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屋台のから揚げ
寂れた街のお祭りで、から揚げの屋台が開いている。
じゅーじゅー揚がってるから揚げを、お客はみんな買っていく。
いつもはシャッターが閉まっている寂れた淋しい商店街に、から揚げのもったりとした匂いが漂っている。
ワタシはそのから揚げである。ワタシはから揚げの立場で、街を、人を観ている。
そしてワタシはこの街に漂う陰鬱な空気が年に一度の祭りの活気に満ちているのを感じている。虚無を覆い隠す一瞬の喧騒、輝き。
しかし、この街に漂う死んだような空気、感情は、決して覆い隠すことはできないのだ。
人々も活気に満ちているように見えるが、地元民の急な街の喧騒に戸惑う不安の目をしているのが分かった。
この街の、このままゆっくり死んでいく街の行く末を、ワタシは見届けることはできない。
なぜならワタシは男の子に買われ、今まさに食べられるのだから。さらば…さらば…さらば!