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第 弐 章 中学一年生 春 6月上旬

第 弐 章

中学一年生 春 6月上旬


めいかが職員室から出ると

同じクラスの雪咲(ゆきさく) 裸美衣(らみぃ)が待っていた


裸美衣は冥衣花に聞いた

「プール見学するの?

 たのしいよ。わたし背泳ぎが好き」

めいかは言った

「自然の摂理に反して溜められた

 大量のプールの水の中にもしわたしが入ったら」


らみぃは言った

「背泳ぎって空を見ながら泳げるじゃない

 そこが素敵だなってわたし思うの、白い雲とか見ながらね

 わたしって背泳ぎ美しく泳げてる?」


「私のせいでクラスのみんなに迷惑をかけられない」


らみぃは言った 

「水着に着替えるの少しだけ恥ずかしいって言うのはあるのよね

 いくら女子校だっていってもね

 そういえばわたし小学校の時考えたの

 それ当てられたらわたしの秘密ひとつ教えるね」


めいかが言った

「副鼻腔炎の診断がおりれば、塩素消毒水は炎症を悪化させるのでは?

 父ならその診断書を書く資格がある。でも救急車で外来に行くほど悪化した

 副鼻腔炎というのは聞いたことがない。そして父は救急外来の患者しか担当しない」


「実はわたし水着着て登校したのね。でもプールの時間の前に気がついた

 おトイレどうしようって。おもしろいでしょ

 わたしっていつも最後にヘマしちゃうの

 ちょっと抜けてるっていうのかな、めいかちゃんからみてわたしってどうおもう?」


「副鼻腔炎以外だと稀なアレルギー反応

 プールの水だけ反応するのだから塩化水素によるアレルギーしかない」


らみぃは言った

「こんな恥ずかしいお話したの、話が合って気も許せるめいかちゃんだけ

 わたし思うんだけどね、めいかちゃんって包容力があると思うのね

 わたしって母性を感じると弱いじゃない?この前したお話もそうだったでしょ」


冥衣花が言った

「ラミィ、塩化水素のモル質量、有効数字4桁」


「34.46g/mol」


めいかが言った

「単純な化学式。思ったより小さい。それが水に溶けてる

 炭素を含んでるけど、ベンゼン環さえ作ってない

 ただし消毒に使われるんだから高濃度であれば人体に有害なはず」


「私たち波長が合うと思うのね

 たとえばわたしがピアノの和音のラ、と、ミ、だとするわよね

 ほら、わたしって4歳の時からピアノのお稽古始めたじゃない?

 華道を始めたのはその2年後ね」


「だめか。そんな特殊なアレルギー反応の診断なんか下されたら

 レアなケースの症例としていくつかの機関に件数だけでも報告がいく

 わたしの名前が匿名でも、診断するのはわたしの父だ」


ラミィがめいかに言った

「精神疾患という方法がある。例えばパニック障害の場合、プールや海が

 トリガーになるという症例が無数にあるのは容易に想像がつく。PTSDでもいい」


めいかが言った

「12才小児の患者に精神保健指定医は簡単にパニック障害と診断し

 依存性のある抗不安薬を処方するだろうか」


らみぃがめいかに言った

「めいかちゃんは、オルゴールの和音な感じがするな。優しくって美しくってね

 この前うちに遊びにきてくれた時、わたしの部屋に小さなオルゴール

 あったでしょう。あれってどこのお土産だと思う?」


「いずれにせよ医学的理由は無理だ。結局救急車で運ばれ、

 運よく父が担当しなければ。この近辺だけで救急救命の医師は30名いる」


らみぃはめいかに話しかけた

「どうなっても、何があってもわたしはめいかの味方だから。それを覚えておいて


 わたしなんかじゃ力になれないと思うけど、

 めいかはうまく乗り越えてくれるって信じてる

 プールの授業はカリキュラムに組まれてる、めいかはプールに入ることになる

 そのときはそばにいる」


「ありがとう」


「このままうちにいらっしゃい

 こんなお話になるんだろうって思って職員室の前で待ってた

 だからママに、めいかが夕食食べに来るって伝えてある」


「らみぃのママに手間をかけさせてしまって

 今度はうちにもおいで

 

 2年飼っていて先月死んだグッピーのお墓参りとお線香あげてほしいの」



めいかとらみぃは抱き合った



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