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16-3 復興祭 ②

「お姉ちゃーん」

「あ、レアちゃん」

「誰です? 知り合い?」


 シンシアの資金集めが終わって賭博エリアから屋台へと歩いている時、一人の少女が駆けてきた。

 それは先日、祭りの準備期間中に迷子だった茶髪の女の子、レア・ヨンドウという名の少女だった。


「知り合いじゃなくて友達。前に保護したんだけど、それ以来仲良くなって」

「保護して、仲良く……?」


 泣いている所を保護してプラチナはレアに懐かれた。その後も街中にいる時にお礼を通して、今日まで三度交流をしていた。


 レアは二人の元へ到着した。プラチナに会えた事が嬉しいようで顔をほころばせている。


「お姉ちゃんも来てたんだ! お祭りに!」

「期間中はお休みをもらったからね……レアちゃんは親戚の人と?」

「うん! でもお姉ちゃんを見かけたから走って来ちゃった!」


 レアはそう言って笑った。プラチナはその表情を見て同情的な心持ちになった。


「これから食べ物売ってる屋台に行くけど、レアちゃんも来れる? 奢ってあげるよ」

「え、良いの?」

「うん、大丈夫。それくらいのお金はあるから」

「じゃあ……伝えてくるね」


 少し目を泳がせて迷ったレアは頷いた。目をぱちくりしていたシンシアと一緒に屋台エリアへと向かう。



 それから、街中の大通りに展開されている各地の料理が楽しめる屋台を三人で巡った。

 流石は世界の中心地での祭りだけあって、見た事のない出来立ての料理が並んでプラチナは驚いた。

 だが購入して味わってみると美味しい物ばかり。しかもまだまだ出店している店があって食べきれない。明日もまた物色しようと決めた。


 レアも買い与えた料理を美味そうに頬張っていた。その幸せそうな顔を眺め、プラチナは満足した時間を過ごした。


「……で、何なんですかあの子供。いきなり誘ってビックリしましたよ」


 レアと別れてからシンシアが尋ねた。確かに唐突な誘いだったかもとプラチナは思った。


「あの子ね、事故で両親が死んじゃったんだって」

「ほう」

「それから親戚の人に預けられたんだけど、その親戚も災害で死んじゃったらしくて……」

「ほうほう……」

「今は本当に遠い、親戚の人の家に住んでるみたい」


 交流していくうちに、プラチナはレアの身の上話を聞いてその境遇に同情した。

 二度に渡る身内の死。母と祖父を亡くした自分にとってもその悲しみは理解できる。


 保護した当時、街にやって来ていたレアはその親戚の人と逸れてしまったらしい。

 大勢の人がいて見知らぬ土地で、置き去りにされたと思い泣きじゃくっていた。

 だから駆け付けて来てくれた時は、本当に嬉しかったと言っていた。


 シンシアはため息混じりに口を開いた。


「つまり、プラチナ様はあの子供に同情したと?」

「うん、レアちゃん……淋しがってると思って。私もお母さんとアルマンを思い出しちゃったし」

「うーん……」


 シンシアは逡巡するように唸った。プラチナを見、通行人の邪魔にならない位置まで移動して小声で言った。


「祭りですしプラチナ様のためにも極力、水を差すような真似はしないつもりでしたが……」

「? 私何かやった?」

「もう少々、自身が要人である事を留意してください。あなたは一般人ではないのですから」


 プラチナはレスティア王の娘、王女だ。更に使い方次第で国を落とせる付与のアノマリー。

 まだ判明はされてはいないはずだが、その力を利用したい輩は大勢いる。


「仮にあのレアという少女が、何でしたっけ? ……変身呪文で化けたジャック・バウアーだった可能性もあるわけで」

「テッカ・バウアーだよ」

「そうでしたね。でも言いたいのはそこではなく、最低限の警戒はしていてほしいのです」


 変わらずテッカ・バウアーの行方は知れず、コミタバの新しい情報も入手できていない。

 しかしコミタバの狙いはハゲが治る洞窟の破壊とされている。人が多くいる祭りならば、それに混じって何かしら仕掛けて来る可能性はあると騎士団とゾルダンディーは睨んでいた。


「守護者や騎士団、ゾルダンディーが目を光らせているとはいえ……」


 プラチナのしゅんとした顔を見て、シンシアは真剣な声色を緩めた。


「まあ、心構えの話です。あの少女と仲良くするなと言っているわけではありません」

「うん……」

「テッカ・バウアーの可能性もごく僅かです。当然祭りの警備は厳重ですし、あくまで頭の片隅に」

「うん……」

「アカン、説教みたくなった……」


 しまった、と頭に手をやるシンシアにプラチナは元気なく言った。


「注意が足りてなくてごめん。でも、難しいね色々と」

「世の中そんなもんですよ。……苦言はここまで。気を取り直して祭りを楽しみましょう」



○○○



 二人は召喚生物の写真展覧会があるアートエリアに足を踏み入れた。

 落ち着いた雰囲気がある施設内で絵画や彫刻、トリックアート。壺や良く分からない芸術作品が次々と見て回れて、先程の落ち込んだ心も振り払われるようだった。


「こういうので良いんだよ。こういうので……みたいな感じで気持ちが上向きになりましたか?」

「うん、やっとお祭りっぽくなってきた」


 シンシアの声にプラチナは頷いた。

 中でも初めて見た騙し絵にはとても驚いた。ファングの絵だと思えば、見る箇所を変えれば別の絵になったり。まるで扉そのものが壁に貼り付いているような絵もあったり。

 シンシア曰く、目の錯覚でそう見えるとの事だ。呪文という超常現象を使わずに、ここまで超常現象のような体験をさせてくれるとは思いもしなかった。


 お目当ての写真展覧会も見て回った。復興祭のためかマイナス要素はなく、ほぼ全てが明るい前向きな内容となっている。

 陽光が冴え渡る広場で幸せそうに戯れ合っているファング達、丘の上で何やら凛々しい顔をしているモクリュウ、演劇の稽古中の場面だと思われるハードボイルド棒人間、何やらコミカルな顔をした宙に浮く魚。……魚?


「サカバンバスピス。魚の召喚生物です」

「この細長いのがそうなんだ。口が三角形で可愛らしい顔をしているね」

「その見た目に騙されてはいけません。水陸両用で宙を泳ぐ速度は車と同じぐらいです」

「え、速っ!?」

「野生や悪性のサカバンバスピス群れ突進にはご注意を。複数の塊が連続で突っ込んでくるようなものです」


 プラチナはその光景を想像してうわぁ、という気持ちになった。



「おっ、奇遇っすね」

「私は初めましてになりますね」

「ちょっ、急に変わるなっす!」


 引き続きアートエリアを眺め歩いていると、見知った二人組、団服姿のオーハマーとエーテルに出会った。


「二人もお祭り回ってたんですね」

「そうですね。まあパトロールの面もありますが」

「え……んん?」


 会話早々プラチナは聞き間違いかと首を傾げた。エーテルはいつものような言葉遣いではない。雰囲気も違う気がする。

 オーハマーが察して説明してくれた。


「多重人格、別の人格っすよ。エーテル・ブラスト、真ん中の"・"担当のテン」

「あ、そう言えば……」

「初めましてプラチナ。今はボクっ娘ではなく私、テンがこの身体を担当してます。以後よろしく。シンシアの方も」

「はぁ……ボクっ娘だけではなく多重人格とは。濃いキャラしてますね」

「長年活動しているオーバーパーツのあなたが言うのですか」


 快活でボクっ娘のエーテルと違って落ち着いた涼やかな声だった。そして敬語。

 しかし外見上はいつも接しているエーテルでプラチナは困惑した。別の人格がいる事は聞いていたが、いざ目にするとボクっ娘のエーテルがテンを演じているように見える。


 凝視してるとテンが首を傾げた。


「お気に召さないならボクっ娘の方を呼び出しますか?」

「いや、全然そういうわけじゃなくて……本当に別人なんだよね?」

「ええ、そうです。なら変わってみますか」


 そう言ってテンは閉口して目を閉じた。するとすぐさま、プラチナが知っている声色がため息混じりに聞こえてきた。

 エーテルが顔を顰めて息を吐いている。


「テンちゃんさぁ……」

「あ、エーテルちゃん。……エーテルちゃん?」

「大丈夫、ボクです。たった今変わりました。はぁ……」


 またため息を一回。落ち込んでいるではなく全くもう、といった感じだ。


「表に出るなら長く出て、美味しい物を食べたり遊んだりすれば良いのに」

「おや? って事は普段はボクっ娘の方が主人格なのですか?」

「そだよ。テンちゃんは裏ばっか……まあそもそも、ボクもテンちゃんも副人格なわけだけど」

「今後はプラチナとも私、テンが一緒に活動する機会もあると思い表に出たのです。話を通してなくて驚かれてもあれですし」

「もう、テンちゃん! 急に変わるな!」

「仕方ないじゃないですか。エーテル・ブラストが多重人格ってのをしっかりと教えておかないと」

「ボクが言いたいのはそこじゃない! 表に出るならそのままでいてよ! ボクは裏に引っ込むからさ!」

「それでは私は裏に引っ込みまーす」

「もー! もー!」

「ボクっ娘の牛とはまた酔狂な」

「引っ込むんじゃなかったのかー!」


 エーテルが一人で会話している光景。事情を知らない人間が見たなら不審者だと思うやり取りだった。

 オーハマーが言った。それにシンシアが応じた。


「ま、人それぞれ悩みはあるって事っすね」

「そうですね、左遷されたオーハマー」

「んがっ、何故いきなり口撃したっすか!?」

「いえ単に疑問に思ったのです。ウイタレンから本部に戻ったわけですが、これは本部栄転? しかし支部長職を解かれ一般団員に成り下がったとも言えて……どっちでしょうか?」

「どっちでも良いじゃないっすかぁ、ペロイセン思い出すからほじくり返さないでほしいっすー」

「皆、そろそろ静かにした方が……」


 アートエリアで喧しくするのは禁止。プラチナが告げると三人は周囲の視線に気付き口を閉じた。



○○○



 昼少し前、プラチナとシンシアは各地の商品が展示されている場所へと向かった。そこで日頃世話になっている人達へのプレゼントを購入するのだ。


 目的地は元々あった街の商業エリアをそのまま流用した形となっており、プラチナ行き付けの召喚生物触れ合い店もあれば消耗品が買える雑貨屋も見かけた。

 人通りも昼時なのか、他より比較的少なく物色には丁度良い頃合いだった。


「さてさて、贈り物との事ですが……何を買うかはもう決まっています?」

「全然……」


 シンシアの問いにプラチナは項垂れた。幽閉されて国外に逃されたのだから、誰かにプレゼントなんて初めての経験だ。最初の一歩がどう踏み出せば良いのやら。


「お金的にもあまり高価な物は買えないし……」

「こういうのは高い物が良いとかはないですよ。で、誰々に贈るのです?」


 贈る相手はスターにエネル、父レスティア。それに騎士団初期メンバーの人達。エーテル、ジクルド、ヴァニラ、アルス、その他入団してから優しくしてくれた団員達……。後ヒカリの召喚生物達にも美味しい食べ物を。


 シンシアはツッコミを入れた。


「いやいや多いわ、え? ……マジで全員にプレゼント買うの?」

「無理、かな?」

「無理に決まってるでしょうが」


 シンシアはやれやれと首を振った。


「流石に贈る相手は絞りなさいな。とりあえず数は三人……スター・スタイリッシュにエネル剣。レスティア王ぐらいでしょう」

「でもそれだと他の人が……」

「挙げた三人以外には適当なお菓子箱でも投げれば良いのです。つーか全員個別にプレゼント内容考えていたら祭りが終わってしまいます」

「うっ、確かに」


 それでは元も子もない。出店している店も祭り期間中に店じまいしてしまうかもしれない。

 金銭的な観点からもシンシアの意向に従う事にした。


「王様には最悪、その辺の石ころでも渡せば感謝感涙……まずは二人。何をもらえば喜ぶのやら」

「そういや私、スターとエネルちゃんが何が好きとかは知らない」

「ならひとまず、見て周りながら考えますか」

「うん。よろしくねシンシア」

「はいはい」



 祭りの期間中はいつもより店の種類は豊富だ。やはり大勢の人々が街にやって来る稼ぎどきのため、広場のスペースにすら屋台があり、あらゆる娯楽品が並べられていた。


 それらをシンシアと一緒に店々を物色していく。

 プラチナは当初の目的を忘れ、思わずはしゃいでしまった。本当に普段見慣れない商品が売っていてテンションが上がったのだ。


「棒人間セクシーポーズ写真集……!? しかも今日限定商品。何処に需要が?」

「人の趣味嗜好は無限大ですから」

「このお酒、アルコール度数が90以上って書いてある!」

「普通は割って呑みますが、肉体強化呪文を駆使すればストレートでもいけない事はないでしょう」

「これが月の石……! 初めて見た。月ってあの月だよね、満月とかの。これってオーバーパーツ?」

「普通に偽物では?」

「和菓子、専門店? 和菓子って何?」

「お菓子の事ですよ。甘いやつ」

「犬猫触れ合い店もある! 少し歩けば乗馬体験できる店もあるんだって!」

「そうですね。本当に色々とあるものです」


 かれこれ約一時間、プラチナはシンシアを連れ回した。シンシアも祭りを楽しんでもらいたいため、呆れながらも着いてきてくれていた。

 しかし、そろそろプレゼント購入という目的を思い出させようと口を開こうとした時、二人はまた見知った騎士団員と遭遇した。


「おやプラチナ、と確かシンシア……さん?」

「アルスさん」

「さん付けは不要ですよ」


 プラチナと同期入団、いつもより元気がないように見えるアルス・リザードだった。


「アルスさんもお祭りに出てたんですね」

「ええ、出す予定の焼きそば店も中止になりましたので……ぶらりと足を伸ばして」


 ウイタレンの件でリソースが削られた騎士団は、団員の出店は取り止めになった。結構カツカツなのだとプラチナはエネルから聞いている。

 アルスが尋ねた。


「お二人は買い物ですか?」

「買い物……あっ!?」

「ようやく気が付きましたか」

「?」


 シンシアが嘆息してアルスが首を傾げた。

 プラチナは思わず額に手をやった。いつの間にか、物色に夢中になってしまっていた。


「まあアルマン的には喜ばしい事でしょうけどね」

「その、申し訳ありません。私には話が見えてこないのですが……?」

「スター・スタイリッシュとエネル剣へのプレゼントは何が良いのか探していたのです。日頃の感謝を込めて」

「ああ、そうでしたか。それは素晴らしい事です」

「ですが何を贈るか悩んでいまして。妙案などはありませんか?」

「ふむ……」


 プラチナが軽い自己嫌悪に陥っている時、シンシアがアルスに尋ねた。

 アルスは表情が冴えないながらも、プラチナを見て微笑ましい顔になって答えてくれた。


「悩んでいるなら実用性がある物を選んでみてはいかがでしょう?」

「ほう、実用性」

「まあ、あの二人ならプラチナが真剣に悩んでいるだけで充分だと言いそうですが……」


 実用性。具体的な意見にプラチナは顔を上げた。実際に使う物を贈れば良いのだろうか。


「エネルにはスケッチ用具セット。スターには靴下。あくまで一例として提示させて頂きます」

「あ、エネルちゃん絵をよく描いてた……でもスターには靴下を?」

「スターの戦闘スタイルは剣ですから。近接や回避のため走ったり跳ねたり踏ん張ったり。靴も靴下も結構重視しているはずです」


 そう言われてプラチナはこれまでのスターを思い返した。確かに剣で戦う場面ばかりだ。

 足に力を入れる機会も多い。その度に消耗していくのだから靴下はとても良い提案ではないかと思う。

 

「でもプレゼントに消耗品ってどうなんだろう……」

「プラチナ様、提案してくれてるのにその言い草は……」

「あっ、ごめんなさいアルスさん」

「大丈夫、全然構いませんよ。誰かのために計画し時間に金銭、労力を消費する。先程も言いましたがプラチナの行いはとても素晴らしい事です。見ていて気分が晴れますから」


 そう言ってアルスは笑った。

 その微笑みを眺めプラチナはお返しをしたい気持ちになった。親身になって考えてくれたのだ。流石に何か返さなくてはならない。


「……気分が晴れたというなら、さっきまで落ち込んでいたって事ですか?」

「えっ?」

「アルスさん、いつもより元気がないように見えて……」

「ああ……」


 アルスは覇気がないまま少し困ったような顔をした。


「実は最近、悩み事ができてしまいまして……一体どうしたら良いのか思案していたのです」

「それは私にも手伝える事で?」

「いえ、個人的な問題です。お気持ちだけ受け取っておきます」


 どうやら取り付く島ないようで、やんわりと拒否された。ならばせめてアルスの分の贈り物の内容も考える事にプラチナは決めた。

 ただのお菓子箱ではどうかと思うし。



 それからアルスと別れ、父へのプレゼントを決める事にした。

 シンシア言うには、プラチナが贈れば基本的に何でも喜ぶそうで先に済ませる方針に変わったのだ。


 熟考の結果、白色の紅茶カップ。それと少々値が張る紅茶の茶葉を専門店で購入した。

 プラチナは知らなかったが、父レスティアは紅茶を好んで飲む。

 ならばタイミングを見計らって紅茶を淹れて、そこを会話のきっかけにしてみようと考えてみる。プラチナ自身、気まずい親子間は解消したいと思っていた。


「そこまで悩む必要はありませんよ。策なんて弄さず普通に会って話せば、あの王様は受け入れてくれます」

「その普通が難しいんだよ……」


 スターとエネル、アルスへのプレゼント内容は今日は見送りになった。

 今こうやって祭りを堪能できるのは二人のおかげ。生半可なプレゼント選定はしたくない。もっと情報のリサーチと協議や物色を重ねに重ね、適した物を贈った方が良いのである。


「そろそろ一度、本部に戻りますか」

「そうだね。プレゼント置きたいし」


 複数のお菓子箱も買って荷物は一杯になった。大き目の紙袋を計四つ、二つをシンシアに持ってもらい騎士団本部に戻る道を歩く。

 その途中で大道芸が行われている区画を通った。変わらず街の全域で祭りは賑わっていて、この公園広場では芸人達があれよこれよとこの日のために磨いてきた芸を披露し、立ち見していた観客達が硬貨を投げ込んでいる。


「あっ」


 それを後で観に行こうと横目で眺めていたら、少し離れたスペースで、たった今思案していた二人を見かけプラチナは駆け出した。

 スターとエネル。自分にとって最も信頼できる恩人二人も祭りの見物に来ていた。会えて心がぱぁっと明るくなる。


「スター、エネルちゃん!」


 スターがエネルを肩車していたため、二人同時に振り返った。プラチナは二人の元へ到着した。


「プラチナ」

「お、シンシアと祭り回ってたんだ」

「うん!」

「お兄ちゃーん」

「え?」


 しかしその時、何処かで聞いた声が三人の耳に届いた。視線を向ければ先程会ったレアがこちらに走ってきている。


「あの茶髪は確か……迷子の」

「レアちゃん? ……いや、お兄ちゃん?」


 プラチナは疑問に思った。

 お姉ちゃんではなくお兄ちゃん。レアは確かにそう言った。ならば彼女の目当ては自分ではなくスターになるはずだ。

 その理由は一体何なのか? 二人は知り合いなのか?

 プラチナはスターに目を向けた。スターは驚愕したように目を見開いていて固まっていた。


 そしてレアがこの場に到着した。


「お前、まさかレア……!?」


 スターの困惑声にレアは狂気的な笑みで応えた。


「久しぶりだね〜、お兄ちゃん」


 直後、レアの背後に真四角真っ黒の巨石が落下した。

 中からのっぺらぼうの死体が溢れ出してきた。



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