ぶっちゃけ雑草とそうじゃないものの見分けはつかない
草原に出て来たはいいものの、動物らしい動物は見えない。
小さい動物がとれるかどうかで、更にそれを分け合っているという話だったから、あまり見つかるものではないのかもしれない。
食べられそうな野草を探すが、ぶっちゃけ雑草とそうじゃないものの見分けがつかない。全部雑草に見える。
実際、食べられる野草もあまり沢山生えているわけではないらしい。
森の中にある木の下に、いくつか小さな茶色い木の実が落ちていたので、拾って砕くと、中からアーモンドのようなものが出てくる。
口に入れると若干渋いが、どうやら食べられそうだ。
あまり深い場所まで入ると帰ってこられなくなりそうだったので、出来るだけ草原に近い場所で木の実を拾う。
服の裾を持ち上げて籠代わりにしながら黙々と集めて、ある程度集まったところで村に引き返した。
服の裾を持ち上げたまま木の実を抱えていくと、腹が見えてしまうが仕方ない。
そのまま納屋の横の小屋を叩くと、老婆が顔を出す。
「これ、食べられそうな物を見つけてきたので、半分どうぞ」
「良いんですか?」
老婆は少し迷う素振りを見せたが、宿代だと言うと納得した。
「ここは老人ばかりで、草原近くとはいえ森を歩くのは大変なので、助かります。あそこはまれに魔物も出ますから」
そういえば、さっきも魔物がいるような事を言っていたような……。
あまり狩れるものでもない、と言っていた気がするけど、もしかしたら危険な魔物なのかもしれない。
「その魔物って言うのは、どんな魔物なんですか?」
「この辺りに出る魔物は、まだそんなに強い魔物ではありませんが……私達のような人間が一人で相手に出来るものではないでしょう。
そういうのは、狩りに慣れた者がまとまって狩るか、冒険者が狩るものです」
慣れた人間が複数人で討伐隊を組んで狩らなければならないとなると、木の実があるとはいえ、ただでさえ足場の悪い森に老人が入っていくのは大変かもしれない。
魔物がどういった物かはわからないが、多分相当に危険だろう。
そう考えると、その危険を侵して手に入れた木の実を渡されて、迷う素振りを見せた理由もわかる。
この村では貴重な食料のひとつでもあるわけだし……。
お腹いっぱいに食べられるほどの数はないが、1日に少しずつ食べれば、とりあえずの食べ物は確保できる。
今この世界での食料は、手に入れるのが難しい状態になりつつあるらしい。
俺は荷馬車が来る時まで、草原側から奥に行かないよう十分に注意しながら、非常食も兼ねて木の実を集める事にしたのだった。