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1.バイク娘との出会い

 俺の名は北見きたみ 新一しんいち。先週、貯めたバイト代を使って普通自動二輪の免許を取得したばかりの高校二年生の男子だ。

 学校からの下校途中、俺は道端に今にも死にそうな状態で横たわる女の子を見かけた。

 端正な顔立ちをした髪の長い女の子だ。

「大丈夫?」

「……リン」

「あ?」

「ガソ……リン……」

「ガソリン?」

 この状況でも自動車かバイクのことでも考えているのだろうか?

「お腹、空いてるの。ガソリン持ってきて」

「え?」

 俺の頭は疑問符だらけだ。

 女の子は徐に体を起こす。

「ガソリン持ってきて」

 女の子が懐から携行缶を取り出した。

「……?」

「これにガソリン入れてきて」

「……?」

「早く入れてきて!」

 俺は女の子に携行缶を押し付けられ、渋々とガソリンスタンドに向かう。

 店員に頼んで携行缶にガソリンを入れてもらい、女の子の元に戻る。

「ほら、持ってきたぞ」

 女の子は俺から携行缶を奪い取ると、あろうことかそれをゴクゴクと飲み始めた。

「ちょっと待て! 何してる!?」

「何ってお腹空いたから飲んでるの?」

「人が飲むものじゃない!」

「大丈夫よ。あ、このガソリン美味しい」

 女の子はガソリンを飲み干すと、懐に携行缶をしまう。

「へ、平気なのか? ガソリンなんか飲んで……」

「うん。ありがとう。あなたは命の恩人だわ」

「君は一体?」

 女の子はCBR250RRに変形した。

「え?」

「私、バイクなの」

 俺は夢でも見ているのだろうか。人間がバイクになるなんてあり得ない。

「モータス星ってところから来た宇宙人なんだ」

「はいい?」

 夢だ。これは夢に違いない。

「私の星は、ガソリンが枯渇して滅んだの。他の仲間ともガソリンのある星を探して散り散りになったわ」

「そうなのか。で、君の名は? 俺は北見 新一」

「エイダ。エイダ・ティル・アレクサンドロスよ。長いからエイダでいいわ」

「乗ってもいいかな?」

「いいよ」

 俺はエイダのシートに跨る。

「あれ?」

 よく見ると、キーを差し込むシリンダーがない。

「この星のものとは若干違うわよ。クラッチ切って一速に入れて半クラッチでスロットル回して走れるから、やってみな?」

 俺はエイダに言われるがままに彼女を走らせる。

「ねえ、あれだけじゃ飲み足りないわ」

 俺はエイダをガソリンスタンドに走らせた。

「ここは何?」

「ガソリンスタンドだよ」

「ガソリンスタンド?」

「この星ではバイクや自動車はここで食料を買うんだ。お店は各地に点在してるから、店さえ見つかればいつでも入れられる」

 エイダを給油機の前に止める。

「ええと、タンクは……」

「君、ちょっといいかな?」

「はい?」

 エイダのタンクを探していた俺が声のした方を振り向くと、そこには制服の警察官が立っていた。

「ヘルメットはどうしたの?」

「え?」

 俺は頭を触った。

 うわ、やらかした!

「免許証出して」

 俺は渋々免許証を提示した。

 警察官が端末を操作する。

「はい、これね」

 端末から出てきた書類を受け取る。

 運転免許証に、ヘルメット着用義務違反で違反点数が一点加算された。

「家は近いの?」

「ええ、歩ける距離ですけど」

「それじゃあ、面倒だけど押して帰るんだよ」

「はい」

「事故ったら危ないからね」

 警察官はそう言って去っていく。

「ねえ、早くしてよ」

「ああ、ごめんごめん」

 俺はエイダのタンクを開け、給油機にお金を入れ、レギュラーを彼女に飲ませる。

 ガソリンを満タンまで入れる。

「ちょっと入れすぎよ。お腹いっぱいだわ」

 給油キャップを閉め、タンクに蓋をする。

 俺は辺りを見渡し、「姿を変えてくれ」と、エイダに言った。

 エイダは人間体に姿を変えた。

「ヘルメットを持ってないからな。歩こう」

 俺はエイダを連れて帰路に就いた。


はーい、作者でーす。

今作は、「もしもバイクが動物だったら」という世界観をえがいてみました。


挿絵(By みてみん)


エイダ・ティル・アレクサンドロスのキャラデザです。

エイダ人間体はビスクドールの喜多川きたがわ 海夢まりんをモチーフに仕上げてみました。


モータス出身のエイダはバイクに変身します。


挿絵(By みてみん)


こちらがCBR250RRに変身したエイダです。

エイダは自走はもちろん、搭乗者のクラッチやスロットル操作でも走ることができます。

外見はバイクですが、表皮は金属ではなく、人間でいう皮膚でできており、その内側も筋肉や脂肪、骨でできています。

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