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第101話 走査

 艦長室に入った寺門は、先ほどのことを振り返る。


「正当防衛以外での攻撃を禁ずる、かぁ……」


 正直、自分でもこういったのは間違っているのかもしれないと感じ始める。

 しかし、相手と交渉できる可能性がある以上、それを捨てるのはなんだかもったいないような気がするのだ。


「出来ることなら、戦闘を避けられる状態でありたい……」


 しかし、実際にアルファ艦隊に攻撃をしてしまっている以上、言い逃れは出来ない状態である。

 安易に正当防衛以外での攻撃禁止を言い渡すべきではなかったかもしれないと、寺門は後悔した。

 それでも、それでもなお。


「出来る所まで足掻いてみせる……」


 嘘の発言にならないように、仮に嘘の発言になったとしても、被害を最小限に抑えるために。

 寺門は、今一度認識を改めるのであった。

 その直後、艦長室の電話がなる。


「はい」

「あっ、リョウ君?」

「どうかしました?」

「目的地に接近してきたから、艦橋に戻ってきて」

「分かりました。すぐに行きます」


 そういって受話器を置く。

 一息入れると、寺門はワープを使って艦橋に戻る。

 艦橋に飛ぶと、メインモニターには惑星の衛星が大きく映し出されていた。


「衛星まで約5000kmです。艦長、惑星スキャンを使いますか?」

「そうですね。アルファの前線基地を把握するためにも、惑星スキャンを行ってください」

「了解」


 通信長のジェニファーは、惑星スキャンを使うために、タッチパネルを操作する。

 そして惑星スキャンが開始された。

 特殊な電磁波を使うことで、惑星の内部まで確認することが出来る。

 それにより、衛星のクレーターの詳細な様子まで立体的に分かるのだ。

 そんな中、衛星の裏側に何か構造物のような物があるのが分かる。


「これがアルファの前線基地ですか?」

「意外とちっちゃい?」


 寺門とモニカ、ニーナが確認するが、他にそれらしいものは見当たらなかった。

 立体画像を確認すると、建物の四方が10m程度しかない。これではただの一軒家と同じだ。


「他に大規模な人工構造物は確認出来ません。おそらく、この建物が前線基地かもしれません」

「他に原因として考えられるとしたら、工作艦の類いでしょうか?それを、この構造物周辺に着陸させて作業をしていたとか」


 寺門が意見を述べる。それならば、周辺に工作艦の痕跡が残っていてもおかしくはないだろう。

 だが立体画像の中には、その痕跡はない。

 結局の所、謎は深まるばかりであった。


「とりあえず、裏側に回って直接視認しましょう」


 寺門の提案で、ホッフヌングを衛星の裏側へと進める。

 数十分後には目的地へと到着した。

 そして目的地周辺を目視で確認する。

 しかし、目的の構造物が小さすぎて、見つけるのに一苦労した。


「それで、どうするつもり?艦長」


 技術長のクララが聞いてくる。


「とりあえず、降伏を勧告するように、呼びかけてみましょう」

「分かりました」


 通信長のジェニファーがホッフヌングの持つ全ての周波数を使って、構造物に対して通信を試みる。


「こちらはホッフヌング。もしこの勧告を聞いているならば、すぐに投降せよ。繰り返す。こちらはホッフヌング。この勧告を聞いているならば、すぐに投降せよ」


 しかし、相手は無反応であった。


「……どうしましょう?艦長」

「そうですねぇ……。この感じですと、実際に降りてみて確認するしか方法がないでしょう。問題は誰が降りるかってことですけど……」


 その問いに誰も答えない。

 だが、一人手を上げるものがいた。

 アバターである。


「私たちなら宇宙空間に放り出されても問題はありません。それに量産も可能ですので、代わりはいくらでもいます」

「そうですか……。あまり気が進みませんが、アバターの皆さんにお願いしましょう」


 そう言って、手頃なアバターが艦載機によって構造物の近くに降ろされる。


『それではアルファの前線基地の調査に入ります』


 視覚情報を艦橋と共有しながら、探索に入っていく。

 まず入口を探すため、周囲を探索する。

 すると、扉のようなものがあった。


『入口はこれだけのようです』

「他に何か気になるものはありましたか?」

『いえ、表面は磨かれたようになっているため、この扉以外には怪しいものはありません』

「そうですか……。では扉に注意して中に入ってください」

『分かりました』


 そういってアバターは扉を開けて中に入る。

 中は完全に暗闇になっているため、何があるか分からない。と、思った瞬間、内部の電気がつく。

 そこには一つの空間のみが存在しており、中央には、四角い鉄の塊のようなものが鎮座していた。

 そこに生物がいるような様子はなく、無機質な空間が広がっているのみである。


「あの立方体は一体なんなんでしょう?」

「なんか不気味に光っているよ……?」

『とりあえず接近してみます』


 アバターは、その立方体に接近してみる。

 その映像を見ていた寺門があるものを発見した。


「下部に何かコネクタのようなものが見えた気がしたんですが」

『確認してみます』


 視界が立方体の下に向けられる。


『確かにありますね。しかもこのタイプは私たちの規格に合いそうです』

「なるほど。それ以外にめぼしいものはありますか?」


 そういってアバターは立方体の周囲を探す。


『……いえ、このコネクタだけですね』

「これが敵の正体?」


 モニカが不安そうに聞く。


「……もしかすると、敵は有機生命体ではない可能性も出てきましたね」

「どういうことですか?」

「人工知能の可能性も出てきたってことですよ」


 そんな事を言っていると、調査中のアバターが話しかけてくる。


『艦長。このコネクタに接続してもよろしいでしょうか?』

「そうですね……。何か情報を得られる可能性もありますし、やってみましょう」

『分かりました』


 そういうと、下腹部からコード類を引っ張り出してくる。


「なんちゅう所にコードがあるんですか……」


 寺門はあまり見ないようにした。

 そしてコネクタにコードが挿される。

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

もしよろしければ、下の評価を押していただくと幸いです。またブックマーク、感想も大歓迎です。

次回もまた読んで行ってください。

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