第11話
「あれ? どうしてこんなところにメガネが。うちの部員に眼鏡を掛けている人はいませんのに」
桐華ちゃんがテーブルに置いてあったメガネを持ち上げて、四方八方を見回した。
「……それ、ピカチュー、の」
そう言ったのはパイプ椅子に座っていた翠ちゃんだ。
「ピ、ピカチュー?」
「ん、おじさんのこと……」
「ハゲ山先生がピカチューですか?」
「そ、ハゲ、ピカピカ、ピカチューっ!」
翠ちゃんは目を輝かせてそう言った。
「きっとハゲ山は困っているだろう。本体がこんなところにあるんだから」
絵里先輩はそう言った。
「ま、まさか! 実はこのメガネがハゲ山先生の本体だったんですか! き、桐華今まで知らなかったです!」
「桐華ちゃん! 嘘に決まってるでしょ!」
迂闊に信じちゃう桐華ちゃんに私は叫ぶ。
「では桐華、このハゲ山先生の本体を付属品の部分に届けてきます!」
「おう。きをつけてなー」
桐華ちゃんは走って部室を出て行ってしまった。
桐華は走ります。一刻も早く本体を付属品に届けるために全力で職員室にダッシュします。
「ハゲ山せんせーッ!」
ドアを開けて桐華は叫びます。
「はいはいはいはいはい。霧島さん、職員室でハゲ山はやめましょうねー」
なんかよくわかんないことを言ってハゲ山先生が来ました。
「ハゲ山先生の付属品! 本体をお届けしました!」
「ちょっと何言ってんのかわかりません」