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第103話 作戦会議

 それから約6時間、寺門は艦長室で眠りについていた。

 その間も人員を交代しつつ、周辺の監視をしたり、整備を行っていた。先の爆発の影響がどこかに残っていれば、それは重大な問題に発展するためである。

 そして、十分な睡眠を取った寺門は、再び艦橋に上がるのだった。


「皆さん、お疲れ様です」

「艦長、よく眠りになれましたか?」


 艦長補佐をしてくれているアバターが聞く。


「えぇ。すっきりとしています」

「それは何よりです。話は変わりますが、前線基地に残っていたデータの解析が終了しました」

「分かりました。各科長を作戦室に集めといてください」

「かしこまりました」


 そういって、主要メンバーを作戦室に集める。


「では、解析が完了したデータの方を見せてください」

「はい。こちらです」


 そういって作戦室の立体映像投影機に映し出されたのは、恒星系の3D地図であった。


「データのほとんどを占めていたのは、私たちがいる恒星系を数mm単位で詳細に記した立体地図です。主要な惑星から、直径数mの小惑星の公転軌道や自転を含めた周期、それらを観測、収集した記録から推察される恒星系全体の位置を記した物になります」

「アルファはどうしてこんなにも詳細な地図を残したのでしょうか?」

「それに関連する物が残っていました。前線基地が放棄されるまでのアルファ艦隊の位置と、今後の移動命令です」

「なるほど。それぞれの艦艇の位置と惑星の動きを確認するために必要だったわけだ」


 航海長のデニーが言う。


「おそらくその通りです。艦隊に所属する艦艇の数や、その方向までもが詳細に記録されています」


 そういってアバターが時間と空間の設定をいじる。

 場所は恒星の近い順から3番目。寺門たちがいる3番惑星だ。

 記録上では、今から約2000年前にこの3番惑星に最接近した記録が残っている。


「私たち、超古代文明がアルファを初観測した日時です。そのころから前線基地はあった事になります」

「なるほど。それ以降、この恒星系に浸透するようにアルファの艦隊は来ていたのですね」

「それよりも気になるのは、アルファの今後の動きだ」


 そう冷静に、戦術長のロイが言う。


「では、前線基地が放棄された後の、艦隊の動きを見てみましょう」


 そう言ってアバターは、動画を早送りするように、時間を先に進める。


「ここで前線基地が放棄されました。今から5年ほど前の事ですね」

「割と最近ですね」

「そして、ここからはアルファ艦隊が動くとされる活動範囲です」


 すると、天気予報の雨雲レーダーのように、時間が進むにつれて艦隊の位置が不鮮明になっていく。それと同時に、艦隊の位置も確率で示されるようになってきた。


「時間が進むにつれて、艦隊の位置が不鮮明になっていきます。これは、今後の行動予定を決めかねているという状態なのでしょう」

「しかし、今から直近のデータを使えば、待ち伏せなりで艦隊全体を壊滅させる事も可能なのでは?」


 そう戦術長のロイが提案する。


「しかし、それでは専守防衛の理念に反します」

「それは艦長が言っていることだろう?」


 思わず寺門はたじろぐ。

 確かに言っているのは寺門だけだ。アバターも賛成しているわけではない。

 それに、アルファは今のところ、無条件でホッフヌングに対して攻撃を仕掛けてきている。正当防衛なら完全に成立しているはずだ。


「うぅむ、しかし……」

「リョウさん、あまり深く考えないほうがいいですよ」


 そうニーナがアドバイスする。


「とにかく、今後の行動目標を立てないと、何をしようも動けないぜ?」

「それならば、この地図を参照している時に、気になるものを発見しました」

「気になるもの……ですか?」

「はい。それがこちらになります」


 そういって地図を移動させる。

 場所は恒星に一番近い場所、1番惑星だ。

 表面温度1000℃を超える灼熱の大地に、何か建造物のようなものが現れる。


「前線基地とはまた違った建物ですね?」

「大きさは15km四方にもなる巨大な建造物です。この建造物の役割として、エネルギー生成とタグ付けされています」

「エネルギー生成?」

「はい。この1番惑星は自転周期が公転周期と一致しているため、常に同じ面が恒星に向いていることになります。そこに目を付けたアルファが、この恒星のエネルギーを最大限に確保するために建造したものと推察されます」

「そのエネルギーを、この周辺にいるアルファ艦艇に何らかの方法で供給しているのか」


 機関長のトールが推察する。


「おそらくその通りになります」

「ちょっと待ってください。それならダイソン・スフィアとか方法があったのでは?」


 寺門は記憶の片隅にあった科学知識を持ってくる。


「確かにその考えはあったかもしれません。しかし私たち超古代文明が恒星を観測している可能性を否定出来なかったのでしょう。それよりかは観測しづらい1番惑星の表面上に建造するのが理にかなっていたのかもしれませんね」


 あくまでも推察の域を超えない。しかし今はそんな議論をしている場合ではないだろう。

 寺門は要点だけを聞く


「すると、ここを叩けば、結果的にはアルファ艦隊の弱体化に繋がるということですね?」

「そうなるかと想定されます。さらに可能性として、アルファ艦隊の自然消滅もありえます」

「ならばすることは一つだな」


 ロイが確認するように聞いた。


「そうですね……。この構造物を今の内に破壊しておけば、後々戦況が良くなるというのなら、それに越したことはないでしょう」


 そういって寺門は指示を出す。


「目標、1番惑星に存在する構造物!総員第2種戦闘配置につけ!」

「了解!」

「構造物を破壊する方法は戦術科の方でまとめてください」

「了解した」


 こうして、次の目標は決まった。

 後は行動するのみである。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

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次回もまた読んで行ってください。

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