を統べる王として魔界を管理しているが、ワシが若き頃には絶対的な王が存在していなかった。その為、好戦的な魔族が多く住むこの魔界の世界では、秩序という概念は一部の者しか持っておらず、ワシが王になるまで、ほとんどの者が好き勝手に戦い争っていた。


そう言うワシも若い頃には、好んで戦いを求め、アスタロトやオリエンスとも数え切れないほど戦った。

結構な数の魔族達も戦いを望み挑んできたので、そいつらは全て返り討ちにしてやった。


魔界の生き物はワシを含めて長い期間を生き続ける。寿命としての期間が長い事もあるが、我々の心臓の中にある魂の核となる結晶が無事であれば、体が消滅しても結晶に魔素が集まり体を修復し復活することが可能である。だから、戦いで体の一部又はすべてが消滅しても魂の核となる結晶が無事であれば、体は時間と共に再生され元通りになっていく。


オリエンスが自身の復活がないと悟ったのは、魂の核を破壊されたのだろう。多分オリエンスの心臓が奪われたのは、奴が持っていた力が大きかった為、合成キメラのような魔獣に移植するのかもしれない。もしそのような魔獣又は魔族が作り出された場合には、非常に厄介な敵となる。

今後、警戒しておく必要はあるだろう。



オリエンスやアスタロトとの戦いは、三日三晩戦い続けても勝負がつかないことが多かった。

結局最終的には、ワシらが戦いに疲れて共に飯を食い、酒を飲んで、くだらない事を話して大笑いしていた。お互いに戦う力が戻ると戦いが始まる。


本当にワシも飽きもせずに戦いに明け暮れた日々を過ごしていたが、ある時、次元の裂け目が魔界のいろいろな場所で発生するようになっていた。


興味本位で次元の裂け目に飛び込む者もいたが、その者達がこの魔界に戻ってくることはなかった。

何処に行ったのかは誰にもわからん。


次元の裂け目が現れてから半年程経過した頃に、次元の裂け目から異世界の者達が現れた。


彼らは庇護を求めてきたので、ワシとアスタロトやオリエンスなど一部の者達で彼らを保護することにした。


彼らから色々な話を聞くことにより、次元の裂け目がなぜ突然現れるようになったのか、次元の裂け目に飛び込むと何処へ行くのかを知ることが出来た。


彼らはユグドラシルという世界から命を懸けてこの魔界に来た者達で、ワシらに救いを求める者達であった。


彼らの世界にある世界樹が持つ力が、冥界の王ルシファーとその配下達の破壊行為により失われつつあると言った。

ユグドラシルの世界では彼らに対抗できる者がおらず、別の世界から力ある者達へ協力を求めるしか、世界を救う方法が見いだせなかったようだ。


世界樹の持つ力が大幅に失われた事により、世界を繋ぐ空間に亀裂が入り次元の裂け目が発生するようになったらしい。放置すれば次元の裂け目はいつしか世界を飲み込み融合され、多くの世界が崩壊すると思われていたようだ。


次元の裂け目の行先は誰にも分からないらしい。辿り着く先が別の世界なのか、次元の狭間で彷徨うのかは、飛び込んだ者にしか分からんという事だ。


彼らは、世界の崩壊を防ぐために強者を求め、いくつかのグループを作り次元の裂け目に飛び込んだ。

その結果、この魔界にたどり着いた者達がいたのだ。他のグループの者達が何処へ行ったのかは、彼らには分からなかったようだ。


彼らは運よく魔界にたどり着くことが出来たが、自力でユグドラシルの世界に戻ることは出来なかった。

彼らはそれを理解し覚悟したうえで、次元の裂け目に飛び込んだのだ。


彼らが自力で戻ることが出来ない理由は、個々の持つ魔力に関係する事だった。

彼らから教えられた術式によりワシらは、ユグドラシルの世界へ渡ることが出来た。

術式を展開する為には、世界を渡る者自身の魔力を使う必要があり、彼らにとって必要な魔力はとても膨大な量であった。


だから彼らはこの地へ残ることを決断せざるを得なかったが、ワシらがユグドラシルの世界へ渡ったことにより彼らの重要な役目は果たせたようだった。ワシらがユグドラシルの世界へ渡った後、彼らが何処に行ってしまったのかは分からなかったが、西の地で生きていてくれたことは喜ばしいことだ。



ワシらがユグドラシルの世界へ渡った当初は、オリエンスにかなり助けられた。


それはユグドラシルの世界に渡る前に、オリエンスは剣技を異界の者から習っていた。

ワシらが世界を渡った直後、どのような状況になるか分からなかったこともあるが、オリエンスは純粋に剣という物にほれ込んでいた。剣は魔力がなくとも、非常に役立つ力であった。


ユグドラシルの世界では、レベルという力を示すものがあった。例えば、今のワシのレベルが200とした場合、お前(アギエル)が150,マルファスが100といった感じだな。


ユグドラシルの世界に渡ってすぐの状況では、魔力の消費が大きく影響されレベル的には10とかになってしまう。当然、使える力は限られ、使える魔術も制限される。そして厄介な事に、ユグドラシルでは魔力の元となる魔素が魔界に比べて非常に少ない。その為、魔力が全回復するまでに数年かかってしまう。魔素がほとんどない地域もあるからとても厄介な世界である。


だからこそ、ユグドラシルの世界に渡るためには、魔力に頼らない力も必要なのだ。

オリエンスが剣の技を磨き、アスタロトが武技を習得したのにはそのような事情もあったのだ。

ユグドラシルの世界に渡る前までのワシは、己の拳で敵を葬る自信があった。でも、それは過ちであった。世界を渡り、力を失ったワシはオリエンスから雑魚扱いされた。あの時の事は本当に思い出したくない程、歯痒い思いをした。


剣や武技はレベルでは計れない強さがあった。

その技能によって力を示す事も可能であり、魔力を使う事でより強力な力を引き出す事が出来た。


ワシもユグドラシルの世界に渡ってからは、剣技と武技の習得に励んだ。それは必要な行為であり、とても重要な事であったと言える。


ワシらは、世界の管理者とする者達の手助けを受けながら本来の力を少しずつ取り戻し、ルシファーの配下達を次々と葬っていった。


奴らは、世界樹を守る8カ所にある結晶を破壊し、世界樹の根にはる力を奪おうとしていたが、全ての行為が行われる前に何とか阻止する事が出来た。


あの戦いでは、本当にオリエンスやアスタロトに何度も助けられ、心強い仲間であった。


冥界の王ルシファーは、冥界から出ることが出来ないらしいが、ユグドラシルの世界にいた力を持つ勇者を配下の者に拘束させ、己の器となるように魂を奪い憑依して、ユグドラシルの世界でも活動出来るようになっていた。


奴の力は別格だったが、奴の器になった勇者が奴本来が持つ力に耐えられなかったのが幸いだった。それでも、ワシ一人の力だけでは奴を倒す事は出来なかった。オリエンスとアスタロトの協力なしでは奴を退ける事が出来なかったと自覚しておる。


もしもワシらの誰かが奴の器になったとしたら状況は更に悪くなっていただろう。奴の力だけは本当に別次元だと言える。


何度もくどいようだが、お前は特に狙われやすいだろう。器として利用されないように一人で無茶をする行為は出来るだけ避けろよ。


「そんな事、言われなくても理解している」


「ところで、オリエンスの事をもう少し話を聞かせてくれ。飲みが足りないなら樽ごと飲め」



じゃぁ、奴の恥ずかしい話を聞かせてやろう。



ーーーーーーーーーー


後編へ続きます。

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