大人に出来ることは
「子ども見ていいなあって言われたらちょっと身構えるでしょーが!」
「何でよ!」
いや、何でこっちがツッコまれてんだ。可笑しいだろ。
「大人が子どもを見て羨ましいってなったとき、出来ることなんて『赤ちゃんプレイ』ぐらいしか無くない?」
「そっちの『いいなぁ』か!」
しかし、それで赤ちゃんプレイに飛躍するか? 普通は「あの頃に戻りたい」とか「あんな時代もあったね」とかが出て来るものでは? え、私が可笑しいのか? それとも何か? 別れたくないとかすぐに過ぎったりする時点で私の方が邪なのか?
清らかな神社の境内で。私は何故か、そんな疑問と向き合う羽目になった。
頭上の木々がさやさやと風に揺れ、とっても爽やかな空気が流れているのに、私の中では俗めいた謎が悶々と蠢いている。
何ぞこれ。
「あ、もしかして実琴も赤ちゃんになりたい? だったらどうしよっか。女児プレイにする?」
私の真剣な表情を見て何かを感じ取ったのか、琴子が大真面目にそう提案してきた。
──違う、そこじゃない、というか元凶はお前や。
「……」
べしっ
私はその気持ちを手刀に込めた。
「だから何でチョップするの!?」
彼女の悲鳴が、神聖な境内に哀れに響いた。