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※ 君と僕との出会いのキセキ 第五話 ~初めての……~ ※

あらすじ:霧島祐也きりしまゆうやは目立たない高校生。趣味は小説を書くことで、毎週WEB投稿していた。文月玲央奈ふづきれおなからのいじめに対して、小説を読んでくれるレオさんに相談しようとした。だが、実はそのレオさんが文月玲央奈だった。彼女は彼の小説を中止させようとしたが、思い止まり、続けるよう頼む。それ以来いじめはなくなる。その後、彼女とはチャットをし合う仲に、ある日、祐也の友達、岩田から合コンを持ちかけられ、服装に自信のない祐也は玲央奈に相談した。そして、彼女の提案により、服を探しに行くこととなった。

※ 君と僕との出会いのキセキ ~初めての……~  ※



今僕は駅前の噴水の前にいる。そして、約束通りの時間についた。目の前にはレオさんこと文月玲央奈がいる。彼女はとても不機嫌そうだ。


そろそろ季節も秋から冬にさしかかろうとしてる。彼女は肌寒い季節に合わせ、白い毛糸のセーターを着ている。そしてピンクのフレアスカートをひらひらさせながら、寒さを防ぐようにストッキングを装着、彼女のスラッとした足を強調するようにブーツを履いていた。ご丁寧に毛糸の帽子までしてとても可愛かった。可愛かったのだが、そのお洒落が台無しになるほどの……不機嫌だ。


「ちょっと、どういうこと? 」

「え? どういうことって? 」


玲央奈の言葉に訳が分からず僕は言い返した。すると、頭を抑えて「い”~」と言っていた。暫く唸った後、彼女は言った。


「女の子と会うのにその格好は何? 髪ボサボサで、ボロっちいジャンパーにヨレヨレのシャツ……パンツなんて使いすぎでボロボロじゃん」


「ハァ~ッ」とため息をつく玲央奈。だから服のことなんて中途半端だって……


「アンタの服装中途半端どころか” ド底辺! ”デリカシーの欠片もないじゃない! やっぱりねぇ」


何か玲央奈が納得いったようなそんな雰囲気を出して、一人頷いていた。


「ん? どうしたの? 」


僕の言葉を聞いて、こめかみから青筋が立っている。怒り過ぎは肌によくないぞ。


「うるさい。アンタ、岩田に利用されてんのよ」

「え? 利用? 」


僕は全く意味が分からず聞き返した。すると彼女はボソッと呟いた。


「全く、何で私はこんな奴を……」


最後の方は聞き取れなかったが、余程岩田のしたことが気に入らないようだ。そして、ついでに僕も(主に服装からの~)気に入らないみたい。


「……ごめん」

「謝ったってどうしようもないじゃん……」


玲央奈にジト目で睨まれた。はぁ~っとため息をつくと、呆れた目のまま、玲央奈は言った。


「取り敢えず、岩田は、私の好きなモノを冒涜したから絶対に許さない。目にものを見せてやる」


好きなモノ? 物? 者? 何だろう。


「読むことなくあの小説を馬鹿にするのは許さない」


あ、やっぱりそっちか……


「じゃあまず、アンタの軍資金はどんくらい? 」


玲央奈は燃える瞳で僕のポケットを見つめる。一万円しかないというと「う”~」と唸り声を上げた。そして、僕を見上げると開口一番こう言った。


「少ないっ! 」



「いや、高校生で一万は十分大金だぞ」


やっぱり社長令嬢は金銭感覚がアレなのかな……。


「私は金銭感覚はまともだよ。勝手なことは考えないように! さて、仕方ないか……」


僕の考えを見透かしたように玲央奈はそう言う。


彼女が言うには、お洒落と言うのは、したい分だけ予算が上がる。なので、僕のレベルだと、一万では足らないということらしい。彼女は早々にタクシーを呼ぶと指定した場所へと急がせた。


「ん~今回は時間がないから、服装だけで何とかしないとね。次回はアンタのボサボサの髪を刈る番だからね」


サラリと恐ろしいことを言う人だ。玲央奈に任せたら首から上も刈られそうだ。


「そういえば何でタクシーなの? 」


素朴な疑問を投げかけると、また玲央奈のこめかみから青筋が立った。だからあまり怒ると……


「……アンタの今の格好を見なさい。私と一緒に歩いてどう思う? 」


そう言われて気がついた。全然釣り合ってないや。そう言うと、彼女は頭痛でもしたのだろうか、頭を押さえていた。その後何故か無言のまま、タクシーは目的地についた。


店の名前は、” バッロ・ディ・アンジェリ ”と言った。店の中に入ると明らかに高級服の専門店。一人で入店は控えたいところだ。玲央奈が入ると、急に外国人の店員さんたちが慌ただしくなり、ワラワラと彼女の前に来た。


「あらあら、お嬢様こんな所に何かごようですか? 」


店長らしい人が話しかける。すると、玲央奈は軽く、僕を指差して、親指を下に落とした。それを見て、店長は驚くと、周りの店員達に指示を出した。すると、店員たちは僕を捕まえて、一気にフィッテイングルームへ、そして服を脱がしだした。


「ちょっ、ちょっと! 」

「ワォ、この子ウタマロねっ! 」


僕は恥ずかしくて悶絶していた。一方、玲央奈は優雅に紅茶を飲みつつ、店員達の怒号を聞いていた。そして、ニコニコ手もみをしている店長に話しかけた。


「……ウタマロって何? 」

「……お嬢様は知らなくていいです」


この時だけは、店長の顔はマジだったという。暫く(二時間)店員達におもちゃにされた僕は顔を真っ赤にしてうなだれていた。そしてその僕の服装を見て満足した玲央奈は他にも二着程買うと、店長に私のポケットで精算してね。と言って、早々に僕を連れて退店した。


「さて、これで何とか私と一緒に歩けるわね……」


玲央奈はジト目で僕を見る。だけど、今回は少し機嫌の良いジト目だった。次は雑貨屋に行き、色んなものを見た。これも二時間程……。

 そんな時、玲央奈は一つ香水を買うと僕に向けた。そして、僕ににっこり笑うとそれを吹きかける。甘い香りと花のエッセンスが混じったような、とてもリラックスするようないい香りだった。


「これ、私が好きな匂いなんだ。これから、私と会うときは必ずこの香水つけてね」

「あ、うん」


彼女はあれこれ買うと僕に渡した。……本当に金銭感覚はまともなんだろうか。怪しくなってきた。

 


「まぁこんなものね~」


玲央奈はそう言うと、パフェをがっついた。ここは玲央奈が初めて僕を連れてきた喫茶店。そこで、コーヒーとパフェを食べていた。ここのパフェは彼女にとって相当美味しいらしい。


「……何見てんのよ。食べたいの? 」


そう言うと、クリームの乗ったスプーンをこっちに向ける。


「あ、嫌……このスプーンは……」

「私が食べた後は汚いって言うの? 」

「……間接キス……」


「「…………」」


僕の言葉を皮切りにお互いが意識してしまい、お互いが顔をしたに向ける。慌てて玲央奈は話題を変えた。


「ま、まぁ、これで、合コンに行っても、薄汚いキモヲタ呼ばわりされないでしょ」

「あ、うんありがとう。お金は……」「払えないでしょ。いくらしたと思ってんの」


これで問答は終了。彼女は鼻歌を歌いながら。パフェを食べていた。ほら、また口にクリームが……  


僕は玲央奈と別れて家に戻る。明日は合コン。まぁ、しかし、玲央奈が大丈夫って言うから、いいか。


僕は、部屋着になると、くつろいだ。その時、部屋にある全身鏡が僕を写す。その時やっとわかった。


” 僕って、地味でダサい格好なんだな…… ”


……と。現実から目を背けて……さて、この服の洗濯の仕方を聞いてなかったからレオさんに聞くとするか……


 その時、分かってなかったけど、これって初めてのデートだったようです。



初めての……END


バッロ ディ アンジェリ=天使の舞

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