見知らぬ森の中で目が覚めるお決まりのやつ
目が覚めると、そこは見知らぬ森の中だった。
草だらけの地面に仰向けに倒れ込んでいたらしく、体中に土やら雑草やらの感触がする。
ここはどこ? 私は誰?
思わずそう言ってしまいそうになる状態。
俺はどうしてこんなところに?? たしかあの時……
「……あの時??」
そこまで考えてふと、うまく思い出せない事に気付く。
こう、なんか浮かんで、喉まで出かかってるんだけど、もやぁっとして……うまく形にならないような、変な感じ。
でも何となく、ここじゃない。こんなとこじゃなかった。
なんかもっとこう、違う世界にいたはずなんだ。
なんか厨ニ病みたいだけどさ。
……厨ニ病????
厨ニ病ってなんだよ厨ニ病って。意味分かんないよ!
とりあえず、だ。
「お腹、空いたなぁ……」
一人寂しくパニクる俺を、最初に現実に引き戻したのは空腹だった。
とりあえず起き上がって、歩いてみるしかあるまい。
よく分からん森の中で夜にでもなったら、さすがに怖いし……。
なにせペラペラのいかにも安そうな上下一枚、明らかに防御力ゼロ。
こんなんで獣にでも遭遇したら、一発でご飯いきだ。
もちろん、食われるのは俺だ。
ここは速やかに移動して、町なり村なりを目指す必要がある。
「諦めるな俺!!!」
そう自分に発破をかけて、ザカザカと歩き出す。
と、あっという間に森が途切れた。
広がる草原の先に、柵のようなものに囲まれた小さな村らしきものが見える。
ついでに草原に村人らしき人も見える。
……は、恥ずかしい!!!!
まさかこんなすぐに森が途切れるとは思わなかった。
むしろ森に入って、すぐもすぐの場所だったらしい。
さっきの叫び、聞こえてないだろうな?
すっかり見知らぬ深い森で遭難でもした気分になっていた。
いや見知らぬ森である事に変わりはないが、これは恥ずかしい。
出来れば、聞かれていてほしくない。
込上げてくる恥ずかしい気持ちを抑えつつ、サカサカと村に向かった。