衒いもなく、運命と言う君
「私たち、初めて会ったのは中学生の時でしょ?」
琴子が、小首を傾げて言った。さらりとツインテールが揺れる。
……くっ、いつもよりちょっと幼く見えるのは、プレイのせいか。悪くないと思っている自分が居る。
「ちっちゃな頃の実琴に会いたかったな~ってずっと思っててさ」
「だから女児プレイ」
「いや、赤ちゃん返りしたかったのもあるんだけど」
「あるんかい」
子どもを見てリアルに『子どもであること』を望んでたのか。神社で。
「きっとさ。私たち、その頃に出逢っても、めっっっちゃ仲良くなったと思うんよね」
「!」
中学で出会い、友情を深め、そのうちそれが恋となり、高校で付き合い始めた。そこから今までだって、ずいぶん長いこと一緒に居るなとしみじみするのに。
もし、そんな小さな頃から出逢っていたら。
どうなっていただろう。
考えもしなかった『可能性』に、一瞬、ほんの一瞬だけ胸がときめき、そして少し胸が焦げた。
「だから、早く逢いたかったなー! って思うときがあるわけ」
にこっと琴子が笑う。笑いたいから笑っている。そんな百満点の微笑みで。
「……どうかな、実際はわからないよ」
「ふふっ、わかるよ。だって私と実琴は運命だもん♡」
「はいはい、好きに言ってな」
「あはっ、照れてる」
うるさい。
と言う私を、琴子が嬉しそうに見ていて、その眼差しにも悔しいけれど愛を感じて、もっともっと好きだと思った。
END.




