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選択戦争  作者: 時雨
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入学式にて

こつこつ頑張ろう…

入学式の式場はこの学校にあるホールで行われるらしい。

この学校は敷地面積がかなり頭のおかしいサイズだが、各施設もかなり規格外らしい。

途中で別の先輩にもらった学園のパンフレットを確認する。

一応この学園に入学するときにもパンフレットのようなものはもらいはしたのだが、それとは別で新入生用に紹介というより各施設の場所よりそれぞれを使う際のルールや時間割り当てがある施設はその表が書かれている。

道沿いに置いてある案内を頼りにホールへとたどり着き、中に入るとすでにかなりの人数が集まっていた。

まぁ、時間もかなりギリギリだし当然と言えば当然なんだけれど。

それぞれ名簿番号で席が決まっているようなので、自分の生徒手帳に書いてある名簿番号の席を探して座る。



「まだ始まらないのか?もう時間だと思うんだけど…とりあえず生徒手帳に書いてある校則でもよんでみるかな…ほかにすることないしなぁ…」



それにしても生徒手帳がやけに分厚い。そんなに校則が多いのだろうか?

最近の学校は紙の手帳を使っているところより生徒手帳兼端末として電子手帳形式で使わせていることの方が多い。

数少ない髪の手帳の中でも明らかに分厚い。1…1.5センチはあるだろうか。

そんなにたくさん校則を作る必要があるのだろうか?



「どれどれ…ってなんだろうこれ…」



ペラペラと分厚い手帳を流し読みするように見ていくと明らかにおかしな校則がいくつもある。



「学園長のおやつは盗み食いしてはいけません…授業中におやつは食べてはいけません(バナナはおやつに含みません)、ってこれわざわざ書かなくちゃいけないことなのか?」



明らかに必要ない文章が大量に存在している。

一体何の意味が…。

と俺が一人で苦悩している間に入学式の準備は整ったようだ。

壇上に若い女の人が上る。

軍服のようなを身に着け、長い蒼髪がなびかせて壇上のマイクまで歩いていく。



「天草軍事学園へようこそ諸君!私がここの学園長を務めている天草時雨だ。」



言葉では言い表しがたい自信やカリスマのあふれた雰囲気を醸し出している。

華奢な体格と高い声など関係ないと言わざる負えないほどの威厳はさすが学園長という所か。

とてもさっき見た"ちょっと"おかしな校則を書くような人には見えないのだが…。


「私は長話はあまり好きではないので端的に済ませたいと思う。現在、諸君らも知っての通り我々大和帝国は複数の国家と戦争状態にある。多方向に戦力が分散され、今前線では可及的速やかに物資、および人材が必要な事態になっている。君たちは我が校に入るだけの実力を持った優秀な人間だ。だが、それはあくまで生徒の話、今君たちが戦場に出ればそのか細い灯はすぐにでも消されてしまうだろう!君たちには戦場に出るまでの3年間、小さな灯から大きな焔になて欲しい!諸君らの検討を期待する」



あの若さで学園長か…確かそれぞれの軍事学園の学園長は軍で一定以上の実績を積んだ者が指名されてなったらしいけど、あの年でそれだけの実力があるっという事なんだろうか。俺たちより少し年上、20歳くらいに見えるけど…。



「これで私からの挨拶を――っと、ちょっと待った。えーっと、どこにいるかな?」



降壇しようとしていた学園長が俺たち新入生の席を見回して何かを探し始めた。


「あ、いたいた!やっと見つけたよー!」


先程の堅い雰囲気とは打って変わり、ずいぶんと柔らかな雰囲気でしゃべりだした。

もしかしたら彼女の素はこっちでさっきのは学園長としての姿を新入生に見せるための態度だったのかもしれない。

だが、そんな考え事はすぐに塗り替えられた。自分に想定外のことが起きたのだ。



学園長がゆっくりと右手を持ち上げ――。


「君!天河才華君!この後ちょっと学園長室まで来てねー」







なんだって?

夏はこれから…かな?

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