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※ 君と僕との出会いのキセキ 第三十四話~ 学園祭始まる後編 ~ ※ 

小説のWeb投稿が趣味の霧島祐也きりしまゆうや。彼は文月玲央奈ふづきれおなと出会い、人生の大きな転換期を迎えた。学園祭の準備が始まる中、 祐也は気が付くと学園祭の実行委員にされていた。戸惑いながらも実行委員を務める.

そして、祐也はひよこの玲子れいこと学園祭を一緒に回る約束をしたのだが……


※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 学園祭始まる後編 ~ ※ 



「……というわけでこのように決定いたします」


運営委員長の言葉で僕たち運営委員の役割が決まった。僕と玲子は体育祭と文化祭の生徒会が主導するメインイベントでのお客様の整理という仕事になった。比較的楽な仕事で体育祭はランナーの移動整理と文化祭では午前の部と午後の部の二回のみ、楽勝だね。

 僕と玲子は運営のしおりを委員会から受け取り、読みながら帰宅の途についていた。しばらく無言で最寄り駅に向かう。その時玲子が不意に僕に話しかけた。


「あ……あのさ、何でアンタあたしと……一緒に自由時間過ごしてくれるって言ってくれたの? 」

「あ、ああ……それか……」


僕はしおりを読みながら答えた。その時何か引っかかるものを感じる。まぁはっきり言ってひよこが悲しんでいるんじゃないかと思って誘ってやったとは言いにくい。


「はぁ? 誰が悲しんでるわけ? 」


おおぅ! 何か思ってることが口に出ていたようだ。


「あ、ああ……僕が……」

「あはははは! アンタの方か」


僕が言い終える前に勝手に勘違いをしたひよこだった。言おうとしたことはレオさんとのチャットで僕が玲子のことを思い出して誘い直した……と言おうとしたんだが……アレ? また何か忘れている気がする……まぁいいや。


「フフッ、体育祭と文化祭で玲央奈先輩に追い抜いて見せるんだから……」


僕は異様に気合を入れている玲子に、全く意味が分からず見つめているしかなかった。



「フゥ、こんなものかな」


何とか今日の小説の予定分を終えた僕は明日に迫る体育祭に向けてそろそろ寝ようとしていた。そんな時、レオさんからチャットのお誘いが来た。はて、こんな時間に何だろう。


『よ! 文学少年~元気にしてるかね? 』

『あ、これから寝ようとしてたんだけど』


僕はレオさんの異様なテンションに若干押される。


『……相変わらずだね。もうちょっとテンションあげていこうよ』


いや……遠足前の子供みたいな……と思いつつもそんな事は全く言えず……


『何だかんだで実行委員だからさ。不測の事態に備えて早めに寝ようと思ってるんだよ』

『ああ……そうね。でも私は何だか寝られないのよね』


……この状態はまさか、寝られないから私に付き合ってというやつか……


『ごめん、でも今日はちょっと眠いんだ』


さすがに毎日色々やってるから小説書くのも隙間を縫って書いてるし本当に寝る時間毎日削ってるんだよね。しばらくの無言の後レオさんから言葉が紡がれた。


『そっか……毎日忙しいみたいだしね。今回は許してあげよう』

『ありがと。じゃあそろそろ寝るね』


『ま・ち・な・さ・い』


微妙にレオさんのテンションがおかしい気がする。むしろ顔が見えないから言葉だけだと憶測ばかりでめっちゃ怖い。


『ん? どうしたの? 』


とりあえず気が付かないふりをしてさりげなく聞いてみた。するとレオさんから僕の予想を超えた言葉と、今までつっかえていた事を思い出させた。


『あのさぁ、文化祭一緒に回るって言ってたけどさ。今回見逃してあげる代わりに、体育祭の自由時間も私に付き合いなさいよ』


「……えっ!! 」


僕はチャットを打ち込むのを忘れて大声を出した。丁度廊下を歩いていたらしい兄貴から「急に大声出すな! 驚くじゃねーか」と聞こえるがそんなことはどうでもいい。


「あ、そ、そうだっけ? 」


チャットを忘れて言葉だけが紡がれる。僕の頭から冷汗がダラダラとたれていく。


” ど・う・し・よ・う ”


頭の中がグルグル回転しだし、まともな思考がおぼつかない。オタオタしているとレオさんからイライラの返信が来た。


『ちょっと! 何私の言葉を無視してるのよ! それぐらいいいでしょ? 』

『え……あ……うん』


レオさんの言葉に対して明らかに不審な返信しか返すことのできない僕だった。


『まさか先約があるとか? 』


うほっ! ありますなんて言ったら絶対に半殺しフラグが立っちゃう!


『い、いやさ体育祭は選手の誘導とかあるから自由時間はあまりないよ。僕も競技にでるしさ』

『あーそっかー。じゃあ仕方ないね』


と……とりあえず納得してくれたようだ。


『じゃあお昼に一緒に食べようか』


あ……これなら何とかなりそう。


『分かった。それなら大丈夫そう』

『オッケーじゃあまた明日ね』


レオさんはとりあえず満足したらしくチャットから出る。なんとか目の前にある危機を脱した僕。しかし、あくまで” 目の前 ”のことであった。レオさんのチャット履歴を見つめなおす。たちまち冷汗がダラダラと出ていく。


” 文化祭玲央奈とひよこダブルブッキングじゃん! ”


正直僕ののんびりとした性格のせいだが……着実にいい予想は立たない。むしろ地獄しか見えない。どうしよう……


 そんな時あることが思い出された。


次の日、時間を見て玲央奈にメールを送った。


『そういえばさ、僕達って学校内ではどういう関係だったっけ? 一緒に昼食とか大丈夫なのかな? 』


しばらくして玲央奈から返信が来た。


『あー……そういえば、全くと言っていいほど接点なかったわね……考えてなかったわ』


そう、僕達は始め” いじめっ子といじめられっ子 ”だった。ひょんなことから僕と玲央奈は学校以外で知り合い、紆余曲折を経て今の関係に収まっている。プライベートで付き合いはあるものの、学校内ではかつてのこともあり、お互いが不干渉をすることで、表面的には何事もなく学園ライフを送ることになっているのが” 暗黙の了解 ”となっていた。


『今日はちょっとやめておくね』


玲央奈から珍しく気弱な遠慮メールが届いた。僕はとりあえず了解した旨を伝え、学校へと向かった。


” 今日は体育祭 ”


という思いを持って、実行委員として仕事に励んだ。


 うん、そうだね。予想通りだったなぁ……普段よりちょっと成績がいいぐらいで何もなかったよ。選手の誘導が多くて空き時間やっぱりなかった。食事の時間は玲央奈は友達と一緒に取るらしく、僕は静かに屋上の給水タンクの上でのんびりと食事を……


「へぇ、祐也ってやっぱり料理おいしいのね」


……何故ひよこがいる!? 僕の弁当をつまんでいる!? というか僕の居所がどうやって分かったんだろう。不思議だね。


「ねぇねぇ祐也これ食べたい! あたしの卵焼きあげるから! 」


そういうとひよこは自分の箸で卵焼きをつまむと僕の口元にそっと差し出す。……何故こうなった!!


「あ、僕は構わないから食べていいよ」


やんわりと拒否してみる。するとひよこは口をプクーッと膨らませた。


「あ、あたしのだって自信作なんだから! た、食べてみてよね! 」


……ん? ひよこにしては珍しい表情だ。普段は赤色ひよこの癖に、今日はやけにピンク色に見える。まぁ結局赤色っぽいのは変わらんが。


「分かったよ」


僕は一言そういうと自分の箸でひょいっと玲子の弁当から卵焼きを食べた。するとひよこは「あ”-! 」という悲鳴とともに普段の赤色に戻った。……というか普段より赤い……ってか段々険しい顔になっている気がする。


「そ、そそそそれは普通のやつなんだから! あ、あたしが差し出してるのがじ、自信作なんだよっ! 」


いや、普通に作ったものを切った欠片にしか見えないんだが……部位によって味が違うのかね? 


「味が違うのか? 」

「そおなのよ! い、色々とね! だ、だからさ……」


プルプルと箸が震えて今にも落ちそうだ。なので軽く僕は玲子の箸からその卵焼きを救出し、口に放り込んでみる。……同じじゃねーかっ!


「あ”あ”あ”っーー!! 」


天にまで届くような大声を出したひよこ。うるせー


「よし、この唐揚げをお返しに」


と、丁度いい感じで口を開けているひよこに同族の欠片を分け与えた。

するとひよこは悲鳴を突然止め、口をモグモグさせ、ゴクンッと飲み込む。しばらくの沈黙の後ひよこはいつも以上のピンクひよこになった。……今日も太陽の直射日光がひよこに反射して……眩しいぜ……


 まぁ、こんな感じで色々あったものの、とりあえずは平穏に終わった。昼食が終わった後もバタバタしており、体育祭が終わった後は急ピッチで片付けも行われ、僕たちは休む暇がなかった。やっぱりやりがいのある忙しさは僕にとってはいい効果があるみたい。

結局僕たちのチームは可も不可もなく普通に真ん中の成績だった。

 心地よい疲れとともに僕はPCを開けることなくそのまま眠りについた。気持ちがいい。最高の気分だった。何も考えず気持ちよく寝た結果……


” 次の日、最高に恐ろしい日が待ち構えていることに……全く気が付くことのない僕だった ”



~ 学園祭始まる後編 ~END

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