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間
「うわあああああああああ!!!!」
誰かの叫びを皮切りにクラスの皆は次々と教室から逃げていく。逃げ出す人達で教室の片方の扉は渋滞している。まぁ僕の席がもう片方側の扉に近いから当然か。
穏やかだ。凪のように心が落ち着いている。こんなに穏やかな気分でこの教室にいるのは初めてかもしれない。殺到する渋滞の叫びも何も聞こえない。
『おい、もう終わりか?』
「うん、もういいんだよ」
『なんだそりゃあ。話が違う。何のためにこの力をやったと思ってるんだ?』
「もういいんだよ。あぁこんなに穏やかな気分になるのはいつぶりだろう」
『...じゃあお前にこの力は必要無いな。返してもらう。契約通りにな』
渋滞はもう無くなっていた。誰もいない。柳川を残して。
「なに?」
「い、いや...」
柳川は押し黙っている。何かを言おうとしているみたいだけど、もうそれを聞く時間は無い。
「...ありがとう!最後にこんなに幸せな気持ちになるなんて!ありえないと思ってた!」