プロローグ
数ある作品の中から少しでも読んでいただき、ありがとうございます。
年内完結を目指して連載しますが、内容上完結まで度々修正を入れる可能性があります。
キャラの性格に矛盾が生じそうでドギマギしています。
ご了承ください
あれはお母様たちのお茶会について行ったお茶会を終え、自室で遊んでいた時。
当時3歳の俺に5歳の姉が積み木を投げてきて、見事にクリティカルヒットした。
生まれながらにくりくりのエメラルドの瞳、ピンクのぷりっとした唇、オレンジのくせ毛がちな髪。
男の子なのに第一印象は必ず「お可愛らしい!!!!」と貴婦人の方々に大人気なお人形さんみたいな
男の子
それが俺、ステープルトン侯爵家子息ルイス・ステイプルトン。
あまりにも可愛過ぎた。女の子と間違えられるほどに。
そして姉と真逆だと言われるほどに。そう、姉と。
ルイスと同じようにエメラルドの瞳。ただキュッとつり上がった目尻が、その色を鋭く感じさせる。
色づく唇は、いつもしっかりと引き締められていて、口角が上がったところを見たことがない。
オレンジの髪は、くせ毛からしたら羨ましいほどに毛先まで真っ直ぐなストレート。
性格も物静かで、あまり愛想はないが、受け答えはしっかりとしている。若干5歳にして洗練された令嬢。
しかし同時に子供にとっては「近寄りにくい」という要因になった。
だからだろう。お茶会に参加しても貴族恒例の挨拶だけで、親しみのある言葉はかけられない。
周りの子供達は拙いながらに交流し、お互いの趣味や最近の出来事についての会話に花を咲かせる。対して姉の周りは母と同じ年代の貴婦人たちが集まり、あれやこれやと幼い姉にはまだ早いであろう婦人会の活動なんかについて熱心に話していた。
募りに募った幼い姉の行き場のない喪失感と嫉妬は、突如として弟に牙をむいた。
お茶会中じゃなくてよかったとか、人目が無くてよかったとかそんなことを思った。同時に3歳にしては的確すぎる思考回路に疑問を覚える。
その瞬間にダムにせき止められていた水が一気に押し寄せるように記憶が流れてくる。
ルイスの3年分とは似ても似つかない記憶が。
ーーーひとつのケーキを囲む家族の姿
強面な顔して優しい父ちゃん、気遣い上手で優しい母ちゃん、うるさいけど年中恋愛脳で落ち着きがないけど最高にいいやつだった姉ちゃん。
あの日、18回目の誕生日を迎えらなかった俺。下校中に道路に飛び出した子猫を追って…その先はなかった。
そして同じく熱烈な存在感で思い出したのは、自分じゃ上手くクリア出来ないから一回やってみてと姉ちゃんに半ば強制的にやらされた乙女ゲーム。
『Maze of Love〜私は愛にたどり着きたい〜』
ゴテゴテ中のゴテゴテな乙女ゲーム。ストーリーは亡くなったと思われていた公爵家の愛娘が森にお忍びで散策に来ていた王子と出会うところから始まる。乙女ゲームらしく王子はもちろん、王子の友人らも攻略対象として恋愛が発展していくストーリーだ。
もちろん、お馴染みの悪役令嬢なんかもいる訳で彼女は王子の婚約者として、長い間平民として暮らしていたヒロインに何かと難癖をつけてくる。テーブルマナーがなってないとか、カーテシーが美しくないとか、ぶっちゃけ産まれてから今までお嬢様続けてきた人と比べようがないだろうって思った。
が、ここで思い出したのは問題は悪役令嬢の肩書きはそれだけでないということ。
宰相ステイプルトン侯爵の娘、攻略対象ルイスの姉。アンジェラ・ステイプルトン。
俺のお姉様だ。
父さん、母さん。俺は元気です。でも、とんでもない世界に転生しました。
姉ちゃん、俺も乙女ゲームの攻略対象になったぞ。