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3話

教室に行くと、恵里香さん達はもう私の机にいたずらをしていました。

昨日のこともあってか、机には前よりもひどいことになっています。死ねなどの暴言に加えて、牛乳と思わしき液体が机から垂れています。

恵里香さん達が後ろからクスクスと笑っています。

いつもだったら、おとなしくこの机を綺麗にしていたかもしれませんが、今日は違います。

恵里香さん達のほうにつかつかと歩み寄ります。

「な、なによ」

「私の机、綺麗にしていただけます?」

自分の机を指さしながら言います。

私の言葉に恵里香さんは、はあー⁉と怒ったように声を上げました。

「なんであたしがやらなきゃいけないのよ!」

「なんでって……自分で散らかしたものは自分で片付けないといけませんよ?」

小学校で習いませんでしたか?首をかしげながら聞くと恵里香さんは顔を真っ赤にさせました。

「あんたが悪いんでしょう⁉あたしに反抗して!」

「はぁ。貴方が”わたし„を虐めてきたからでしょう。私はそれに抵抗しただけです」

「それがいけないのよ!」

そうヒステリックに叫びましたが、男子が教室に入ってきたのに気づいて声を押さえました。

男子は、恵里香さんが私を虐めていることに気付いない方がほとんどです。私がいじめられていることは知っていますが、誰がいじめてるのかは知らないようです。

……ぼろを出させますか。

「まぁ、とりあえず私の机を綺麗にしてくださる?汚した方は誰ですか?」

言葉を発しない代わりに、5人中2人が肩をびくりと跳ねさせました。

「では、恵里香さんとそこの2人は私の机をお願いしますね」

2人は顔を青くして私の机をふき始めましたが、恵里香さんはその場から動きません。

「っあたしはやらないからね。あたしは指示しただけだから!」

そう先ほどよりも小声で言いました。

はぁ……。

「そもそも、恵里香さんが指示をしなければ私の机は汚れなかったでしょう?なので貴方も同罪ですよ」

「あんた……。あたしを馬鹿にしてるの……?」

「馬鹿にしてる、とは?私はただ、事実を言っているだけですよ。……ああ、言っている内容が理解できませんでしたか?」

クスっと笑ってから言います。

「すみません……。簡単に言ったつもりでしたが、貴方みたいな方には難しかったみたいですね」

「なっ……!」

恵里香さんが腕を振り上げて、私の頬を叩こうとしてきました。ですが、

キーンコーンカーンコーン

その鐘の音で、恵里香さんの腕が止まりました。

「綺麗にできましたか?」

くるりと振り返り、自分の机を見てみると文字や牛乳などはなくなっています。

それを確認した後、もう一度恵里香さんと向かい合います。

「続きはまた後でにしましょう」

にっこり笑って言い、自分の机に着きました。

恵里香さんは少しその場に立ち尽くしていましたが、私を睨みつけてから自分の席に戻りました。

先ほどの私と恵里香さんのやり取りを見て感ずいた男子は運悪くいなかったようです。

もう少し怒らせないと駄目ですかね……。

……あら?私の横に新しい机が増えていますね。

ガラリと扉を開けて、担任の先生が入ってきました。

その後、先生に続いて知らない男子生徒が入ってきました。

……随分と整った顔立ちの方ですね。

すらりと高い身長に、少し長めの黒髪。芸能人と言っても通用しそうな見た目です。

キラキラと眩しい笑顔を浮かべていますが、その笑顔は()()()()()()()()()()()()()()()

篠原奏斗(しのはらかなと)です。皆さんと楽しい学校生活を送れたらと思います。よろしくお願いします」

そう言ってぺこりと頭を下げた彼。緊張した様子もなくにこにこと笑っています。

早速クラスの女子、特に恵里香さんが興味津々といった視線を向けています。

「じゃあ、あそこの空いてる席に座ってね」

そう言って、先生は私の隣を指しました。

この席は転校生のためだったのね。

篠原君が机の間の通路を通ってこちらに向かってきます。自分の席に座る前に、一度こちらを見てにっこり笑って言いました。

「これからよろしくね。えっと、お名前は……」

第一印象はこれからの評価につながります。ですから悪くならないように、前世でよく浮かべた愛想のいい笑顔を作りました。

「成宮鈴華、と言います。困ったことがあったら何でも言ってくださいね」

少し、篠原君の目が見開かれました。ですが、すぐに笑顔に戻りました。

作り笑いだとばれたかしら。

「ありがとう、成宮さん」

そう言って、篠原君は席に着きました。先生はそれを確認した後、いつも通りSHRを始めました。

……視線が痛いですね。

女子からの視線が突き刺さってきます。きっと、篠原君がわたしの隣だということが気に食わないのでしょう。

はぁ、こんなことになるなら篠原君は別の席に行ってほしかったですわ……。

とげとげしい視線は、前世を思い出します。

社交パーティーの時、会場に入るなり突き刺さる悪意、敵意などの様々な視線。いずれにしろ、いいものではありませんでした。貴族の私よりも、平民のアメリアの方がいい待遇を受けていて不思議な気分でした。きっと、私がアメリアを虐めているとうわさが出ていたからでしょうね。

そんなことを考えている間にSHRは終わっていました。

「起立、礼。ありがとうございましたー」

「ありがとうございました」

きっちりお辞儀をしてまた席に着きます。

1時間目は……数学ね。

机の中から教科書とノートを取り出し準備をします。

”わたし„は勉強が苦手だったようですが、私は勉強も運動も得意です。

”わたし„が授業を受けている記憶はありますが、実際に授業を受けるのは初めてなので、少し楽しみになってきました。

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