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第29話 捜索

 とにかく、ただ呆然と立っているのも時間が惜しい。

 寺門は布を口にあて、埃を吸わないように気を付けながら資料や文献を探し出す。

 モニカとニーナも同様に、布を当てながら資料探しに没頭した。


「見た感じだと、文書は整理整頓されてはいるようですね」

「少しは探しやすくなってるものね」

「でもこれだけ紙が多くあると、詳細に見ていくのは大変ですよ」

「とりあえず、文書のテーマを見て、それが参考になるものかどうかを分類していきましょう」


 そういって寺門たちは、資料をあさり続ける。

 そのまま数時間が経過した。資料探しは難航しており、まだ全体の10分の1にも満たない。

 この日は適当な所で切り上げ、めぼしい資料を研究者に渡す。


「すまないね。このような手伝いをさせてしまって。本来なら我々の仕事なんだがな」

「いえ、僕たちも手伝えているようで何よりです」

「さて、文献から有力な情報を探し出すのは研究者の仕事だ。君たちは宿に戻ってゆっくり休むといい。明日以降もこの作業が待っているからな」

「あ、明日も?」


 そうモニカが言う。


「仕方ないですよ。研究者の方も人手がほしいところなんですし」

「まぁ、そういうことだ。すまないな」


 そういって寺門たちは宿に戻ることにした。

 翌日、資料探し2日目。

 この日も朝から資料探しに追われる。


「こんなに資料が山積みになっているから、探し出すのに時間がかかりすぎちゃう」


 愚痴のように、モニカは話す。


「これも仕方ないことでしょう。今は手を動かすべきです」


 寺門は、モニカを諭すように言う。

 こんな調子で、3日目、4日目と時間が過ぎていく。

 そして5日目になって、ようやく資料のすべてに目を通すことができた。


「はぁ……疲れましたね……」

「ほんと……。しばらくの間は文字なんて見たくないわ……」

「地味に肉体労働でしたし……」


 疲れ切っている寺門たちの元に、研究者がやってくる。


「お疲れさん。こっちでも詳しく資料を覗いてみたんだが、これといった解決法は見当たらなかったな」


 これで、この部屋を探し回った意味がなくなった。


「しかし、資料はまだどこかにあるはずなんだ。そういうわけで、次は図書館に向かってほしい」

「今度は図書館ですか?」

「本当に申し訳ないと思っている。だが頼れるのは君たちだけだ」


 なんだか研究者に、簡単に口車に乗せられているような感じは否めないが、仕方なく寺門たちは魔術学校の図書館に向かうのだった。

 魔術学校の図書館は、それ単体でも相当の所蔵量を誇る、帝国屈指の知の集積場所である。そんな図書館に寺門たちは向かう。


「今度は図書館で文献探しですか……」

「まぁ、そんなことは言わずに、な?」


 そういって研究者の一人と一緒に、図書館へ行く。

 寺門自身、図書館を利用したことは何度もある。しかし、今回のように、文献を探すということはしたことがない。


「文献を探すっていうのは、もともと学者や研究者がするようなものだからな。君たちが知らなくても仕方ないだろう」


 そういって研究者は慣れた足取りで図書館の奥のほうへ行く。

 すると、そこには巨大な書庫があった。


「これは、すごいですね……」

「この書庫には、これまでの研究で提出された論文が保存されている。この書庫になかったら、もう他の場所にはないだろう」


 そういって研究者は、書庫の前にある台座のようなものを操作する。


「それはなんですか?」

「これは、この書庫にある論文を検索する機械だ。必要な事項を入力すると、目的の論文や文献がどこにあるのかを探してくれる」


 寺門にとっては見慣れた装置だろう。

 研究者は論文のキーワードを入力する。


「さて、これで出てくるだろうか?」


 そういって研究者は提示される論文を見る。


「うーん、検索件数116本か……。少し多いな」

「何か絞れるワードはないものでしょうか?」


 寺門は考える。

 魔人は大量の魔力を吸収・消費する存在。すなわち魔力を扱う方法に長けている存在とも言える。


「魔力の制御……」

「どういうことだ?」


 そこに研究者が割り込んでくる。


「魔人とは膨大な魔力を扱う、いわば魔力のタンクとも言える存在です。となると、何らかの方法によって魔力を制御できる形や模様があるはずです」

「なるほど……。面白い考察だ。それをキーワードにして検索をかけてみよう」


 そう言って研究者はキーワードを変えて再検索する。


「魔力、制御、模様で検索だ」


 そういうと、今度はかなりの数が絞れた。


「4本の論文がヒットした。これだけなら探すのは簡単だな」


 早速その論文を探し出す。

 ちなみに、この書庫にある論文は持ち出し厳禁であるため、この書庫の中で読むしかない。

 4本だと、ちょうど研究者と寺門たちで1本ずつ読むことができる。

 彼らは手分けして、情報の洗い出しを行っていく。


「『魔力と制御に関する考察』……これになら書いてありそうだな」


 寺門は早速、その論文の内容を確認する。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

もしよろしければ、下の評価を押していただくと幸いです。またブックマーク、感想も大歓迎です。

次回もまた読んで行ってください。

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