エピローグ
「豆タロウ!今日はバーベキューするよ!」
日曜日の朝、ママが庭に大きなパラソルを開いた。
パパがバーベキュー用のコンロやら鉄板やら運んでくる。
ばーちゃんが切り分けた野菜やお肉を、弟のやつが皿やコップを持ってきてテーブルの上に広げた。
ねーちゃんは勉強ノート片手に炭に火をつけてる。
ボクはというとそんなみんなを目で追ってるだけ。
それに飽きたら、ふと空を見上げてみる。
空は雲一つない青。
そんな空を見てたら、一瞬だけ周りの音が聞こえなくなるんだ。
この世界にまるでボクだけしかいないみたいな。
でもそれは寂しい。
「豆タロウ?」
ボクを呼ぶ声。
見上げればねーちゃんがいた。
「黒豆ったら寝てたの?」
ねーちゃんが優しく笑ってボクの頭をなでる。
『…うん、寝てたのかも』
「ほら、準備できたから黒豆もおいで」
いつの間にかバーベキューはスタートしてて、ねーちゃんはボクを呼びにきたんだ。
テーブルの周りにはばーちゃんとママと弟のやつがいて、その横のコンロのとこにパパがいる。
そしてボクの隣にねーちゃん。
「豆タロウ!早くこないと、あげないよ?」
「豆タロウの好きなのもちゃんと買ってきてあるんだよ?」
「豆タロウ、食べ終わったらサッカーだからな!」
「豆タ、こいつら食ってばっかで俺1人だから、早くこっちきてくれよ」
みんなボクを待ってる。
「ほら、早く行こ?」
『うん、今行く』
いつもにぎやかで、一息つくようなヒマなんてほとんどない。
……だけど。
やっぱりみんながいるのがいいんだよね。
みんながボクを大好きなように、ボクもなんだかんだみんなが大好きなんだよね。
だって、家族だもんね。
「豆タロウ!」
『まったくもう。ボクがいなきゃみんなダメなんだから』
ボクは駆け出すよ?
大好きな家族のそばにね―☆
最後までお付き合いくださり、本当にありがとうごさいました。