焼け野原!
ここは砂漠だ。分かってしまった。ほほに汗がながれる。
熱い、非常に熱い。僕は口に布を当てた。
砂が僕の周りを回る、気流が起こり風が吹いているからだ。
頭が痛む。空は暗雲で覆われている、真っ黒な雲。すごく近くにあるように見える。手を伸ばせば届く距離、手を雲の中に突っ込んだらどうなるんだろう。試したい。
でももう無理だ、僕はいつの間にか倒れ込んでいた。
いつ倒れた? 覚えてやしない。ただこの熱のせいだろうということは分かった。
もう、いい。諦めてやろうか、そう思った。立ち上がることが億劫なのだ、足がちっとも動かないのだ。
必死に抜け出そうと、逃げようと足掻いたからだ。
ああ、諦めようか。
いや。
しかし。
けれども。
諦めたくない。そうも思った。
諦めきれないのだ、この砂漠から逃れようと心底思っているのだ。このまま熱さに殺されるなんて残酷じゃないか、太陽に焼かれて死ぬなんて辛すぎるじゃないか。
さあ、立ち上がれ。身を奮い立たせろ、逃れるのだ。火の魔の手から。