10話 武技の特訓
マルファスとボルタは南の地へ到着し、アスタロトに謁見していた。
その後すぐに、王城の敷地にある訓練場でヴィネとの特訓が始まった。
「サルガタナス殿下・マルファス殿下・ボルタ殿下。アスタロト陛下より命じられた事とはいえ、無礼な事ではございますがこれから先、この場においては貴方様方への敬称は省かせて頂きます。」
「「「 もちろん。問題ない。ヴィネ殿、ご指導、お願いします 」」」
「はい。分かりました。それでは、武技の訓練を始めましょう」
ヴィネは武技の初歩から指導を始めた。最初は瞑想から始まり、手の指先・足の指の先や体全体を巡る気を感じる事が優先された。肉体を気のオーラで包み込み、体に纏う意識を徹底させる。そこから身体強化へと能力を向上させていく。しばらくの期間は徹底して基本訓練として行われた。
そんな訓練期間の間でも、エストリエ王女が訓練の休憩時間になると軽食や果物系の菓子や数種類のケーキなど様々な差し入れをしていた。3人の王子にとっては、心を安らげる貴重な時間となっていた。
3人の王子の様子を気にかけていたエストリエ王女は、当然のように訓練の様子を熱心に見学していた。
訓練が始まってから2週間ほど過ぎた頃に、アスタロト王も見学をするようになっていた。
アスタロト王が見学する頃には、3人の王子は身体強化・防御武技・攻撃武技に関して目覚ましい成長をしていた。ヴィネから教わる一通りの事を終えようとしていた。
「今日は私と手合わせをして頂きましょう」
ヴィネは、サルガタナス・マルファス・ボルタの3人の王子と順番に手合わせをしてゆく。
3人の王子はボロボロになりながらも奥義を繰り出し健闘した戦いを見せた。
ヴィネは、3人の王子にある程度の成果が見られたことで安堵の表情を浮かべていた。
「さて、これまでよく頑張ってこられましたね。私から教えられることはもうありません。これから先は各々がたが、訓練を続けて向上させてゆくしかありません。今後も精進して下さい」
「「「 はい 」」」
3人の王子は厳しい訓練から解放された安堵感からその場にへたり込んだ。
それを見ていたヴィネは苦笑いをし、アスタロト王は盛大に笑っている。エストリエ王女はほほ笑んでいた。
「今日はゆっくりするとよい。明日は盛大な宴を開こう」とアスタロトはそう言ってその場を去った。
「皆様の頑張り、とても素晴らしかったです。これで私は失礼させて頂きます」とエストリエ王女はアスタロトのあとに続いてその場を去った。
しばらくして、3人の王子は互いの健闘を称え自室に戻っていった。
翌日、アスタロトが言ったように大勢の配下の魔族達が王城に集まっていた。格好は正装している者、普段着のような服装の者など様々であったが、鎧などを身に着けている者はいなかった。
食事などは立食形式になっており、各々が自由に移動できた。
宴は和やかな雰囲気で行われていた。
サルガタナス王子・マルファス王子・ボルタ王子は会場に入ると直ぐに、煌びやかなドレスを着た女性達に囲まれていた。女性達の狙いは明確であった。3人の王子にはまだ婚約者がおらず、将来を約束された女性がいないことも、ここに居る女性は皆が当然のように知っていた。3人の王子はとても逃げられる状況になく諦めざるを得なかった。
長い時間、女性達に囲まれていた王子達は、アスタロト王やリリス王妃・エストリエ王女がやって来た事で女性達からようやく一時的に解放された。
「はっはっ。お前達が相手では女性が離してはくれぬだろうな」
「当然の事でしょうね。王子達は気づいていないでしょうが、水面下では熾烈な争いが起こっているのでしょうから」
「私は完全に敵対視されている感じですね」とエストリエは困惑している様子であった。
するとサルガタナス王子が「このような状況は、正直うんざりしてしまう」と言えば、他の2人も同様の意見を述べていた。
「まぁ、仕方あるまい。これは王子の宿命だろう。ここにアギエルがいたらもっと凄いことになっていたであろうよ」とアスタロト王は大笑いしていた。
3人の王子は苦笑いをするしかなかった。
「これから配下を数名紹介する。しばらく俺に付き合え。その後は女性達を喜ばせてやれ。ぶっはっは・・」
王子達はアスタロト王の配下達と順番に挨拶を交わしたあと、再び試練の時を迎えるのであった。
宴は長い時間行われ、宴が終わる頃には王子達は訓練以上の疲労感に襲われるのであった。
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