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つきみのアンハッピーデイズ  作者: 有機宣言
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ひばちチューズ2

第二話書いてみました。一話よりか長めです。まだまだ序章なのでぜひ読んでください。

目の前にいるのは長い黒髪でそこからは真っ白なおでこを出し、飲み込まれてしまいそうな真っ黒に輝いた瞳、スラッとした体には服のしわが張るほどの胸をもつ美少女が目の前にいる。その少女の口から放たれたのは

 「死ね」

という一言だった。



「ご、ごめん!!そ、その、あまりにも焦げ臭……いや、なんか臭うなって」

と、俺は謝罪にもならない謝罪をした。というか謝罪をしなければならなった。初対面、いや、対面してもいない、目の前に通った美少女に水をかけたのだ。しかも飲みかけを。水を自ら。

 こんな俺のどうしようもない言葉にその美少女は予想外の反応をした。

 「そ、そう。ま、まあ気を付けてよね。」

 たった数秒前まで死ねといっていた人物とは全く同一人物とは思えない。見知らぬ人に水をかけられたんだぞ!?俺だったらブチ切れる、そして間違いなく相手をぼこぼこにする……妄想をするだろう。リアルではしない、絶対にだ。月がきれいな日は別だが。


 そんな美少女はというと…な・ぜ・か!俺の横に座っている。正確には同じ長机の端と端に俺たちはいることになるのだが。どう考えても動揺している。そして、さっきからちょくちょくこちらを見てくる。普通に振る舞っていればいいものを。どんだけ不器用なんだよこのひと。


 俺はというと、これ以上関わるのもお互いつらいので平然とそして淡々と授業を聞くことにした。

 高校のときからずっとほしかったお気に入りの腕時計を眺める。見るのではない、眺めるのだ。長めに。

 俺の大学はどうも時計というものがそんなに置かれていない。それに、黒板に日付や曜日が書いてあるわけでもないので手帳や携帯で確認することになる。今日は4月25日(火)か。今までで生きてきたなかで間違いなく記憶に残り続けるであろう火曜日になったなとそれとなく思った。

 大切な時計をさすりながら、きいているのか、きいていなかもわからない奴らに教鞭を振るう教授たちも大変だなと感じる。あたらない鞭ほど虚しいものはない。

 

 時計を見ると、授業が始まって40分たっていた。これくらいの時間になると退屈になってくる。そんなとき、期待を裏切らなかったのは俺が完全に記憶を消していた、俺の中では完全に鎮火していたあの美少女だった。

 

 左腕につけている時計が熱い、熱い、熱い、熱すぎる。炎天下にさらされた真夏のマンホールのように。あまりにも気に入りすぎてさすりすぎたせいだろうか。そんな非現実的なことは起こるはずがないだろう。

 起こるのはそんなことを超越するもっと非現実的なことだ。


 左をみると美少女の右腕が炎に包まれているのだった。


 「!、、、!?、!!!!??」

 開いた口がふさがらない。

 ようやく現実に戻り

 「誰か、誰か救急車をよべええええええええええええええええええ!!!!!!」

と、ありきたりなセリフを叫ぼうとして息を吸い込んだ瞬間、彼女は自らの唇の前に人差し指をたて静かにしていろとサインを送った。まるで腕が燃えているのに慣れているかのように。そして口を静かに開けた。

 「あなた、この炎がみえるの?」

 おれは静かにうなずいた。

 「どうして見えるの?あなたに見える筋合いはないわ。いままで誰にも気づかれなかった。」

 たしかに、周りの学生は皆黒板を見ている。

 彼女が続けて、質問をした。この炎が見える何か心当たりがあるのかと。


 俺はその質問に自信満々に答えた。




 「ある。」 

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