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第109話 修理

 長い攻防の末、どうにかアルファ艦隊を退けたホッフヌングと寺門たち。

 2番惑星の大気圏から宇宙に出ても、アルファの艦艇群は見当たらなかった。


「周辺のレーダーにアルファの反応ありません」

「ライアン航空班長、艦載機を出して周辺を捜索してください。もしかすると、アルファの残骸にまぎれているかもしれません」

「了解。観測機は直ちに発艦せよ」


 いまだ戦闘配置についているが、艦橋も現場も、アルファ艦隊を退けたという雰囲気が流れてた。

 寺門としては、警戒体制を解きたくはないのだが、人間というのはそんなに集中力は持たない。

 そのため、次のように命令を下す。


「ジェニファー通信長、現在監視にあたっている人員を交換してください。アバターの皆さん、ホッフヌングの監視をよろしくお願いします」

「かしこまりました」


 今監視任務にあたっている軍人を、アバターに置き換えた。

 こうすることで、人間である軍人を休ませることが出来る。

 その間に、寺門は確認したいことがあった。


「クララ技術長、ホッフヌングの被害状況は?」

「現在確認中。主な被害箇所は艦上部です」


 そういって主モニターにホッフヌングの被害箇所を表示させる。

 2番惑星で攻防をしていたせいか、主に艦の上部の区画に被害が及んでいた。

 しかし現在の所、致命的な被害になっていないのが不幸中の幸いだろう。


「クララ技術長。直ちに修復に入ってください。必要ならば、アバターを使ってもらっても構いません」

「了解。修復作業に入ります」


 そういって技術長のクララは、技術科に指示を出す。

 技術科が状況を把握すると、ホッフヌングの被害状況が分かってくる。

 まず、艦上部の区画はそこまで深くやられていないようだ。上手く防御と攻撃を切り替えたことが要因だろう。

 これに関連して、艦中央にある重要区画は被害無しであった。


「……被害報告は以上です」

「ありがとうございます」


 寺門と各科長は作戦室に集まって、被害状況の報告を受ける。

 ひとまず、ホッフヌングは小破であるということが分かった。


「現在、損傷個所はアバターの皆さんに船外活動で修復してもらってます」

「それに関連してなのだが……」


 ここで戦術長のロイが口を開く。


「ホッフヌング上部にある砲塔やミサイルサイロが複数損傷している。これも一緒に直してもらえると助かる」

「了解、後で対応します」

「あとは、今回の戦闘で相当量の弾薬を消費した件だな。核融合転化炉があるものの、今回の戦闘で備蓄の大部分を消費した。しばらくはミサイル無しの戦闘を強いられることになるな」

「了解です。弾薬の補給に関しては、アバターの皆さんに任せるとしましょう」

「かしこまりました」


 このように、現状のホッフヌングに関する報告をし合う。


「では、この辺りでいいですかね?」


 寺門が会議を締めようとする。

 そこにアバターが待ったをかけた。


「その前に、懸念材料がある事をお伝えしておきます」

「懸念材料……ですか?」

「はい。こちらをご覧ください」


 そういって表示させたのは、とある表であった。


「これは?」

「衛星の前線基地に残っていた、内惑星領域にいると推定されるアルファの艦艇残存数と、今回撃破したアルファ艦艇の数です」

「桁多くないですか?」


 その表には、1000万を優に超える艦艇の数が示されていた。


「内惑星領域にいると推定される艦艇数が約7000万隻。対して今回撃破した艦艇数は6932万5573隻……」

「おおよその数値は合っているかと思います」

「確かにそうかもしれませんが……。こんなに撃破していたんですか……」

「はい。測定に間違いはないと考えられます」


 これだけ撃破していれば、弾薬不足に陥るのも仕方ないと言える。


「しかし、これがどうしたっていうんだ?」


 戦術長のロイが尋ねる。


「この情報は、アルファの艦艇残存数がほぼ正確であるという事を示しています」

「となると、この調子で外惑星領域の艦艇数も割り出せるということですか?」


 寺門がそう推察する。


「そのようになります」

「なるほど。それで、外惑星領域に何隻いると推察されるんだ?」


 戦術長のロイが質問する。


「現在の所、このデータが正確であるならば、少なくとも外惑星領域には艦艇が1億隻以上いると推察されます」

「1億か……。こりゃまた大きく出たもんだね」


 機関長のトールが腕を組みながら言う。


「それに、これが最低限の見積りですから、今まで以上の激戦を強いられることも考えられます」

「それに懸念材料がもう一つあります」

「まだあるんですか?」


 寺門が少しあきれたように言う。


「はい。アルファは、星雲全体に進出している超文明です。恒星系の外からやって来るのは当然の摂理でしょう。そのためアルファ側には補給線が大量に存在すると言えます」

「兵站が大量に存在すれば、それだけ敵はこの恒星系に戦力や物資を送り込みやすくなる……」


 航海長のデニーが、そう推察する。


「その通りです。そうなれば、私たちが不利になるのは当然とも言えるでしょう」

「しかし、その状態にしておくのも問題であるということですね……」


 寺門はしばらく考えたあと、こう宣言する。


「僕たちの惑星の安全のためにも、外惑星領域に存在するアルファ艦隊を撃破する必要があると考えます。よって僕たちはこれより、外惑星領域に進出しようと考えます。皆さんの意見はいかがですか?」


 寺門は各科長に問う。


「特段反対する要素はないな」

「そうだな。敵は今も我々の惑星を襲おうとしているんだからな」

「異議なし」


 反対意見はなかった。


「ありがとうございます。では、ホッフヌングの修理が終了次第、外惑星領域に向かって出発します」

「了解」


 こうして、ホッフヌングは外惑星領域へと足を踏み入れることになる。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

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次回もまた読んで行ってください。

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