※ 君と僕との出会いのキセキ 第三十三話~ 学園祭始まる前編 ~ ※
小説のWeb投稿が趣味の霧島祐也。彼は文月玲央奈と出会い、人生の大きな転換期を迎えた。二人の周りにはいろんな女の子が増えてきた。二人の時間を共有しようと 玲央奈が画策するもあえなく水泡に喫した。
全ては祐也の鈍さと、彼女の努力の賜物である祐也の男磨きそれだった。
悶々とする玲央奈。そして、時期は夏から秋に代わり、体育祭と学園祭が行われるのだった。
※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 学園祭始まる前編 ~ ※
「さて! 9月に入った。たるんだお前らの脳みそと体を叩き直してやる」
担任の月見里尊先生の言葉に皆がげんなりとした顔をしている。夏休みが終わり秋になり、休み明けのテストが行われる。それが終わると、休む間もなく体育祭と学園祭が連日行われるのだ。ま、テストはともかく、僕はどっちも興味ないしやる気ないけどね。
「……というわけで、体育祭の役割分担はこれでいいな」
月見里先生はそう言うと、次の議題に入る。
「さて、次は学園祭に移ろうか。俺たちの教室の出し物は何がいい? 意見のあるものは挙手してくれ」
「…………」
途端に教室は静かになる。皆ろくな意見を持っていないんだろうな。ま、僕もだけど~
「意見は……ないのか? 」
そういうと月見里先生はそういうことを見越していたのだろうか。紙を用意していたようで、一人一枚配り、どんな意見でもいいから出し物を一つ記入して提出することと言い残し、会議は終了した。
『ん~全然思いつかないや』
『まーそだろうねぇ。うちらはもう決まったよ』
僕は家に帰ると、小説を書き始めた。するとレオさんからのコーリングが来た。小説を書きながら僕はレオさんとチャットを始めた。最近僕は器用になったなと思う。小説書きながらチャットって普通は無理じゃん。だけどずっとしていたら何故か両方両立できるようになった。人間ってやればできる子なんだね!
『へぇ~すごいな。何になったの? 』
『喫茶店だよ~』
フム……手堅く攻めてきたな。僕もそれでいいか。月見里先生に渡された紙に適当に喫茶店と書いて終わらせた。
次の日、月見里先生から提案の紙の回収があり、後日発表のこと。そのまま休み明けのテストが始まった。
テストも終わり、月見里先生からの発表が何故かなく、僕は寝不足のまま学園祭と体育祭の準備を始めた。正直やる気がないんだけど……
「ちょっと! なんでいつまでたっても来ないのよ! 」
聞き覚えのあるひよこのさえずりが聞こえたので、聞こえたほうを振り返ると真っ赤なカラーひよこがいた。完全なまっかひよこ……クププッ
「ダアアア! 忙しいのに何訳のわからないにやけ顔してんのよ! 行くわよ! 」
僕はにやけた顔のままカラーひよこのビンタを食らって失神したのだった。
気が付くと、体育祭実行委員会と黒板に書かれた文字が見える。どういうことだ……不思議そうに見つめているとカラーひよこが悪びれるそぶりもなく言った。
「……あんた体育祭の実行委員だったの知らなかったの? 」
「…………え? 」
僕は言葉を失った。……いつの間に決まったんだ。と考えをめぐらす。しばらくして気が付いた。そう言えば僕寝てたっけ。それをいいことに勝手に決めたのか……。怒りを覚えるが、その時に寝ていた僕も悪い。怒りの方向が分からず迷走している。
「で、でも……あんたが実行委員してくれてたなんて……ちょっと嬉しいかも……」
赤いカラーひよこの言葉を聞いて言葉を失う。そんなに僕の罰ゲームを見るのが楽しいのか……。
しばらく学園祭の内容が告げられ、僕たちは誘導の係りとなった。競技に参加する人や、催し物の人員誘導など、雑用が主である。他の仕事と比べると簡単らしく、決められた誘導以外は自由時間になっているようだ。しかも特例で競技にでなくてもいい……と。これはこれでいいかもしれない……。
「……何ニヤニヤしてんのよ……気持ち悪いわね」
カラーひよこは僕を睨み付けるがどうでもいい。暇な時間は一人で楽しく時間を使わせて貰おうフフフ……。
「あ、あのさ、迷惑じゃなかったらあたしと自由時間一緒に行動しない? 」
「……え? 」
委員会の会議が終わり、資料をかばんに入れて帰っている時、ふと玲子が何かを言ってきた。暇な時間に何しようかと考えていた僕は素っ頓狂な声を上げて反応した。すると、頬を桜色に染めたピンクのカラーひよこは見る見るうちに真っ赤なカラーひよこに変身した。おー……すごい色の変化! 夕方だから更に赤みが増して……めっちゃ怖い!
「このバカッ! 」
そう言うと玲子は目に涙を浮かべそのまま全力の張り手をかましてきた。ブハッ! 超いてぇ!
気を失わなかったことだけは奇跡かもしれない。痛む頬をさすりながら僕は理由もわからず佇んでいた。
『よしっ! じゃあアンタ暇な時間私と一緒に行動しなさい』
レオさんからの命令がチャット画面に出てきた。あまりにも明確な命令過ぎて二度見しちゃったよ。
僕は痛む頬をさすりながら帰宅し、玲央奈とチャットをしていた。その時、今日あった出来事を報告していた。
『え? 何でさイベントとかめんどくさいよ』
『コラッ! 女の子の誘いを断る男子がどこにいるっ! 』
え? これ誘ってたの? 僕は思わず目を見開いた。誘いじゃなくて、命令だよね……?
『てっきり命令だと思ってたんだけど』
『は? 何言ってんの? 行くか行かないかどっちなのよ』
レオさん完全に強制モードですね。雰囲気的に言って断ったら僕の死亡フラグが立つだろうね。正直断る勇気がない。
『うん、分かった』
『素直でよろしい』
素直……か。素直な僕の意見を言ったら間違いなく僕は地獄を見るだろうね。この場合のレオさんの言葉を言い換えると” 従順でよろしい ”だと思ってる。まぁ、口が裂けても言わないけど。
『ま、誘導だから何も準備いらないんでしょ? 』
『うん、そのまま体育祭と文化祭すればいいよ』
『ふぅん……そっか。文化祭楽しみだね』
レオさんはそう言うと夕飯だからとチャットを退出した。一人PCの前で僕は物思いに更けていた。ふと、玲子の言っていた言葉が分かった気がした。もしかしたらアイツもレオさんと同じで一緒に僕と行動したかったのかなと。そう思った僕は玲子に電話する。
《……何か用? 》
玲子の冷め切った声が聞こえる。取りあえず自分が思ったことを伝えてみよう。
《なぁひよこ……》《ひよこ言うなっ! 》
しょっぱなから玲子からブチ切れられた。イラッとするがここは我慢だ。
《あのさ、お前が迷惑じゃなかったら、自由時間一緒に行くか? 》
《ヒ、ヒウッ! 》
ん? 何か予想外の声が聞こえた気がする。普段のひよこの声じゃない……なんか新鮮だ。しばらく不規則な息遣いと《な、な、ななな……》とか聞こえる。アレ? あの時アイツが言った言葉と違う? 一気に不安感が募る。
《あ、僕の勘違いかな? 迷惑なら……》《い、行く! 行くに決まってんでしょ!》
玲子にしては珍しい発言だった。ちょっと声が上ずっていて面白い……クププ。まぁ、可愛い妹のお守りぐらいしてやるか。
《へ、へへ! 文化祭楽しみだねっ!》
《お、おう……》
しばらく玲子は上機嫌でいつもの刺々しさがなくて、とても違和感バリバリだったのは言うまでもなかった。
《じゃ、じゃあまた明日っ!》
玲子はそういうと電話を切った。たっぷり三十分ぐらい話しかけてきやがった。
「さて、小説書くかな」
僕はチャット画面を閉じて、小説を書き始めた。その時、一瞬レオさんの履歴文字が見えた。ん? なんか引っかかる気がしたけど……まぁいいか。
来週は体育祭。運動が不得意な僕は全然活躍の場はないだろう。普通に実行委員会にいて良かったかもしれない。その時は楽観的にそう思っていた。
” そして学園祭が始まった ”
~ 学園祭始まる前編 ~END




