僕の妹 後編
妹に全力かけて、自分の恋はまだ先延ばし・・・
中学時代の妹はその後も数人の男子からアプローチされた。しかし妹は誰とも付き合わず受験シーズンを迎え、大学進学率の高い高校へ行くことが決まった。
中学のセーラー服は王道でかわいかったけど、紺ブレザーにチェックのスカートはザ・女子高生って感じで益々かわいい。
大人びてきた妹が心配で、車で送り迎えすることが増えた。以前なら断られることが多かったが、電車通学になって距離が伸びたせいで頼ってもらえる回数が増えて、兄ちゃんは嬉しい。しかも、高校生になって携帯を持ったことで、連絡が取り易くなった。
前日に、ふたりで大型書店に行く約束をしていて、下校時間を見計らって高校まで迎えに行く。
自分はもう大学生だから私服だが、女子高生との制服デートは今でも憧れだ。しかも愛する妹とデートとなると、テンション上がりまくり。学校の敷地に沿って停車中に妹を待つ時間は、まるで恋人を待つ彼氏のような幸せ感でいっぱい。
あ~、早く来ないかなぁ。でも、今か今かと待ってる今が楽しいんだよなぁ。・・・あ、来た。
校門から姿を見せた妹にわかるように手を振ると小走りで近づいてくる。少しでも早く会いたかったみたいで、嬉しい。と、思ってたら
「お兄ちゃんっ、目立ってるっ。校舎出たところで友達に、『年上の彼氏、また来てるんだね』って冷やかされたんだから。結構、誤解されてるみたい」
急かされて車に乗り込む。
「兄ちゃんは平気だぞ。先生に聞かれても、兄ちゃんが説明してやるから」
「ん~。説明が要るのは先生だけにじゃないみたい。注目集めすぎないうちに・・・」
もどかしそうに言葉を切るなんて妹にしてはめずらしい。続く言葉を待っていると、「車出して、早く」と言われて速やかに車を発進させる。
妹がシートに沈みがちに座った向こうに見える生徒玄関前に、キョロキョロと辺りを見渡す男子生徒が見えた。あいつ・・・中学も同じだった体育会系の・・・井上?だっけ?同じ高校に進んだのか。
佳奈子は高校でもモテてんだな。兄として自慢したいが、やはり心配のほうが大きい・・・。
高校生になって困ったことのひとつが、妹への連絡が直接携帯にかかるから、誰から電話がかかってきたかわからない。バラバラな地域から通学するから、家に訪ねてくる友人もいない。
妹の交友関係を把握しておきたい兄としては悩みどころだ。
だからこそ、送り迎えを通して少しでも妹の周りを知っておかねば。
天気予報どおり午後から雨降る中、今日も妹のお迎えでいつもの敷地沿いに待機して車の中から柵越しに生徒玄関を見ていた。そろそろかなと思っているところに、妹の姿を見つけた。
こんなひどい雨の日くらい玄関前に車を横付けさせてくれてもいいのに。安全上のため、生徒が出入りする玄関前は車両乗り入れ禁止だと、妹に以前言われたからやらないが。
入学して間もない頃、妹を生徒玄関前で立って待っていたら、他の生徒達にジロジロ見られてさすがに気後れした。以来、敷地からちょっと出たここが僕のポジションになっている。
すぐにこちらへくると思いきや、玄関前で誰かとしゃべっていてなかなか来ない。ワイパーを早めに動かしながら目を凝らして見ると、話をしている相手は男子じゃないか。
佳奈子が傘を渡そうと差し出してることから察するに、相手は傘を持ってないらしい。雨が降るってわかってるこんな日に傘を持たずにくるなんて、バカだろ。あ、進学校だから、頭脳はバカじゃないけどアホだな。
でも男子は受け取らない。焦れたように見える妹が今度は傘を広げ、相手の腕を掴んで相合傘で雨の中に踏み出した。相手もさすがに腕を掴まれた状態だから、一歩遅れて踏み出す。ふたりが並んでこちらに歩いてくる。
不本意ながらも妹の意図を汲み取って、運転席から後部座席に大きく身を乗り出してタイミング良くドアを開け、「乗って」と声をかけた。ドアを開けた途端、傘と道路を叩く雨音が強調されて聞こえ、どしゃぶり感が一層伝わってきた。
妹に促された男子生徒が先に後部座席に乗り、自分の鞄だけ後ろに入れて置いた妹は一旦ドアを閉め、助手席のドアを開けて乗り込んだ。
「すごい雨ー。お兄ちゃん、ありがとね。こんな日だと、すごく助かっちゃった」
相変わらず妹は、迎えにきた時のお礼の言葉をいつものように口にしてから、連れてきた男子の説明をし始めた。
「えっとね、彼、加藤君。違うクラスだけど同じ1年生なの」
そこまで言った妹の言葉に被せるように男子が自分で「加藤です」と名乗った。確かに、同じ年と言われなければ年上の学年かと思ってしまう大人びた雰囲気がある。
「でね、いつも自転車で通学してて、多少の雨なら自転車で帰ってるから今日もそのつもりだったんだって。でも多少じゃなくて、この雨でしょ?さすがに危ないから加藤君は止むまで待つって言ってたんだけど、私は降り止まないと思うのよね。電車使うなら傘貸すって言っても受け取ってくれないから、連れてきちゃった。・・・お兄ちゃん、お願い。加藤君を家まで送ってあげて」
妹に首を傾げて覗き込むように頼まれて、断る選択肢はない。「もちろん」と答えてから後ろを振り返り、「家ってどこ?住所教えてくれるかな。ナビで検索するから」と尋ねる。
最寄の駅までで充分ですと遠慮を見せた彼に、「そこから雨に濡れたら送った意味無いから、家まで送らせて」と言って聞き出した住所を登録する。
佳奈子に関わる男子の身元確認は重要だ、ちゃんと家の場所を確認しとかないと。
運転する車内で得た情報によると、クラスの違う加藤君とは委員会で知り合ったとのこと。小中学校から学級委員に推されることが多かった妹は高校でも多数決でクラス委員に決まった。
本人は、目立たないしリーダーシップなんて持ってないのになんで自分なのかなと言ってたが、人あたりと面倒見の良さが自然と人を惹きつけてることを僕は知っている。そのせいで男子も寄ってくるから、兄ちゃんは心配だがな。
バックミラー越しにチラチラッと、後ろに座る男子を見る。涼しげな目をして整った顔立ちの彼はクラス委員だけあって、賢そうだ。
突然、ミラー越しに目が合って僕のほうがドキッとした。しかし彼は逸らすことなく軽く口角を上げて微笑みすら見せた。・・・何!?高校生でその余裕。
ナビの言うまま車を走らせていくと、「まもなく目的地周辺です。注意して走行してください」と案内打ち切りのアナウンスが告げられた。
「この辺りのどこかな?どの道曲がればいい?」
速度を落として彼の返事を待つと、「その右手の病院の駐車場に入って停めてください」と返され、言われるままに広い駐車場に入ってとりあえず建物沿いに停車し、後ろを振り返る。
「遠慮しないで。家の前まで送るってば」
「あ、いえ。うち、ここなんで」
・・・? 意味が飲み込めないまま外の病院の建て看板に目をやると「加藤病院」とある。・・・マジか。
「送ってくださって、ありがとうございました。伊東、助かったよ、ありがと。また学校で」
律儀に僕と妹に礼を言って、加藤はさっきよりマシになった雨の中を病院裏に小走りで去っていった。
見えなくなってから妹に向かって、驚きをそのまま口に出す。
「病院、でかっ!加藤君ってお坊ちゃんだったのか」
「噂で、家が病院だって聞いたことあったけど、本当だったんだね。お兄ちゃんの言うお坊ちゃんのイメージとは違うけど、独特な雰囲気がある人だよ」
大きな病院の息子だとわかっても妹は僕ほど驚いておらず、「ありがとね、お兄ちゃん。じゃ、帰ろっか」と言って僕を促した。
後から思い返してみると、この頃は妹にとって加藤の存在はまだ友人のひとりだったように思う。
そして、佳奈子の下校にタイミングを合わせたのは加藤の策略かと思うくらい、きっかけを仕組まれていたような・・・。僕の思い過ごしだろうか?
高1の進路相談時から妹は医学の道へ進みたいと決めて、夏休みは部活も頑張りながら模試を積極的に受けに行っていた。そしてそんな妹をサポートするのが、兄ちゃんの幸せ。今朝も試験会場に車を走らせながら、助手席の妹に声をかける。
「佳奈子、模試何時に終わるんだ?迎えにいってやるよ」
「ありがと。でも、終わってから友達と寄り道すると思うし、送ってもらえるだけで充分だよ」
・・・残念。それでも迎えに行きたい気持ちをぐっと抑えて、「そっか。気をつけて帰って来いよ」と返す。
会場近くで車を降りた妹は笑顔で手を振って歩いていった。見えなくなるまで見送るつもりで眺めていると、誰かに反応した妹が立ち止まった。妹に近づいてきたのは・・・加藤。挨拶を交わして一緒に歩き出す。
何?偶然?待ち合わせ?・・・もしかして寄り道って、加藤と!?
高校に入った妹に言い寄る男が把握できなくなった今、唯一わかる加藤のみに照準を合わせるしかない。
3教科を受けるために昼食を持って行ったことを考えて模試の終了時間を予測し、会場出入り口が見えるコンビニで待機した。終了時間とともにワラワラと一気に学生が吐き出されて探しにくいが、この程度で妹を見失ってしまうことはない。ジッと注視していると、加藤が出てきた。立ち止まって誰かを待っている様子だ。
佳奈子を待ってるのか!?気づかれない距離があるのをいいことに、思い切りガン見する。
加藤に女の子が話しかけている。知り合いらしい。
なんだ、その子と待ち合わせだったのか。と、思いきや、加藤が首を横に振って謝りつつ断る仕草の後、女の子が去っていった。
以前見たときも思ったけど、クールな整った顔だ。断った態度ですら格好良く見えたし、身長も高いんだな。女子にもてそうだ。いや、もてるに違いない。
女子に人気があって大いに結構、ただし佳奈子以外で頼む。
妹だけに好かれていれば満足な僕から、妹を取り上げるのは止めてくれ。
・・・ 僕の願いは儚く破れ、遅れて現れた妹と並んで歩き出した。・・・加藤め。
コンビニを出て、距離を開けたまま付いて行く。尾行するために車は置いてきた。ふたりはしばらく歩いたとこにある百貨店に入り、エスカレーターを上がって紳士服売り場に向かった。そこで妹がネクタイを選びだした。時々加藤に相談しつつ首元に当てている。
なんだ?なんだ?見立ててあげる程、加藤と仲がいいのか!?
僕だって佳奈子に見立ててもらったことないのにぃ~っ。
この気持ちを嫉妬と言わずして何と言おうか。悔しくて寂しくて仕舞いに敗北感までこみ上げてきて、それ以上尾行を続けると立ち直れなくなりそうで、しょぼくれた気持ちのまま家路についた。
自室で寝たふりをしてその日は妹と顔を合わせずにやり過ごしたが、ろくに寝られなかった。
佳奈子が加藤と出掛けることを黙っていたことや、ネクタイ選びに自分じゃなくて加藤を選んだこと、加藤がケチをつけにくい相手であること、とにかく自分に一声掛けて欲しかった、などなど・・・夜の間ずっと悶々としていた。
当然翌朝の気分は最悪だ。
夏休みとあっていつも以上に起床時間は遅く、食後に顔を顔を洗っても全くすっきりしない。不機嫌なままリビングで新聞を広げ、文字を目で追ってはいても頭に入ってこない無駄な作業をしていた。
そこへ、休みでも規則正しいリズムで生活し、すでに身支度も整った妹が現れ、「あ、起きてたんだ、お兄ちゃん」と言ってすぐ2階へ上がっていった。
・・・なにそれ。顔合わせたくないってか?会話も見つからないってか?
眉間に皺が寄りつつあったが、すぐに階段を降りてくる音がして妹が僕の目の前に立った。
「お兄ちゃん、おはよ。そして、お誕生日~おめでと~っ!・・・はいっ!」
目の前に出されたリボンのかかった長細い箱を見て、・・・あぁ、そうか。今日は自分の誕生日だ、と気付かされた。妹から貰うプレゼントは嬉しいはずなのに、上がらないテンションのまま緩い動作で受け取り、低いトーンの声で「ありがとう」と呟くように礼を口にする。
「開けて、開けてっ」
僕の落ち込みを知らない妹が催促するから仕方なく、紐をほどいて包装を解いていく。
想像を働かせずに開けた蓋から現れたネクタイに手が止まり、目が釘付けになる。数回瞬き、ようやく目が覚め、思考が働き出す。
ネクタイは僕へのプレゼント・・・。贈る僕には内緒だったプレゼント・・・。
わだかまりが解けていくと同時にじわじわと高まってきた感激に、妹の言葉が加わった。
「お兄ちゃんこの前就職決まったでしょ。これから使ってもらえるといいなと思って選んだの。自分だけじゃイメージつかめなくて決められなさそうだったから、加藤君にも付き合ってもらって・・・あ、こないだ送ってあげた子ね。これならお兄ちゃんに似合うかなって・・・どう?使ってもらえるかな?」
あ、涙腺が緩みだした。涙が出ないようにギュッと口を引き結んでいたから、言葉にできない代わりに頷いてみせると隣に座った妹の手が僕の手に乗った。
「決まったときにも言ったけど改めて・・・就職おめでとう、お兄ちゃん」
佳奈子はちゃんと僕の誕生日のことを考えてくれてたのに、狭量すぎる自分が情けない。もっと妹を信じていれば、昨日落ち込むことなんてなかったはずだ。涙がこぼれないように短い言葉で礼を言ったが、涙声になって語尾が揺らいでしまった。
「ありがと、佳奈子。大事に使うよ~」
佳奈子~っ、大好きだぁ~っ!!
そして・・・加藤、すまん。
しばらく自室で誰にも見られず、ネクタイをした自分を鏡で見てはにやける日々を楽しんだ。
ある休日に加藤が家にやってきた。前もって妹から友達が来ることは聞いていたが、まさか男、まさか加藤だったとは・・・
「こんにちは。以前はありがとうございました」
僕に礼儀正しく挨拶して家に上がる加藤。
しかも、気になっていることがもうひとつ。
外に、もうひとり男がいたこと。確か名前は、井上。高校も一緒だっけ。
妹が友達を連れてくると言ってたことで少し前から外を気にしていたら、井上だけが見えた。背も顔立ちもずいぶん成長していたが、あれは間違いない。
駅から歩いてきた2人と会ってもおかしくない場所に居たはずなのに、待ち合わせして家に来たんじゃないのか?
「なぁ、佳奈子。外に・・・」
先を行く妹を呼び止めたら、手前で振り返った加藤が口元に人差し指を当てて、目でしゃべるなと合図された。
「ん?なに?」
尋ねてきた妹に、加藤の顔色を窺いながら「あ、なんでもなかった」とごまかすと、妹は再び部屋に足を向けた。後ろの加藤が、「あいつがこれ以上佳奈子に付きまとわないよう、釘刺しておきました。佳奈子には内緒で」と僕だけに聞こえるように囁き、口角を上げて不敵な笑みを浮かべて見せ、妹の後を追っていった。
見せ付けるために謀ったのかよ?おまえいったい何者!?あ、・・・今、佳奈子って呼んだ!前は確か、伊東さんって呼んでたはず。
おいっ!加藤っ。と、口パクでツッコむしかできない。
外を見ると、肩を落としてしょぼくれた井上が遠ざかっていくのが見えた。
あぁ・・・確かに効果あったようだな。
夕方、加藤が帰って行った後、妹にそれとなく尋ねる。
「佳奈子、名前で呼ばれてんだな。」
「うん。クラスにもうひとり伊藤って子がいるから、呼び分けるために私のほうを名前で呼ぶっんだって」
「あ~・・・あいつと付き合ってんのか?」
「付き合ってないよ。会話の流れで付き合ってみるか聞かれたことはあったけど私、部活と勉強が忙しくてそんな気分じゃないって言ったら、加藤君も『だよな』って答えて終わったことがあったし」
「そ、そっか」
危ないところだったな、それは。軽いノリで攻めてきたか。
高校では妹に近寄る男がいなかったのか、僕が把握できなかっただけなのか、落ち着いた日々を過ごしていたように思う。
ただ、加藤だけは妹と一緒に出掛けたり家に来たりして、親しくしていた。そして僕は、家で見るふたりが友達らしい距離感なのを確かめて安心していた。
後で振り返ると、加藤の存在が妹に近寄る他の奴を牽制してたんだよな・・・。
進学を目標とした高校最後の一年は受験勉強が主で、たまの息抜きにショッピングモールに行くくらいが妹とのデートだった。
妹が家に居る時間が多いこの時期こそ、兄ちゃん、ホッとしていられた時期だったよ。
頑張った妹は春から、家から通える私立大学の医学部に進学が決まった。
本人は親に金銭的負担をかけてしまうことを気にしていたが、両親と僕の強い勧めで心を決めてくれた。
よかった、よかった。他の合格通知を受けた大学や浪人なんてされたら、県外に行っちゃって離れちゃうとこだったよ。
妹に加藤はどこに決まったのか聞いたら、県外の予備校で浪人するらしい。
あいつなかなかいいヤツだったから少し寂しい気もあるが、唯一妹を取られそうな危機感を抱いた相手でもある。彼の新天地での健闘を祈るとしよう。
妹が大学4年生になろうとする頃、恐れていたことが起こってしまった。
彼氏ができたらしい。
そりゃぁまあ、22歳だから誰かと付き合ってもおかしくないが、僕の大切な妹に彼氏なんて・・・ショック・・・
食事に行くから遅くなるとか、日曜はデートだからお兄ちゃんとはまた今度、なんて言われて、どんどん僕の手から離れていく。うぅぅ・・・、寂しい。
相手はどんなヤツだよ、と思ってた矢先に、妹がデートの帰りに家の前まで車で送られてきた。
助手席を開けて妹が降りるのを助ける男の顔は、・・・加藤~。
成長して少年らしさが抜けて身のこなしに余裕が見えるが、あの切れ長の涼しげな目つきは加藤に間違いない。
・・・おまえかぁ~。
後で妹に尋ねたら、一浪して同じ大学に入った加藤と先日から付き合いだしたとのこと。それまでは学内で顔を合わせても軽く挨拶する程度だったらしい。今までずっと友達だったろ?
なのに何で急展開で付き合うんだよ?それに、同じ大学に入ったなんて聞いてないぞ、兄ちゃんは。
高校生の頃の加藤を思い出して作為を感じたのは、兄としての思い過ごしだろうか。
甘かった。
加藤の人生設計にまんまと妹を掻っ攫われた。
4年生の終わりに妹と家にきた加藤から爆弾報告をされ、妹は一年間休学を余儀なくされた。妊娠と出産だ。もちろん結婚もした。両家の親は驚きこそしたものの全面的に協力体制で、生まれてきた初孫にデレデレの日々を送っている。
・・・僕も甥と遊ぶのは正直楽しい。
佳奈子、・・・できれば次はおまえみたいな姪がいいな。もう一度、僕に妹を。
兄ちゃんはどこまでも、妹好きな兄ちゃん