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寒い街
すっかり暗くなった冬の寒い夕方。僕は寂れた街を歩く。
それはとても淋しい街で、街行く人はみんな孤独に見えた。
僕もまさに孤独であった。この孤独で淋しい心の隙間に、容赦なく寒風が吹きすさぶ。
この寒風が僕の心を冷し、凍らせ、僕の心に残るかすかな優しさも氷のように冷たくなった。
氷の心で街を歩く。この淋しい街を歩く。街灯は消え失せ、人々は皆孤独を抱き締めて歩いていた。誰一人仲間はいない。ただ一人きりで街を歩き、一人きりでベンチに座っていた。
寂れた街には活気などなく、ただ廃虚同然の街並みがどこに行くあてもなくじっと佇んでいる。
その寂れた寂しい街は灰色に濁っていた。ただ雑多に殴り書きにされた落書きを、さらに汚いものにするような灰色である。
それと同じように街行く人の顔も灰色であった。僕の手も顔も灰色であった。
こうして僕はまた歩いていく。寒く悲しく死んでいく街を…。