表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

※ 君と僕との出会いのキセキ 第六話 ~合コン~ ※

あらすじ:霧島祐也きりしまゆうやは目立たない高校生。趣味は小説のWEB投稿。文月玲央奈ふづきれおなからのいじめを受けており、小説を読んでくれるファンであるレオさんに相談することにした。しかし、そのレオさんが実は文月玲央奈だった。彼女は小説を中止させようとしたが、思い止まる。そして二人は、チャットをし合う仲に。そんな中、祐也は友人の岩田から合コンを持ちかけられ、それに嫌々ながら出席することに……


『君と僕との出会いのキセキ』



※ 君と僕との出会いのキセキ ~合コン~ ※


とうとうこの日が来てしまった。正直乗り気ではない。昨日のレオさんの話だと、余計な事を言わずに聞き役に徹しろと言われた。


「お、来たか……ってなんて格好してんだ」


岩田は明らかに僕を見て予定の人物じゃないという表情を見せた。僕と岩田は微妙な距離感を持って挨拶をした。学校の時のような馴れ馴れしい雰囲気が今はない。目線をそらしつつ岩田は聞いてきた。


「お前…その服何処で手に入れた? 」

「えっと……」


僕は焦った。玲央奈とは正直言えない。ましてやレオさんなんていうものなら、次の日僕の命はないだろう。このフレーズは僕だけではなく、玲央奈自身にもダメージが来るのだ。


「し、知り合いから借りたんだ」

「っどんな知り合いだよ……」


岩田は何故か焦っていた。ん~よく分からない。自分の見た目を確認してみる。全体的に大人っぽい服装だった。黒いパンツに黒いスーツ、インナーは白のカッターに似たようなシャツを着ている。そして、冬に合わせて、コートを着て、防備万全。

 一方岩田は、髪を立て、ネックレスをジャラジャラ、白いシャツにジャケットを羽織っている。指には見たこともないような指輪とか、かなりゴツかった。これからこの指輪サックで誰か退治するのかな。


「岩田……寒そうだな」

「……ほっとけ」


岩田は電話を受け取り、予定の場所へと向かった。場所は近場のマックスという喫茶店だった。さすがに未成年は、ね。


店内に入ると、岩田の友人二人と女の子四人が既にいた。女の子達はうちの学校で見た子もいる。その中に一際可愛い子がいた。彼女はうちの学校では見たことはなかった。


それぞれ女性から男性への自己紹介から始まる。僕が見たことなかった女の子の名前は早坂悠舞はやさかゆまと言うらしい。趣味は読書とのこと。男性陣の自己紹介が始まり、最後は僕。


「えっと、霧島祐也と言います。よろしくお願いいたします。えーっと、趣味は小説を書く事です」


僕の言葉に女性陣は「おーっ」と声を上げる。男性陣は全員こいつの小説はつまらんよ。という顔をしていた。そのとき、早坂さんが尋ねてきた。


「小説書いてるんだ。どんな小説? 」


僕は、自分の書いている小説の題名を伝える。そして、WEBでも投稿してることを伝えた。すると、彼女は一瞬” え? ”という表情をした。


「どうかした? 」

「あ、うん。何か聞いたことがあるような題名だったからちょっと、ね」


他の女の子の言葉に早坂さんはそう答えた。男性陣はかなり不満顔になってきている。慌てて、だんまりを決め込む。


そらした視線の向こう側に派手な女性が優雅にコーヒーを飲んでいた。何故か僕が彼女を見ると直ぐに気がついてこっちを見つめた。” ドキッ ”となって視線を戻す。


「おっ、あそこにエライ美人のお姉さんがいるな」


岩田はいち早く反応した。彼の視線に釣られて全員が見つめるが、女性陣からは非難の嵐が彼に降り注ぐ。


「ちょっと私たちがいるのに他の女見るんじゃないわよ」「うわっサイテー」「下品ね、あんな派手な女のどこがいいのよ」


口々に彼女たちは文句を言った。その言葉が聞こえたらしく若干彼女は舌打ちしているようだ。しばらくすると、派手な女性は退席し、合コンは始まった。


様々な話をして、お互いを理解し合おうとしている。僕にはどうでもいい感じがした。そんな中、早坂さんが僕に話しかけてきた。


「ねぇ、今さっきの女性の人みたいな……女の人の方が男の子っていいのかな? 」

「え、えっと……」


僕は答えに詰まった。だってああいう人見たの初めてだし……


「ぼ、僕には分からないや」

「え? そうなの? 」


早坂さんは意外そうな顔をする。首をかしげる姿がとても可愛かった。そんな時岩田が僕の首に腕をかける。


「おい、霧島っ。お前早坂さんを既にターゲットにしてやがるのか! デレデレしやがって」


「え? 」


早坂さんは驚くと同時に、頬を赤く染め、僕から目をそらす。僕はというと、岩田がグリグリしてくるので、首が固定され、早坂さんから目を背けられなかった。更に僕に見つめられ、早坂さんはもっと赤くなる。

 しばらく合コン組は喫茶店で話をし、その後、カラオケに行くこととなった。僕は正直行きたくなかったのだが、岩田が強引に連れて行った。そうまでして、僕に恥をかかせたいのかと恨みがましく思う。


「じゃあ俺たちはこれ歌うか」


岩田とその友人たちは、メジャーな歌手の歌を選曲する。そして、素人さながらの歌を披露。女性陣たちも笑いながら歌を歌い始める。そんな中、あまり歌を歌ったことのない僕は一人静かにしていた。


「お前歌わねーの? 」


岩田がニヤニヤして僕に言う。歌のレパートリーなんてないのに無理やり歌わせる気だろうか。嫌がっていると、早坂さんが歌わないなら大丈夫だよと言ってくれた。少し居心地が悪くて、トイレと言って部屋を出る。


すると、隣の部屋に何故かあの派手な女性がいた。何をしているのだろう。一人でもカラオケする人がいるから問題ないのかな。

トイレが終わり、部屋に戻ろうとすると早坂さんがいた。彼女は僕を見るとニッコリと話しかけてきた。


「……やっと思い出した」

「え? 」


早坂さんは僕が言った小説の名前を思い出したらしい。その話で盛り上がった。そして、服のメーカーであるアンジェリも言い当てた。


結構彼女は詳しいのかな。そう思っていると、隣の部屋にいた派手な女性が何故かコップにあるストローをガジガジして機嫌が悪そうに呻いていた。サングラスの隙間から見える目が僕を睨んでいる。何故……

 その後、僕たちはカラオケで、合コンを終了とした。お互い気に入った子がいたらメール交換しようということで、皆は思い思いに連絡を交換していた。一人離れて佇む僕に、早坂さんが話しかけてきた。


「霧島くん、連絡交換……できないかな? 」

「え? うんいいよ」

「ありがとう」


早坂さんは赤外線で連絡交換すると嬉しそうな顔で僕の連絡先を見ていた。ふと彼女は僕の顔を見て、「あ、ゴミが付いてる。とってあげるね」と言うと、背伸びをしてついてたゴミを取ってくれた。合コンも終わり、皆は解散した。僕もここにいる必要はない。直ぐに家に帰った。


『合コン面白かった? 』


PCを開けた瞬間レオさんからコメント来てる。何で僕が帰った時間分かったんだろう。


『うーん、特に……』

『へぇ、可愛い子とかいたんじゃないの? 』


妙に刺がある。話題を変えるように僕は質問する。


『レオさんは何してたの? 』

『別に、何しててもいいじゃん』


んー機嫌悪いぞ。どういう事だ。


『どうせ、もう目当ての子とか見つけてキスとかしてるんでしょ? 』

『キス? 』


僕がそう言うと、彼女のコメントがなくなる。その時、何となく気がついた。ゴミを取って貰うとき、視線の先にいた派手な彼女、まさか……


『あ、ゴミとってもらっただけだよ』

『……どうだか』


彼女からコメントが来た。やはり、彼女は見ていたんだろう。何となく、彼女じゃないかとは思ってた。心配だったんだな。


『レオさん、ありがとう』

『ん? 何が? 』

『変装して僕を見守ってくれてたんでしょ』


そう言うと、しばらくコメントが止まった。


『べ、別にアンタが心配だから見守ってたわけじゃないんだからねっ』


……どっかのツンデレのようなセリフが返ってきた。思わず笑いが漏れる。


『何もなかったよ。僕は早く家に帰って小説書きたかったんだ。だから直ぐに帰ったじゃん』

『……そうだね』


レオさんはやっと納得してくれた。でも、何で僕が彼女にいちいち弁明しなければいけないのだろうか……不思議に思いながらも、僕は機嫌が良くなったレオさんとチャットを続けたのだった。



合コンEND


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ