取引
デビルは酒場でマフィアを待っていた
マフィアは遅れてやってきた
2人の部下を連れている
部下の1人はショルダーバックを二つ抱えていた
「今晩は」
とデビルは言った
「今晩は」
とマフィアも言った
マフィアはデビルの向かいの席に座った
「これは1ケ-スで700万円だ」とマフィアは言った
「高いよ」
とデビル
マフィアの目つきが鋭くなった
「分かった」
とデビル
「1400万円で2ケ-ス買おう」
「金は売り上げから払う」
とデビル
「取引成立だ」
とマフィアは言った
デビルはショルダーバッグを両手に持ちながら歩いていた
これで薬は手に入った
あとはこの街を現実に支配するだけだ
デビルは既得権益を何よりも嫌っていた
「お金」というものを無くしたかった
この薬を「お金」の代わりにするのである
そのような革命をどうやって起こすか
彼の狂った考えでは
街中の人間を薬物中毒にすることである
彼は水道局を乗っ取るつもりであった
そしてクロ-ルカルキの代わりに
この薬を消毒薬として入れるのである
この薬はカルキよりも体に良いはずだった
中毒性があることを除いては
世の中ではまだこの薬の中毒について知られていなかった
この薬の中毒性を証明したのは彼だった
証明というより
デビル自身がこの薬の重篤な中毒患者だった
デビルの屋敷は広い栗林に囲まれていた
そこには大きな犬が1匹放し飼いにされていて
デビルの屋敷を守っていた